体のゆがみ、直したいですか?

テレビでも雑誌でもインターネットでも、体のゆがみが肩こりや腰痛の原因になっていると出てきます。そうした情報を見聞きしていると、自然とそれを受け入れてしまったり、自分もゆがんでいるのか知りたくなったりしてきます。その需要に応えるように、ゆがみを整えることを目的にしている治療院もたくさんあります。

でも、それって本当に意味があるのでしょうか?

まず、体のゆがみが原因説ですが、医学的には明確に否定されている考え方になります。ウソ、もしくは間違いです。医療に詳しくない一般の方が信じてしまうのは仕方ありませんが、医療に関わる者が広めていい情報だとは思いません。

そもそも、人間って全員ゆがんでいますので、ゆがみが原因で症状が出るのなら人類は全員健康になれません。

右利きと左利きがある時点で、体の発達は左右差があります。利き腕による体のゆがみが出るのは小学校高学年くらいからですが、肩こり腰痛が増えるのは20代以降です。

1.5kgある肝臓は右にしかないので、体は右側が重たい。心臓はやや左にあるので肺は左側が小さい。そのため、背骨も骨盤も真っ直ぐにはならないのが普通です。

両利きの訓練を子どもの頃から続けて完璧に左右同じように体を使えたとしても、内臓の位置によって必ず体はゆがみます。いや、ゆがむことでバランスを取っているのです。

今あるバランスを崩してまで、ゆがみを直したいですか?

右手に1.5リットル入りペットボトルを持ちながら、完全にまっすぐきれいに立つことができますか?そんなことはできませんし、できたとしてもすぐ疲れてしまうでしょう。

ありがちな「ゆがみ理論」

多くの治療院で説明されている、ゆがみ理論はこうです。

「骨盤や背骨がゆがむと、体のあちこちに負荷が強くかかる場所ができて、痛みが起こる。」

だとしたら、人類は全員が体のどこかが痛いはずです。

側弯があっても、健康な人はいくらでもいます。短距離走のウサイン・ボルト選手にも側弯があります。

ゆがみ理論は再発率を上げる

かなりぶっちゃけた話をしますと、多くの治療院でゆがみ理論が採用されるのは、経営の都合です。

ゆがみは写真などで確認しやすいので、ビフォーアフターとして宣伝しやすい。患者さん自身に施術の効果を確認してもらえるので、信頼してもらいやすい。

それだけです。

ところが、これにはデメリットがあります。再発率が上がるのです。

不安、恐れ、悲しみ、怒り。ネガティブな感情は、脳の扁桃体という場所を過剰に働かせてしまいます。すると、痛みを再発しやすくなってしまうのです。

扁桃体

脳の扁桃体

体のゆがみが痛みの原因だと間違った情報を信じさせられる

ゆがみを直してもらって、その時はうれしい

ゆがんでいない人はいないので、必ず元に戻る

体のゆがみが気になって、不安になる

扁桃体が働く

痛みが再発する

何度も通院することに

間違った情報を植え付け、必要のない不安を煽り、再発率を上げて、何度も通院してもらう。こういう治療院、山ほどあります。毎年100万人ペースで腰痛患者が増え続けるわけです。

困ったことには、やっている本人がそのメカニズムを分かっていないことです。善意で、良かれと思ってやっていたりします。知らないのです。知らないからこそ、純粋に間違えていられるのです。

テレビやネットの情報が信じられない現状では、自分で勉強するしかありません。自分の体は自分で守りましょう。

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