
ある時は重いものを持った瞬間に、またある時はくしゃみをした瞬間に、腰に強烈な痛みが出て身動きが取れなくなる。それがぎっくり腰です。医学的には急性腰痛と呼ばれます。ここでは、ぎっくり腰とは何なのか、鍼灸で改善するのは何故なのかを見ていきます。
ぎっくり腰の鍼灸治療
ぎっくり腰は、時として、身動きできないほどの激しい痛みを起こします。その本質は、腰の筋肉のスパズム(けいれん)です。腰の筋肉がこむら返りを起こしたと考えると分かりやすいでしょう。
ぎっくり腰の治療で大切なのは、腰のスパズム(けいれん)を鎮めること、痛みを減らすこと、そして、痛みへの恐怖から過剰に体に力が入ってしまう状態を緩和することです。
鍼治療を行うと、腰にごく小さな傷がつきます。傷があると、体はそれを治そうとして、様々な反応を起こします。痛みを減らす物質が放出され、血流が改善し、筋肉の緊張がやわらぎます。昔から、「ぎっくり腰には鍼」といわれますが、それは医学的・科学的に見ても妥当だと思われます。
鍼治療によって痛みが減ったら、そこから少しずつ体を動かすようにしてください。といっても、運動するわけではありません。日常生活の動作を、できる範囲で少しずつ再開することです。
痛みが強いときは、安静にしたいと思われるかもしれませんが、これは注意が必要です。腰痛は完全に安静にしてしまうと、かえって回復が遅くなることが知られています。一方で、動いて痛みを感じたとしても、それで回復が遅くなることはありません。
ぎっくり腰は、鍼灸師から見ると改善しやすい部類に入ります。多くは1~2回の施術で軽快します。1回目の施術で十分と思われれば、そこで終了しても問題ありません。日常生活の疲労・ストレスが大きい場合は、そのケアも含めて、もう何度か継続されるのもよいでしょう。
1つだけ注意点です。腰の痛み以外の症状がある場合は、整形外科を先に受診してください。足のしびれ、力が入らない等の症状がある場合は、医師の診察が必要です。
ぎっくり腰の症例
これまで当院で経験したものから、いくつかの症例をご紹介します。
※同じ病名・症状であっても、効果には個人差があります。
ぎっくり腰(急性腰痛) 【京都市南区 41歳 男性】
肉体労働をした次の日に、突然ぎっくり腰を発症したそうです。右の腰と、右ふくらはぎに激しい痛みがあり、まともに歩くことができない状態でしたが、どうにか来院されました。横になっても痛みが楽にならないほどの激痛です。
患部への鍼灸治療を丹念に行ない、初回で痛みは三分の一に減り、大変よろこんでいらっしゃいました。その日はしっかりした足取りで帰られました。
数日後、もう一度治療を行ない、完全に痛みがなくなったので終了としました。
ぎっくり腰(急性腰痛) 【向日市 35歳 女性】
ある日、お子さんを車のチャイルドシートに乗せようとしたところ、腰に強い痛みが起こりました。数日安静にして、少しお動けるようになったので来院されました。初診の時点で痛みのピークは過ぎていましたが、まだまだ動きづらそうに見えました。
発症から少し時間が経っているので、患部だけではなく全身調整もしっかりと行ない、合計3回の治療をしています。痛みを残してしまうと慢性化のリスクがありますから、治し切るために慎重に治療させていただきました。
ぎっくり腰(急性腰痛) 【向日市 51歳 女性】
ある朝、家の掃除をしていたら急に腰が痛くなったそうです。これといって体に負担がかかるようなことはしていなかったといいます。初診で、何かストレスになるようなことがあったか質問したところ、1週間ほど仕事で出張していて忙しくされていたとのことです。蓄積した疲労が後に痛みとして表面化することは珍しくありません。
腰の痛みが強いので初日は患部を中心に治療を行ない、その4日後にじっくりと全身のバランスをとりました。計2回で痛みはなくなり、治療終了としました。
ぎっくり腰(急性腰痛) 【向日市 43歳 男性】
朝、突然ぎっくり腰になりました。ぎっくり腰は何度か経験があるそうですが、動けなくなってしまったのは今回が初めてとのことです。動けない状態ですから、往診で対応しています。
家におじゃますると、すり足でゆっくり移動するのが限界というご様子でした。診察すると腰の緊張が非常に強いのに加えて、足の冷えが目立ちます。この方は、過去に椎間板ヘルニアの手術経験もあります。
痛む部位を中心に鍼灸を行ない、初回で痛みは半分になりました。動けるようになったので、次の治療は当院に来院されています。
計2回の治療で痛みはなくなり、足の冷えも改善されました。
ぎっくり腰(急性腰痛) 【向日市 47歳 女性】
ある日、仕事中にジュースの箱を運んでいて、床に下ろそうとしたときに腰痛を発症されました。過去にも何度もぎっくり腰を繰り返しているといいます。
体を後ろに反らせたり、左にひねると尾てい骨の左上あたりに強い痛みが出てしまいます。尾てい骨付近の痛みは、その場所ではなく、もう少し上の仙腸関節という場所が治療のポイントになります。その上で、左足の外くるぶし付近にあるツボを治療しました。
初診の5日後、お電話にて全快したと嬉しいご報告をいただきました。
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