ある時は重いものを持った瞬間に、またある時はくしゃみをした瞬間に、腰に強烈な痛みが出て身動きが取れなくなる。それがぎっくり腰です。医学的には急性腰痛と呼ばれます。ここでは、ぎっくり腰とは何なのか、鍼灸で改善するのは何故なのかを見ていきます。
ぎっくり腰とは
よくあるのは「ぎっくり腰は筋肉の炎症である」という間違いです。医学的に炎症とは「疼痛 発赤 腫脹 発熱 機能障害」の5つがそろった状態をいいます。ぎっくり腰の場合、赤く腫れるということはありませんので、炎症ではありません。炎症時に血液検査をするとCRPという数値が上がりますが、こうした反応はぎっくり腰では見られません。炎症は組織に損傷がないと起こりませんので、ぎっくり腰はどんなに痛くても筋肉のダメージはないということです。(筋肉が損傷したものは肉離れとして区別されます。)
また、骨の異常が原因だというのも間違いです。例えば、ちょっと体を捻った拍子にぎっくり腰を起こす場合がありますが、体を少し捻った程度で骨に異常が起こることはありません。統計的にも、骨の異常と腰痛には何の関係も認められていません。もしレントゲンで何か見つかったとしても、腰の痛みとは無関係です。
では、ぎっくり腰とは何かといいますと、筋肉のスパズム(不随意収縮)が主な原因です。あなたの意思とは無関係に、腰の筋肉が収縮・けいれんを起こしたのです。腰の筋肉が、強烈なこむら返りを起こしたとイメージすれば分かりやすいかもしれません。
痛みとは本来、危険信号です。ぎっくり腰になったということは、心身の疲労が限界に達し、ブレーカーが落ちたということです。
ぎっくり腰の鍼灸治療
ぎっくり腰の治療で必要なことは、疲労の回復と痛みを抑えることです。痛みだけ抑えても、原因である心身の疲労がそのままでは再発の可能性を残すことになります。
鍼灸治療は自律神経に作用して心身の回復を促します。治療後によく眠れるようになるのはそのためです。また痛む筋肉に直接働きかけ、スパズムを解消して痛みを抑えます。
ぎっくり腰の症例
これまで当院で経験したものから、いくつかの症例をご紹介します。
※同じ病名・症状であっても、効果には個人差があります。
ぎっくり腰(急性腰痛) 【京都市南区 41歳 男性】
肉体労働をした次の日に、突然ぎっくり腰を発症したそうです。右の腰と、右ふくらはぎに激しい痛みがあり、まともに歩くことができない状態でしたが、どうにか来院されました。横になっても痛みが楽にならないほどの激痛です。
患部への鍼灸治療を丹念に行ない、初回で痛みは三分の一に減り、大変よろこんでいらっしゃいました。その日はしっかりした足取りで帰られました。
数日後、もう一度治療を行ない、完全に痛みがなくなったので終了としました。
ぎっくり腰(急性腰痛) 【向日市 35歳 女性】
ある日、お子さんを車のチャイルドシートに乗せようとしたところ、腰に強い痛みが起こりました。数日安静にして、少しお動けるようになったので来院されました。初診の時点で痛みのピークは過ぎていましたが、まだまだ動きづらそうに見えました。
発症から少し時間が経っているので、患部だけではなく全身調整もしっかりと行ない、合計3回の治療をしています。痛みを残してしまうと慢性化のリスクがありますから、治し切るために慎重に治療させていただきました。
ぎっくり腰(急性腰痛) 【向日市 51歳 女性】
初回は痛んでいる部位を中心に治療して、4日後にじっくりと2回目の治療。その計2回で痛みはなくなり、治療終了。
ある朝、家の掃除をしていたら急に腰が痛くなったそうです。これといって体に負担がかかるようなことはしていなかったといいます。初診で、何かストレスになるようなことがあったか質問したところ、1週間ほど仕事で出張していて忙しくされていたとのことです。
腰の痛みが強いので初日は患部を中心に治療を行ない、その4日後にじっくりと全身のバランスをとりました。計2回で痛みはなくなり、治療終了としました。
ぎっくり腰(急性腰痛) 【向日市 43歳 男性】
朝、突然ぎっくり腰になりました。ぎっくり腰は何度か経験があるそうですが、動けなくなってしまったのは今回が初めてとのことです。動けない状態ですから、往診で対応しています。
家におじゃますると、すり足でゆっくり移動するのが限界というご様子でした。診察すると腰の緊張が非常に強いのに加えて、足の冷えが目立ちます。この方は、過去に椎間板ヘルニアの手術経験もあります。
痛む部位を中心に鍼灸を行ない、初回で痛みは半分になりました。動けるようになったので、次の治療は当院に来院されています。
計2回の治療で痛みはなくなり、足の冷えも改善されました。
ぎっくり腰(急性腰痛) 【向日市 47歳 女性】
ある日、仕事中にジュースの箱を運んでいて、床に下ろそうとしたときに腰痛を発症されました。過去にも何度もぎっくり腰を繰り返しているといいます。
体を後ろに反らせたり、左にひねると尾てい骨の左上あたりに強い痛みが出てしまいます。尾てい骨付近の痛みは、その場所ではなく、もう少し上の仙腸関節という場所が治療のポイントになります。その上で、左足の外くるぶし付近にあるツボを治療しました。
初診の5日後、お電話にて全快したと嬉しいご報告をいただきました。
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