生理痛は月経困難症ともいわれ、生理期間やその前後に下腹部痛や腰痛の他、吐き気・頭痛・食欲不振・イライラなどがみられます。生理痛は個人差が大きく、全く問題ない人もいれば、仕事や学校を休まなければならない程の症状が出る人もいます。
生理痛の原因
黄体期が終わりに近づくと、女性の体内ではプロスタグランジンという物質が産生されます。プロスタグランジンは発痛物質の一つで子宮を収縮させる働きがあり、これによって下腹部痛・腰痛を引き起こされます。
これは月経を有する全ての女性に起こる現象ですが、月経困難症の方はプロスタグランジンの産生が過剰になっていると考えられています。原因としては、子宮内膜症・子宮筋腫などの器質的疾患の他、ストレス・自律神経失調・ホルモンのアンバランスなどがあります。
生理痛に対する鍼灸治療
婦人科疾患は鍼灸の得意分野の一つであり、生理痛はWHO(世界保健機関)でも鍼灸の効果が認められています。
例えば、足の内側には三陰交というツボがありますが、これは生理痛をはじめとした女性特有の症状に効くことで有名です。その他にも、血と関わりの深い肝、生殖機能に関わる腎のツボなどを組み合わせて治療を行います。
生理痛でお悩みの方は、肩こり・腰痛・冷え性など、他の症状も重なっていることがよくあります。こうした症状は、生理痛と同じ原因から起きていることが多く、鍼灸治療によって生理痛と一緒に改善することも珍しくありません。東洋医学では、これを異病同治と呼んでいます。
生理痛の症例
これまで当院で経験したものから、症例をご紹介します。
※同じ病名・症状であっても、効果には個人差があります。
生理痛をはじめとした不定愁訴 【京都市南区 30代 女性】
- 生理痛
- 右の肩こり、腰痛、頭痛
- 左足のだるさ
- 下痢(過敏性腸症候群)
- 動悸
生理痛だけでなく、さまざまな症状を訴えての来院でした。
鎮痛薬を服用するも効果がなく、鍼灸を希望して来院されました。
腎、肝に関係するツボを中心に治療したところ、治療の2日後から身体が楽になり、特に生理痛が楽になりました。
翌月には生理痛はほとんど無く、薬も不要だったとのこと。
使用した主な経穴:太衝、三陰交、内関
治療3回目で頭痛、足のだるさ、下痢がかなり改善。
その後は、肩こり腰痛を中心に治療を行い、計7回で終了となりました。
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