治る力はすでに持っている

ときどき患者さんで、自分の力では腰痛に立ち向かえないというような、無力感を抱えている方がおられます。「私は体が弱いから」とよく仰っています。しかし、その方にしても治療をした後は調子がいい様子です。ということは、しっかり腰痛に抗う力をお持ちです。

治療というのは、患者さんご本人の力を引き出すものです。治ろうとする力が何もなかったら、治療しても何も起こりません。治療で変化が出るということは、痛みに抗う力を持っている証拠になります。

以前、治癒を邪魔する力について書きました。ノーシーボ効果(ノセボ効果)です。

例えば、「どんな治療も私の腰痛を治すことはできない」と強烈な信念を持っていると、効くはずの治療が効かなくなることもあります。こうしたマイナスの効果をノーシーボ効果(ノセボ効果)といいます。

「私は体が弱い、だから痛い」、このような間違った思い込みを持っていると、体が本来の力を発揮することができません。ご自身のよい面に意識を向けることが大切になります。

正しい情報で上書きする「読書療法」

読書療法という治療があります。腰痛治療ガイドラインにも出てくる方法で、正しい知識を得ることで間違った思い込みを打ち破り、ノーシーボ効果をなくしていく治療です。

普通に生活していて、テレビやインターネットで情報を仕入れていると、びっくりするくらいウソが蔓延しています。みなさんそれを毎日のように見ているわけですから、多かれ少なかれ何かしら間違った情報を信じています。それを打ち破るには、情報の上書きが必要です。

読書療法をすると、読んでいるだけで腰痛が治ることがあります。もしかしたら、当ブログを読んで腰痛が治った人もいるかもしれません。もしいたら、この情報発信は大成功といえるでしょう。

お勧めの本はいろいろあります。例えば、「腰痛は終わる!」(WAVE出版)はいかがでしょうか。私が特に影響を受けた一冊です。

希望を持つと状況は好転する

日曜日、京都府鍼灸師会の鍼灸実務講座で講師をしてきました。腰痛について、過去の常識が大きく変わっている状況、新しい腰痛の概念について話しました。驚かれていた方もいましたが、私も始めて知ったときは驚いたのです。

まさかと疑い、一旦距離を置いて他の情報を見てみたり、再び間違った理論を勉強したり、先輩の意見を聞いたりもしました。戸惑うことはあるでしょう。しかし、勉強するとどちらが正しいかは分かります。

体が弱いから腰痛になるのではありません。「体が弱いと腰痛になる」と思い込んでいるから腰痛になるのです。間違った思い込み、間違った信念。それこそがノーシーボ効果となり、脳の活力を奪います。

でも、調子がいい日もあるでしょう?体が弱いのに調子がいい日もあるのなら、体が弱くても腰痛が治る日だってあるかもしれません。そうやって希望を持つと、それだけで脳が活性化して痛みが減っていくのです。

治らない思い込みと、治る思い込み。あなたはどちらが好みですか?

読書の秋