「痛い」を「痛い」ですませられない方へ
体が痛いとき、「痛い」と感じるのは当たり前です。自然なことですし、体がしっかり機能している証拠でもあります。
痛いときはただ「痛い」と感じていればそれでいいのです。でも、痛いときにただ「痛い」と感じるだけで済ませるのって難しいんですよね。
「痛い」
「ショック」
「何で痛いんだろう?」
「歳のせいかな」
「体が弱いせいかな」
「台風のせいかな」
「姿勢が悪いせいかな」
「腰に負担がかかっていたかな」
「安静にしないと」
「痛い」に加えて、いろんな感情・思考が頭のなかを駆け巡るものです。例に上げた一つ一つの認識・解釈はどれも微妙に間違っています。これを「認知の歪み」といいます。
認知(にんち)とは、心理学などで、人間などが外界にある対象を知覚した上で、それが何であるかを判断したり解釈したりする過程のこと。
認知 – Wikipedia
正しく痛みを認知できていればいいのですが、私たちはついつい、正しくない間違った知識にもとづいて痛みを解釈してしまいます。すると、精神的ストレスが大きくなってしまい、イライラしたり、気持ちが落ち込んだり、不安感が増してしまいます。
心の中でネガティブな感情が大きくなると、脳は活力を失い、ますます痛みに引っ張られてしまいます。痛みが慢性化したり、再発したりするのは、認知の歪みによって「痛い」を「痛い+大きなストレス」に変えてしまっているからです。
ネガティブな気持ちになると、それだけで脳は痛みに敏感になります。1の痛みを10にも20にも大きくしてしまいます。
これを乗り越えるためには、ちょっとした練習が効果を発揮します。
気持ちをメモに書いて、自分で反論する
体が痛んだとき、紙にメモを残しましょう。
「いつ、どんなときに、体のどこがどう痛かったのか。」
「そのとき、自分は何を感じたり、考えたりしたのか。」
これをメモに残します。その上で、気持ちが落ち着いているときに、自分が感じたことに反論を書き込んでいきます。
「痛い」→ うん、そうだね(ありのままを認める)
「ショック」→ 誰だって体が痛くなることくらいあるよ
「何で痛いんだろう?」→ 原因って一つじゃないから、探そうとしてもかえって疲れるだけだよ
「歳のせいかな」→ 歳をとっていても、痛くない人はいっぱいいるよ
「体が弱いせいかな」→ 自分より体が弱くても元気な人はいるし、体が強くても痛みで困っている人はいるよ
「台風のせいかな」→ たまたま痛くなることもあるよ
「姿勢が悪いせいかな」→ 姿勢が悪くても痛くない人はいっぱいいるよ
「腰に負担がかかっていたかな」→ 負担をかけると鍛えられて腰は強くなるよ
「安静にしないと」→ 安静にするとかえって治るのが遅くなるよ
こんな感じで、ご自身が感じたことに反論していくトレーニングです。認知、物事の受け止め方というのは、一種のクセのようなものです。心のクセは、勉強したり練習したりすることで変えていくことができます。やがて、痛くなってもポジティブな受け止め方ができるようになっていきます。
この話、私が勝手にいっているのではなく、「認知行動療法」として医療機関で実際に行われている治療の一つになります。
考え方を変えることで、解決できることもあるのです。
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