検査を受けたが原因不明・・・
あれ、どうも腰が痛い気がする。
何だろうこの痛み。
何もしていないはずだけど、なぜか痛い。
いつから痛くなったんだっけ。
よく分からないけど、痛いし気になるし、何とかしたい。
どこに行けばいいんだろう、病院かな?
整形外科を受診して、レントゲンや血液検査を受ける。
でも異常なし。
もっと詳しく調べるためにMRIも受けたけど、何も異常は見つからない。
医師には「異常は見つかりませんでしたので、経過観察で様子を見ましょう」と言われてしまった。
え、これってどうしたらいいの。
治るの?治らないの?
意味が分からない。
このような例は本当にたくさんあります。
その疑問にできる限りお答えします。
腰痛で原因不明は珍しくない
まず、大事なことですが、今ある腰痛は危険なものではありません。
ガンとか、脊椎炎とか、そういう怖い状況ではありません。
医師もしっかり調べて、危険な病気がないかは必ずチェックするはずです。
何も見つからないということは、ひとまず緊急性や危険性はないと考えて大丈夫です。
腰痛の原因が見つからないことは、本当によくあることです。
腰痛は85%が原因不明ですので、異常なしということは、よくある普通の腰痛だということが確認できたことになります。
ガンなどの重篤な疾患が見つかることに比べたら、ずっといいのです。
良かった、変な病気じゃなかった。
ホッとしていただいて大丈夫です。
今後どうしたらいいのか
では、心配のいらない腰痛だということが確認できたところで、次の2つの場合について考えていきます。
治療について医師の指示が「ある」
医師から薬や治療について指示があった場合は、まずはその通りにすることです。
薬が出ているなら指示通りに飲むこと。
通院してリハビリなどの治療を受けるよう言われたなら、その通りに治療を受けることです。
医師を信じて治療に取り組んでください。
他の選択肢について考えるのは、その後でも遅くはありません。
最初よく分からなくても、治療を続けることで徐々に改善してくることは普通にあります。
結論を急がないことです。
納得できないこと、不明なこと、心配なことがあれば、担当の医師に質問することです。
医師と話し合った結果、納得して治療を続けられることもあるでしょうし、治療内容が見直されることもあるでしょう。
もしかしたら、他の病院を紹介されることもあるかもしれませんし、代替医療を併用するという話になるかもしれません。
何れにせよ、医師とのコミュニケーションを大切にしてください。
治療について医師の指示が「ない」
医師からこれといって治療の指示がなく、単に「様子を見ましょう」と言わることもあります。
いわゆる経過観察です。
これも意味のあることです。
詳しく説明します。
腰痛は痛みが出てからどのくらい時間が経ったかによって、次の3つに分類されます。
- 急性腰痛(4週間未満)
- 亜急性腰痛(4週間以上、3ヶ月未満)
- 慢性腰痛(3ヶ月以上)
このうち、急性腰痛は非常に治りやすい腰痛です。
痛みの強さと関係なく、8割以上が自然に治ってしまいます。
もし、あなたの腰痛が痛み出して4週間以内で、ガマンできるものであれば、積極的な治療をせずに自然にまかせるというのも一つの方法です。
また、腰痛になってから1ヶ月が過ぎていたとしても、時間が経つにつれて自然に治ってしまうことはあります。
亜急性腰痛は急性腰痛よりは治りにくくなりますので、治療を検討してもよい時期だとは思います。
しかし、薬を飲んだり手術を受けたりせずに、ご自身の力で治るのであればそれにこしたことはありません。
痛みがガマンできる範囲、日常生活や仕事に影響のないレベルであれば、日にち薬も選択肢の一つなのです。
慢性化を防ぐことが大事
先ほども書いた通り、慢性化していない腰痛は自然に治る確率が非常に高くなります。
しかし、3ヶ月を過ぎて慢性化してしまうと、治りにくくなる傾向があります。
4人に1人は1年後も痛みが続くといわれています。
個人的には、慢性化する前に治した方がいいのは確かだと思います。
次のような場合は、積極的な治療を検討するといいでしょう。
- 痛み出してからもうすぐ3ヶ月になる、または既に3ヶ月が過ぎている。
- 痛みが気になり、とにかく早く治してしまいたい。
- 痛みがガマンできない。仕事や日常生活に支障がある。
- 腰痛だけでなく、他の場所(足など)にも痛みやしびれがある。
- 腰痛が悪化している。
腰痛の治療法には、いろいろな選択肢がある
腰痛の治療には、大きく手術と保存療法の2つがあります。
検査で異常が見つからない腰痛の場合は、まず考えるべきは保存療法になります。
代表的な腰痛の保存療法
- 鎮痛剤
- 徒手療法(マッサージ等)
- リハビリテーション
- 鍼灸
- 運動療法
- 認知行動療法
・鎮痛剤など
薬で痛みを抑える治療です。
こちらについては、医師とよく相談してください。
・徒手療法
手で行われる治療法としては、マッサージが代表的です。
病院で受けられる場合も多いですし、ご自身であん摩マッサージ指圧師のいる治療院を探すというのも一つの方法です。
(整体などは公的な資格制度がありませんので、この記事では取り上げません。)
・リハビリテーション
病院でリハビリテーションが受けられる場合も多いと思います。
ストレッチや筋力トレーニングなどが主な内容です。
・鍼灸(しんきゅう)
鍼灸は腰痛に有効な治療の一つです。
鍼(はり)やお灸でツボを刺激して治療します。
病院で鍼灸を受けられる所は少なく、鍼灸院や鍼灸整骨院が選択肢になります。
・運動療法
運動は腰痛を改善する治療として活用できます。
有酸素運動を積極的に行うことで、痛みが改善するという研究があります。
動けるのであれば、動いた方が腰痛は早く治ります。
・認知行動療法
慢性化した頑固な腰痛を治療する方法として近年注目されています。
腰に何かするのではなく、学習によって意識付けを変えることで、腰痛の認知(受け止め方)を変えて、痛みを小さくしていくという方法です。
次のような場合は、鍼灸治療をおすすめします
- 体を動かしたときに痛んだり悪化したりする。
- ストレスの影響が強いと感じている。
- 足に痛みやしびれが出ている。
- 腰痛のほか、冷えが気になる。
- マッサージや整体などを試したが、効果が感じられなかった。
- 薬に頼りたくない。
このように、動作痛が中心だったり、ストレスや自律神経の問題が強い腰痛には鍼灸をおすすめします。
当院の鍼灸治療
当院は鍼灸で腰痛治療を行っています。
筋肉を緩め、自律神経を整えることにより、痛みを改善して元に戻りにくい状態を目指します。
最後に
経過観察で様子を見る方、
医師の治療を受ける方、
医師と話し合って治療内容を変えてもらう方、
別の病院を探す方、
他の治療法を併用しようと考えている方、
そして、鍼灸やマッサージを選ぶ方。
状況は人によって様々です。
この記事一つで、全ての方に当てはまる正解を示すことはできません。
しかし、選択肢を知っているのといないのとでは大きく違うことも事実です。
あなたに合った先生、あなたに合った治療に出会われることを心よりお祈り致します。
以上、参考になりましたら幸いです。
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