目次
睡眠不足の悪影響
睡眠不足は健康に良くない。
そう知っていながらも、ついつい寝るのが遅くなりがちな現代人。
睡眠不足は具体的にどんな影響があるのか見ていきます。
睡眠負債とマイクロスリープ
睡眠不足のことを睡眠負債ともいいます。
知らず知らずのうちに借金のように積み上がていくイメージです。
睡眠不足は眠って取り返すしかありません。
カフェインでごまかしても、それは無理やり脳を覚醒させているだけで、睡眠が必要なくなるわけではありません。
無理を続けていると、やがて症状と共に限界が近づいてきます。
例えばマイクロスリープといって、瞬間的に3~10秒ほど眠ってしまい、物事への反応が遅れることがあります。
車の運転中に起こると大変危険です。
寝ないと死亡率が上がる
睡眠時間が短くなるほど死亡率が上がります。
ラットを寝かさない実験をすると、みるみる食欲がなくなって数週間で死んでしまいます。※2
人間で同じ実験をするわけにいきませんが、3時間睡眠の人たちは7時間睡眠と比べて死亡率が1.3倍に上がるという研究があります。※1
また、睡眠不足の蓄積が、がん・糖尿病や高血圧などの生活習慣病・うつ病などの精神疾患・認知症など、様々な疾患のリスクを高めることも分かってきています。
寝ないと精神に悪影響が出る
ギネスで一切寝ないチャレンジをした高校生は、4日目ころから集中力の低下、幻覚、猜疑心など精神的な変調を起こしました。※2
現在、ギネスブックは断眠の世界記録を認めていません。
睡眠不足でミスが増える
(文献※3より改変)
健康な成人48人の睡眠時間を制限して、モニター画面上に赤い丸が表示されたらスペースキーを押すという課題(PVT)を与えたところ、6時間睡眠以下ではパフォーマンスの低下が見られました。※3
ミスが増えたわけです。
しかし、彼らはそれほど強い眠気を感じていたわけではありませんでした。睡眠不足にともないミスは右肩上がりで増えますが、眠気は横ばいに近づいていきます。
眠気の強さで睡眠不足を判断することはできません。※4
睡眠不足で太る
(文献※5より改変)
サンディエゴ大学の調査によると、睡眠時間が短い女性はBMI(体格指数)が高くなることがわかりました。※5
また、9時間以上の睡眠でもBMIは高くなっていました。
BMIが最も低かったのは7時間睡眠の人たちでした。
BMI= 体重kg ÷ (身長m)²
BMIが22であれば適正体重、18.5以下は痩せ型、25以上は肥満とされています。
睡眠障害は痛みとも関係している
睡眠障害は痛みと関係があることも分かってきています。
例えば、一晩全く眠らずにいると、それだけで痛みの感受性が上がってしまいます。※6
腰痛によって眠れなくなること、眠れないことで腰痛が悪化すること、どちらも関係があるという報告もあります。※7
慢性痛の改善には、睡眠の確保が大切だといわれています。
まとめ
睡眠不足の影響はあらゆる所に出てきます。
注意力が落ちミスが増え、精神状態が悪化し、病気のリスクが増え、寿命が減り、体重が増え、痛みが増える可能性があります。
最低でも6時間、できるなら7時間の睡眠を目標にすることをおすすめします。
文献
※1 10年後「死亡率」が最も低い睡眠時間は何時間か 日本人が知らない睡眠負債の恐怖 | 睡眠 – 東洋経済オンライン
※4 極論で語る睡眠医学 著:河合真 丸善出版