今から10年前になりますが、一冊の本を買いました。ドイツの理学療法士が書いた本です。内容は、筋肉の緊張が体の姿勢にどう影響するか。そして、そのバランスをどう整えるかというものです。

その本には、非常に興味深い記述がありました。

我々はアライメントを正すことで治療を行うが、なぜそれで症状が改善するかについては分かっていない。では、なぜ我々がそれをするかというと、他に手段がないからである、というものです。

大変に正直な言葉だと思います。この本が書かれた当時には、体の痛みが脳に起因することはあまり知られていませんでした。体の姿勢や筋肉のバランスと症状に関連性がないことは判明していましたが、それ以上は分かっていなかったのです。

しかし、今は違います。痛みの根本原因がストレスであり、脳の働きの変調であることが明らかとなっています。そして、その原因にアプローチする手段も判明しています。

テレビやインターネットには間違った情報で溢れています。一度書かれた情報がなかなか書き換わらないのがインターネットの欠点です。有名なウィキペディアで腰痛や変形性膝関節症の記述を調べたら、9割の疾患で間違いが見つかったという報告があります。

医療情報は恐るべき速さで更新されています。毎年200万本もの医療論文が発表されますが、2年以内に23%が覆されてしまいます。

少なくとも、痛みの原因について、骨や姿勢で説明されていたら、間違っていると判断して大丈夫です。

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