腰痛の治療をするとき、痛みのある腰に鍼をするのは分かりやすい発想です。痛みを引き起こすのは筋肉の硬結ですから、そこを緩めると楽になるのは道理です。局所治療といいますが、多くの鍼灸師が最初に学ぶ腰痛治療もその方法でしょう。
しかし、それだけで治療が完璧かというと、そうではありません。具合の悪い局所だけの治療では、効果が弱かったり、元に戻りやすかったりします。そこで実際の治療では、離れた場所から治療を始めます。これを遠隔治療といいます。
腰と関係が深いのは、肘・膝・そして足首になります。腰に痛みがあるとき、同時に肘・膝・足首などにも反応点が出ています。そうした反応点を使うことで、より高い治療効果を得ることができます。
腰が痛いというのは、結果です。原因があってある状態が引き起こされ、それがまた次の状態を引き起こして、最終的に痛みが起こります。痛みという結果が出るまでには、いくつかのプロセスがあるものです。そうした痛みが現れるプロセスをたどりながら治療していくことで、局所だけの治療ではできない効果を引き出すことができます。
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