今日は牽引についてです。

ある治療法が有効かどうかを考えるとき、一定の効果があることはもちろん大切ですが、同時にプラシーボより高い治療効果があることが重要になります。プラシーボ効果とは、本来なら治療効果のない飴玉のようなものでも、腰痛に効く薬だと聞かされて飲めば、ある程度効果が出てしまうというものです。

このプラシーボ効果、あなどってはいけないのはその有効性で、腰痛・坐骨神経痛に70%程度の有効率があります。しかし、あなどれないとはいっても、それよりも有効な治療が存在しますので、プラシーボ効果のみの治療は実質的には効果なしと扱われ、選択すべきではないと判断されます。

牽引に治療効果はない

ここから本題です。病院で行われる腰痛・坐骨神経痛の治療にはさまざまありますが、中でも微妙なのが牽引療法です。体をベルトで固定して腰を引っ張る治療ですが、牽引の有効率はおよそ70%であることが判明しています。つまり、理屈はどうあれプラシーボ効果と同じ程度の効き目だということです。

最新の腰痛治療のガイドラインを調べると、「牽引は腰痛に効果なし」とされています。臨床試験の評価においても、牽引に有効性は認められないと結論されています。加えて牽引には、直後にめまいを起こしたり、かえって調子が悪くなるリスクも存在します。

避けられるならば、牽引は避けた方がよいといっていいでしょう。

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