背骨を構成している椎骨の間に、クッションとして挟まっている椎間板。それが飛び出したものを椎間板ヘルニアといいます。ヘルニアが腰にできると、腰椎椎間板ヘルニアと呼ばれます。
ヘルニアは長い間、腰痛を引き起こすとされてきました。飛び出した椎間板が神経を圧迫して痛みが起きる。腰痛になったらレントゲンを撮って、ヘルニアの有無を調べなくてはならない。ずっと、そう考えられてきました。
しかし、何度でも繰り返しますが、この認識は間違っています。
ヘルニアは腰痛の犯人ではない
ヘルニアはあらゆる人に存在します。ある調査では、実に76%の人に椎間板ヘルニアが見つかりました。しかし、その全員が腰痛かといえば、そんなことはありません。
同じような調査はたくさんあります。腰痛の人と、腰痛のない健康な人を集めてレントゲンで調べます。すると、ヘルニアの検出率にはまるで差が出ませんでした。
さらに追跡調査をして、後に腰痛が治った人を改めてレントゲン撮影したところ、ヘルニアはそのまま残っていることが確認されました。
ヘルニアとは無関係に腰痛を発症し、ヘルニアとは無関係に治ったのです。
神経は痛むのではなく、痛みを伝えるだけ
そもそも、神経が圧迫によって痛むというのが間違っていました。神経は圧迫しても痛みません。神経は信号を伝達する電線のようなものです。神経を圧迫したときに起きるのは、信号の遮断であり、つまり麻痺です。もし、あなたが痛みを感じているのなら、あなたの神経が正常に働いている証拠になります。
ヘルニアであるとなかろうと、痛むときは、その痛い場所で何かが起こっています。体を動かして痛みが強くなる場合は、筋肉が酸欠を起こしています。筋肉内にある痛みのセンサーが、酸欠によるダメージを痛みとして感知し、神経を通じて脳に伝えているのです。
こうした痛みは、手術をしなくても良くなる見込みが十分にあります。実際に当院でも、腰椎椎間板ヘルニアと診断された人が多数、腰痛を克服しておられます。
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