A 1度で良くなるケースもありますが、複数回の治療が必要になることが多いです。

「1回で治したい」という気持ちは医療に関わる者であれば、誰でも心のどこかに持っています。私(浦崎)の中にも、もちろんその気持はあります。

1度の施術で、症状がまったく無くなるまで改善することは、確かにあります。鍼灸の奥深さにふるえる瞬間です。そうした劇的な効果をいつでも狙って出せる人のことをゴッドハンドというのかもしれません。

実際の治療は複数回にわたることが多いです。急性痛なら1回で良くなることも珍しくありませんが、慢性症状だと時に数ヶ月以上かかることもあります。中には、20年続いた腰痛が一度で良くなった事例もありますが、それは特別な事例です。

許容量とのせめぎあい

ドーゼオーバーという言葉があります。刺激過多という意味です。その人の許容量を超えた刺激を行った結果、かえって具合が悪くなってしまうことをいいます。

鍼灸師の中では、「もう少し刺激したらもっと良くなるんじゃないか」と、「この人の限界はどこだろう」という二つの気持ちがせめぎ合っています。限界は全員このラインと決まっていれば楽ですが、人は機械ではありません。許容量は全員バラバラで目には見えません。初診では特に慎重になります。

当院のスローガン「無理なく、自然に、健やかに」は、鍼灸の魅力を言葉にしたものですが、同時にドーゼオーバーの戒めでもあります。

その時その時、可能な刺激量の範囲内で、治療効果を追求していく。そのチャレンジの中で、1度で良くなる事例も生まれてきます。しかし、それは鍼灸師一人の力で成し得るものでもありません。

私から申し上げられることがあるとすれば、「全力で治療します」の一言に尽きます。

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