何かの治療を受けて改善すると、それは治療の効果だと感じてしまいます。しかし、私達は治療の効果だけで治っているわけではありません。
自然治癒というものがありますし、プラシーボ効果(プラセボ効果)もあります。
このページでは、ちょっと聞き慣れないプラシーボ効果について分かりやすく説明していきます。
プラシーボ効果とは
プラシーボ効果(プラセボ効果)とは、偽薬効果とも呼ばれます。
例えば、飴玉のような全く薬理効果のないものでも、「腰痛の薬です」と言って患者さんに飲んでもらうと、それなりに効いてしまうのです。
プラシーボ効果は、治療に期待する心によって、痛みが軽減するといった実際の変化が起こります。治療行為を受けるときには誰でも何かしら期待をしますから、プラシーボ効果が全くない治療はありません。
そのため、ある治療に本当に意味があるかどうかを調べるには、その治療を行って効果を見るだけでは不十分になります。
ランダム化比較試験が大事
ランダム化比較試験とは、治療効果を知りたい本物の治療と、プラシーボ効果しかない偽物の治療を比較することです。
もし、本物の治療と偽物の治療の効果に差がなかった場合は、その治療法はプラシーボ効果のみで、治療としての効き目はないと判定されます。
しかし、統計的に有意に差があれば、その治療法にはプラシーボ効果だけではない、ちゃんとした効き目があると考えることができます。こうした臨床試験をしないと、その治療に本当に価値があるかどうか分からないのです。
これは、プラシーボ効果が悪いという話ではありません。プラシーボ効果しかないのが良くないという話です。なぜなら、プラシーボ効果しかない治療ならば、わざわざ高い治療費を払ってまで受ける必要はない上に、もっとちゃんとした効果のある治療が他にあるからです。
より良い治療を選ぶために
ただ、プラシーボ効果の威力はすごいものがあります。過去に、プラシーボ効果と同程度の効き目しかないので無効と判定された治療は、平均有効率が70%もあったことが分かっています。THE POWER OF NONSPECIFIC EFFECTS IN HEALING: IMPLICATIONS FOR PSYCHOSOCIAL AND BIOLOGICAL TREATMENTS
どんなインチキな治療でも70%効いてしまうとなると、いくらでも適当なことができてしまいます。実際、それはどうなのかと眉をひそめるような治療(?)が横行していたりもします。
難しいのは、そういったプラシーボ効果しかない治療でも、行っている施術者が本気で信じていたり、宣伝の力で妙にイメージが良かったりすることです。患者さんの体験談だけでアピールしてくるパターンも多いです。体験談が悪いわけではありませんが、体験談だけが根拠だと疑問符がつきます。
腰痛治療を選ぶときには患者さん側が詳しくないと思わぬ偽治療に引っかかったりもしますので、見慣れない治療法が書いてあったら、その治療法の名前でネット検索してみるといった一手間を惜しまないことが大切です。