慢性腰痛では、脳が萎縮するなどの大きな変化が起こります。それによって痛みを感じやすくなり、さらに腰痛が長引いてしまいます。
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こうした脳の変化は元に戻ることはないのでしょうか?

認知行動療法で脳が回復した

2013年の研究です。慢性疼痛患者13名に認知行動療法を行い、脳の変化を調べました。それによると、11週の認知行動療法の結果、脳の体積は大きく増加・回復していました。

Cognitive-behavioral therapy increases prefrontal cortex gray matter in patients with chronic pain.

認知行動療法とは、簡単にいえば痛みと上手につきあう方法を学ぶものです。痛みで悲観的にならないよう認知(認識)を切り替えていくこと、痛みを改善するために行動パターンを変えていくことなどが含まれます。患者さんご自身が痛みに向き合えるよう支援していくものだとお考えください。

破局的思考スコアが改善するほど脳も回復

同じ論文では、破局的思考と脳の回復についても調べています。

破局的思考とは「痛みのことを繰り返し考える」「痛みに対して自分は無力だと感じる」「痛みはさらに悪化すると思う」などの悲観的な思考のことです。このようなネガティブな考え方は痛みに悪影響がありますが、認知行動療法によって破局的思考が改善するほど脳も回復していました。

破局的思考が改善するほど脳の体積が回復

治療で痛みが改善すれば、脳は回復する

2011年の研究です。少なくとも1年以上痛みが続いている慢性腰痛の患者に脊椎手術や椎間関節注射などの治療を行い、脳の変化を調べました。慢性腰痛患者は脳の複数の領域において皮質が薄くなっていましたが、痛みを治療した結果、背外側前頭前野(DLPFC)をはじめとした皮質の厚みが増加していました。

治療後のDLPFCの変化

Effective treatment of chronic low back pain in humans reverses abnormal brain anatomy and function.

慢性の痛みは、脳に大きな変化を起こします。しかし、それは取り返しのつかないものではなさそうです。痛みを改善することで脳は本来の状態へと戻っていくことが確認されています。