33%が1年経っても治っていなかった
腰痛は病院を受診してから、どのくらいで治るものでしょうか?
こちらは1996年、アメリカでの調査です。
ほとんどの患者は最初の4週間でかなり改善する
1ヶ月後、軽度の痛みが残るのは66~75%、少なくとも中等度の痛みが残るのは約33%
1年以上経っても33%は少なくとも中等度の断続的・持続的な痛みがあり、7人に1人は重度の痛み
The course of back pain in primary care.
初期の4週間でかなり改善するとはいっても、すぐに完全に治り切る人って実はそんなに多くないようで、3人に1人は1年経っても治っていませんでした。
ちょっと注意したいのは、この調査は総合診療(プライマリ・ケア)を受診したタイミングから調査しているので、発症してからの期間ではないことです。腰を痛めてすぐ受診した人もいるでしょうが、何日か様子を見て治った人は含まれていないことになります。また、これはアメリカの調査ですので、日本でも同じ結果になるかどうかは分かりません。
それにしても、思った以上に腰痛って後に残るんだなという印象です。
普段、腰痛を治療している身としては、発症してすぐの腰痛であれば治療3回以内に治ることがほとんどだと思います。とはいえ、一度治っても再発してしまう方も中にはいらっしゃいます。
腰痛再発のリスクになるのは、痛みを過度に怖がること、腰をかばって体を動かさないこと、職場など社会的な環境、ストレスなどです。「腰が弱いからだ」「体が衰えたせいだ」というように、ネガティブに腰痛を解釈してしまうとよくありません。
リハビリをするように、少しずつ体を動かして自信を取り戻していくことが大切といえます。
念のため書きますが、姿勢のゆがみは関係ありません
患者さんの中には、医療関係者から間違った情報を吹き込まれて、それを信じてしまっている方がいらっしゃいます。その最たるものが「姿勢のゆがみがあるから腰痛になる(再発する)」です。これは医学的には全く根拠がありません。
姿勢については過去記事で触れていますのでここには書きませんが、人類の中には腰痛が全くない民族もいたりします。腰痛は二足歩行する人類の宿命だとか、それっぽいウソにはご注意ください。
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