ダイエットの方法は世の中にたくさんあります。根気のいるもの、お手軽なもの、費用のかかるもの、様々です。
できるなら、苦労せずに痩せたい。そんなニーズに答えてくれそうな耳つぼダイエットですが、さて実際はどういうものなんでしょう。当院では耳つぼダイエットを行っていない、というのが答えのようなものですが、中身を見ていきましょう。
そもそも耳つぼダイエットとは?
ツボというのは全身にあるわけですが、耳にもたくさんのツボがあります。中国式とヨーロッパ式があったりもしますが、そのツボを使ってダイエットしようとする方法が耳つぼダイエットです。
具体的には、円皮鍼というシールについた鍼(はり)を耳に貼り付けておく方法が一般的です。これによって、過剰な食欲を抑えて、体重を減らそうとする方法になります。
大変お手軽に痩せられそうなこの方法、試した人の半分くらいは痩せられるといいます。ところが、残りの半分の人は、あまり変わらないか、下手すると逆に太ったりもします。ダメじゃん!と言いたくなるわけですが、考えてみれば仕方のないことかもしれません。
鍼灸の目的から考える耳つぼ
鍼灸というのは本来、痩せるための手段ではなく、健康になるための手段です。耳つぼも鍼灸ですから、結果として体は健康に近づきます。すると、健康になった結果として痩せる人がいる一方で、健康になったために太ってしまう人も出てくるわけです。
例えば、胃腸が非常に活発で、ついつい食べすぎている人の場合。鍼灸によって胃の過剰な興奮が抑えられれば、食欲も落ち着いて痩せてくる。
ですが、逆に胃腸の働きが悪くて、消化吸収がよくない人の場合はどうでしょう。健康になると消化吸収がよくなって食欲が増しますから、運動量を増やさないと太りますよね。
もちろん、しっかり消化吸収して動くことは健康には欠かせませんが、耳つぼが必ずダイエットに効くとは限らないのです。実際、耳つぼダイエットには、食事制限と運動が必ずついてきます。すると、耳つぼって本当に必要なんだろうか?という疑問もわいてきてしまうわけです。
もう一つ問題点を上げると、耳つぼダイエットって永久に続けられますか?という問題です。一時的に痩せたとしても、その後やめてしまうとやがて元に戻ります。下手するとリバウンドです。筋肉が減って脂肪が増えて、ダイエット前より状況が悪くなったりもします。
ダイエットは、できるだけ無理なく継続して続けられることが望ましい。一時的に頑張るのではなく、長い目でより良い方向へ生活を見直していく視点が大切です。
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