症状のことばかり考えていると、悪化することがある

例えば痛み。痛みは本来は危険信号ですから、そこに意識が向くことは自然なことです。しかし、そのことばかり考えていると、脳は次第に「あー、痛みにそんなに興味あるんなら、痛みをもっと強くしよう」とでもいうかのような変化をします。すると実際に痛みが強くなったり、治っているはずなのに痛みが消えないという面倒なことになります。これが痛みの慢性化と呼ばれるものの正体でもあります。

痛みに限らず、自律神経のアンバランスによって起こる症状であれば、同じことが起こる可能性があります。例えば、過敏性腸症候群では、いつでもトイレに行ける安心な状態であれば何も問題ないのに、人会うために出かけようとした途端にお腹の調子が悪くなることがあります。「人と会っているときにもし・・」と意識が症状に向けられることで、脳がその通りの症状を引き起こしたと考えることができます。

症状のことを考えることでうまく予防できればいいのですが、身体の反応はむしろ逆になることがあるわけです。緊張しないようにと思うほど緊張するのと同じ話です。難しいものですね。

出来たことに注目する

ではどうすればいいのでしょう。その答えの一つが、「出来たことに注目する」です。身体が痛いことに注目するのではなく、痛いけれど立って歩けているとか、予定通りに仕事に行けたとか。「ここまで出来ている」という部分に意識を向けて、自分を自分で褒めてあげるといいのです。褒めるというのは、実際に声に出して褒めるといいでしょう。

過敏性腸症候群でも同様に、お腹が心配だけれど家事はしっかりやったとか、ちゃんと習い事に出かけたとか、小さくとも出来ていることがあると思います。その達成した部分に意識を向けてみて下さい。自分は身体の調子が悪いかもしれないけど、これは出来ている。そのことに、自信を持ってみてください。

人と比べて落ち込むことはありません。自分に出来ないこと、自分に無いものを数えてもいいことはありません。それよりも、今の自分にあるもの、達成できていることを数えることです。

人は鳥ではありませんから、羽ばたいて飛ぶことはできません。もし、「空を飛べない」と落ち込んでいる人がいたら、それはとても勿体無いことではないでしょうか。心理的にであれ、物理的にであれ、出来ないことは出来ません。でも、出来ることをしていると活路が開けるということは往々にしてあることです。

治った後のことを考える

治ったら何がしたいですか?
旅行ですか?
新しい趣味でしょうか?
症状のせいで中断していた事はないでしょうか?

寝る前の5分でもいいので、治ってやりたいことを楽しんでいる自分の姿をイメージしてみて下さい。すると脳は「何だ治ったのか」と、正常な働きに近づいてくれます。これぞプラシーボ効果(プラセボ効果)というものです。人に話す必要はないので、こっそり、より良いセルフイメージを模索してみてみてはいかがでしょうか。

イメージトレーニング