安静にしても腰痛は改善しない
「腰痛になったら安静にしていないと」
こうお考えの方はまだまだ多いことでしょう。腰痛は腰のケガであり、深刻なダメージであり、動かしたらよけいに悪くなる。そんなイメージをお持ちではないでしょうか。
それが違うんです。
むしろ、寝ていたら治りにくくなる。
腰痛はケガじゃなかった。
動かした方が早く治る。
これが腰痛の新常識です。
今日お伝えしたいことは「腰痛は動いて治す」ですが、特に「怖がらずに動くことが大切」という点を強調したいと思います。
こういう話に触れたことがない方にとっては、「えっ!?」という感じかもしれません。普通、痛いのは誰だって嫌ですし、痛いときには動かさずにいた方がいいと思うでしょう。それなのに動かした方がよくて、さらには怖がらずに動いてくれって?
でも、これが最新の腰痛研究が導き出した答えなんです。どういうことなのか、説明していきましょう。
仮に腰をケガしたとしても、3ヶ月もあればまず治っている
世の中には、長びく腰痛でお困りの方がたくさんいらっしゃいます。もしかしたら、あなたもその1人かもしれません。腰痛が3ヶ月以上続くものを慢性腰痛といいますが、患者さんの中には10年以上も腰痛だという、いわゆる腰痛持ちの方がいらっしゃいます。
しかし、普通に考えて、痛みがそれほど長く続くことはありえません。仮にケガしたとしても、3ヶ月もあれば普通は治ってしまうからです。それどころか多くの場合、腰痛を調べてもこれといった異常が見つかりません。腰に問題がないはずなのに痛い。それは腰ではなく、別のところに問題があるということです。
どこかといえば、脳です。近年の研究では、腰痛が長びく原因は脳にあることが分かってきています。
痛みを怖がると腰痛は長びく
腰痛が長びく人によく見られる共通点があります。「痛みを怖がること」です。
腰が痛い。痛いのでできるだけ動かしたくない、じっとしていると安心で、動かすことに不安を感じるようになる。痛みを過剰に警戒して、腰をかばうようになる。動くことだけでなく、人付き合いもおっくうになっていく。こうした悲観的な考え方を専門的には破局的思考といいますが、そうこうしている内に、脳は痛みを感じやすくなっていきます。
身体の痛みを感じるのは最終的には脳です。脳は感じた痛みを調節する働きを持っていますが、痛みを怖がっているとその働きが落ちてしまうことが分かっています。これには脳の扁桃体と側坐核が関係しているといわれています。
恐怖心を克服するために動く
動くことです。といっても、痛いのを無理して動かせといっているわけではありません。痛くない範囲で動かせばいいのです。がっつり走らなくても、軽い体操やストレッチでも大丈夫です。
「このくらいなら動いても痛くない」とか。「痛いけどこのくらいの活動はできる」とか。徐々にで構いませんので、身体を動かしながら自信を取り戻していくことが大切です。
自分自身の身体に対する悪いイメージ。それを払拭するために動くと思っていただければいいかと思います。そうしている内に脳は機能が回復して、痛みを感じにくくなっていきます。イメージしにくければ、動いた方が血行が良くなるとか、動いて身体が弱るのを防ごうと考えていただくといいでしょう。
コルセットや腰痛ベルトで腰をガチガチに守ってばかりいると、恐怖心をなかなか克服できません。少しずつでいいので、守りから攻めに意識を切り替えていくことです。
参考になりましたら幸いです。
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