「ひどくなる前に」その判断が難しいんです
本日のとある患者さん。
腰痛で年に1~2回お越しになる方です。いつもは痛めたタイミングですぐにお越しになるのですが、今日はそこまでひどくはない様子です。
聞いてみると、「だんだん痛くなってきたので、ひどくなる前に」とのこと。これには関心させられたといいますか、分かっていてもなかなか出来ないことだなと感じました。
そうなんです。ひどくなる前に治療した方がずっと早く良くなって、結果的に時間も費用も少なくてすむんですね。私もよくそのようにお伝えしていますし、おそらく皆さんもご理解されているでしょう。
でも、そうはいっても動けるし、痛いけど仕事はできる。そのうち治るかもしれない。放っておいて治るなら費用がもったいないけれど、徐々に痛くなってきている。治療を受けた方がいいのか、それとも・・・。
治療を受けるタイミングって、なかなか決めるのが難しいと思います。そして、多くの方がひどくなったタイミングで来院されます。
「すぐ治療」だけが選択肢とは限らない
「ベストな選択」というものは、「その患者さんにとってベストな選択」であるべきです。
医療者側の視点でとにかく早く治すことだけを考えるのであれば、「いますぐ治療すべき」という話になりがちです。しかし、それが患者さんにとってベストかは分かりません。患者さんそれぞれの価値観で大きく答えが変わってくる問題です。
ひどくなった時にだけ治してもらえばいい、という方もいると思います。ひどくなると困るから、できるだけ早い段階で手を打ちたい方もいると思います。少しでも症状があったら心配だから、常に万全の状態でいたい、という方もいるかもしれません。
私は治療する側ですので、基本的には治すことに意識を集中しています。ご縁のあった皆様が、最も早く良くなるにはどうしたらいいだろう?という方向で物事を考えます。そのために選んだ手段が鍼灸だということでもあります。
しかし同時に、それが全てでないことも承知しています。鍼灸以外の選択肢も当然出てきます。選ぶのは皆様の自由です。私は鍼灸はすばらしい医療だと考えていますが、常に鍼灸が最高だというような行き過ぎた考え方はしないよう気をつけています。
インフォームドコンセントという言葉がありまして、日本語では説明と同意と訳されます。もしくはEBMという概念もあります。根拠に基づいた医療のことです。
医療側は、医療情報、考えられる治療の選択肢、その根拠を提示する。患者側は、ご自身の価値観に基いて選択する。同意が得られれば、はじめて治療が行われる、という流れです。医療者側が正解を押し付けるスタイルは、現代では控えるべきものとされています。
判断するためには情報が必要です
冒頭の患者さんは、これまでに色々な話をして、治療についても知識をお持ちです。何も予備知識なしに「ひどくないけど今のうちに治療しよう」と判断されたわけではないでしょう。
放っておいた場合、どうなるだろうか。
治療を受けた場合、どうなるだろうか。
この見通しがあって、はじめて判断を下せるのだと思います。そのためには、今の状況を整理したり、選択肢に何があるか知っておく必要がでてきます。
今の時代、インターネットで調べようと思えば、膨大な情報にアクセスできます。しかし、昨今のフェイクニュースやオルタナティブファクトと呼ばれるような、眉唾な情報も溢れています。
もし、「意見を聞いてみたい」と思われた方はお気軽にご相談ください。電話でも問い合わせフォームでも何でも構いません。相談では費用はかかりません。
30分以上いろいろと話し込んで、当院の治療を選択された方もいます。別の選択肢を選ばれた方もいます。当院に相談したからといって、通院しなければならないなんて決まりはありません。
お話する中で、治療を受けるタイミングや、ベストな選択肢が見えてくるかもしれません。