昨日は京都府鍼灸師会の生涯研修会でした。
京都医健専門学校にて、約5時間弱ほど受講してきました。
テーマは2つ。
・経筋治療 堤野孟先生
・ロコモティブシンドロームと鍼灸治療の応用 越智秀樹先生
特に後半の越智先生の講座は勉強になりましたので、内容を少し書いてみたいと思います。
ロコモティブシンドロームと変形性膝関節症
ロコティブシンドロームとは、運動能力の低下による、要介護・寝たきりになるリスクの高い状態のことです。
一歩手前の状態ですね。
高齢による運動能力(特に歩行能力)の低下、関節疾患、骨折・転倒などで、要介護・寝たきりに陥る可能性が高くなります。
このうち、関節疾患は比較的割合が大きく、ここが鍼灸師の活躍できる分野でもあるということです。
さて、歩行能力が低下するというと、多いのは膝関節の疾患です。
その中でも、変形性膝関節症は代表的です。
この痛みをケアしていくことが非常に重要になります。
しかし、それ以外の疾患の可能性もありますから、鍼灸で治療できる疾患なのかそうではないのか、しっかりと見極める「鑑別」ができないといけない。
そのためには、問診で確実に可能性を絞り込むことの重要性を説いておられました。
この問診による鑑別は非常に大切なのですが、いわゆる無免許マッサージや整体などでは、その概念すら知らないこともあるようです。
それによって、本当なら医師に見てもらわないといけない疾患を施術してしまい、正しい治療の機会を失うといったケースが問題になっています。
私も免許持ちの一人として、ここはしっかり押さえておきたいところです。
膝に水が溜まるのは悪いことではない
ところで、変形膝関節症というと、「膝に水が溜まる」という点が注目されがちです。
膝に水が溜まったから、お医者さんに抜いてもらう。
でも、1~2週間したらまた溜まる。俗に、水を抜くとクセになるといったりもします。
これはどういうことなのでしょうか。
変形性膝関節症では、関節の表面にある軟骨がすり減ります。
削られた軟骨のかけらは、関節液の中をうごいて、関節を覆う滑膜に触れます。
すると、滑膜にある受容体がこれをキャッチして、軟骨をケアするために滑液という水を出すわけです。
滑液はその名の通り潤滑液ですから、関節の動きをよくするとともに、軟骨組織を栄養して修復を促します。
つまり、膝に水が溜まるのは、必要なことなんですね。
軟骨の修復が進めば滑膜も水を出さなくなりますから、自然と水は引きます。
膝の水を抜くのは、水がたまりすぎて膝の曲げ伸ばしに支障が出てきた場合に行うのがベストということでした。
あまり頻繁に水を抜いていると、注射で滑膜を傷つけますから、それによって水がよけいに出る可能性も考えられる。
ただし、赤い水がたまった場合は、外傷の疑いがありますから抜いた方がいいとのこと。
鍼灸治療のポイントについても講義があり、鍼灸で膝の可動域の改善、痛みの軽減といった効果があることをデータをもとに解説いただきました。
こうした内容は、今後の当院の治療にしっかり反映させていきます。