こりや痛みのない快適な体。
それを手に入れるヒントが武術にあります。
武術とは、つまり肉体の運動能力をいかに効率よく高めるかを追求したものです。
その訓練の中には、痛みを治すヒントがたくさん隠れています。
脱力のメリット
力を抜く。
武術において必須となるのが脱力です。
熟練者ほど力を抜くことの大切さを知っているものです。
こちらは剣豪、宮本武蔵です。
これで強いのかと思うほど、まるで力みを感じません。
脱力した状態こそ、体が一番快適に動ける状態なのです。
力を抜くといっても、ただ抜くのではありません。
動けるだけの最低限の緊張を残しながら、ムダな力だけを抜きます。
イメージとしては、アクセルは残しつつもブレーキを外していく感覚です。
火事場の馬鹿力というものがあります。
人は生命の危機に直面したとき、リミッターが外れて普段は出せない力を出すことができます。
そのリミッターの一つが、体のムダな緊張です。
体が極端な動作をしないように、ブレーキとして全身の筋肉に力が入っているのです。
本来は必要なブレーキですが、痛みやこりが出ている場合、筋肉がこわばってブレーキが強く効きすぎてしまっている状態です。
これを解除していく方法があります。
ゆっくりウォーキングエクササイズ
エクササイズといっても歩くだけなのですが、ただ歩くのとは少し違います。
できるだけ力を抜いて、ゆっくりと歩きます。
準備の脱力は念入りに
まずは前準備です。
呼吸はおだやかに、普通に立ちます。
両手をだらーんとさせて、体をゆすりながら力を抜いていきます。
全身に意識を張り巡らせて、力が入っていないことを確認してください。
どこかに力が入っていると思ったら、再び体を軽くゆすったりしながら、しっかり脱力してください。
特に背中や肩は力みやすいので注意しましょう。
しっかり力を抜けましたか?
もし、十分に抜けたと思っても、まだいけます。
だって、今も立っていますよね?
本当に完全に力が抜けきっていたら、立っていることすらできなくなるはずです。
とはいえ、その場に崩れ落ちてもいけないので、ギリギリ崩れ落ちないレベルだけはキープして、もう一段階力を抜いてみましょう。
体のどこかに違和感やこわばりを感じていたら、そこにはムダな力が入っています。
不思議と体が半分浮いているような、少しあたたかいような感覚が出るまで、力を抜いて大丈夫なのです。
体をブラブラとゆらしながら、ご自身の体の重さを感じてください。
いきなり完璧に出来る必要はありません。
これ以上抜けないところまで力を抜いたら、準備は完了です。
1歩に20秒かけて歩く
では、ゆ~~~~~~~~~~~~~~っくりと歩きましょう。
本当にゆっくりと。
一歩に最低でも20秒かけてください。
30秒くらいかけるとなお良いです。
右足を持ち上げようとすると、体が左に傾いて体重がじわじわ移動する、ヒザも少し曲がる、、
ようやく右足を持ち上げることができる、さらに左に体重がかかる、、
ゆっっっくりと足を前に出していくと、上半身はやや右に傾きはじめます、、
足がもうすぐ地面につくかなーという所がちょっとしんどいですが、パタンと足をつかないように、左のつま先で支えながら、ゆっくりと右足をつけて、右ヒザが曲がって体重が右に戻っていきます。
そして、今度は左足からじわじわと体重を抜いていき・・・
体の声を聞きながら、できるかぎり脱力しつつ、できる限りゆっくりと、やわらかく、じわーーっと歩きます。
プールの中を歩くような感覚です。
慣れないうちはすぐに疲れると思うので、1日3分で大丈夫です。
多少、体がグラグラしても構いません。
この練習を続けると、どんどん体からムダな力が抜けて、日常でもスムーズに動けるようになっていきます。
うまくやるコツは丹田を意識することです。
丹田というのは、ヘソの下握りこぶし1つ分のところです。
体の重心のちょうど真ん中が丹田になります。
ここを意識しながら動くと、脱力しながらでも動きが安定しやすくなります。
このエクササイズのいいところは、体に軸ができることです。
普段うまく使えていない深いところにある筋肉をムダなく使えるようになっていきます。
体のこわばり、緊張が抜けていって、ある日気がついたときには、こりも痛みも消えています。
ぜひお試しください。