腰痛は職業病だ。
腰に負荷のかかる仕事をしていると腰痛になる。
こうした考え方は、日本ではまだまだ根強いかもしれませんが、海外ではそうではありません。
むしろ、腰に負荷をかけることで体が発達すると肯定的に考えられていますし、椎間板にしても負荷をかけた方が老化(変性)がゆっくりになることが分かっています。運動は腰に負荷がかかりますが、腰痛を予防することが分かってきています。
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身体的負荷が腰痛を減らすことが判明
2003年の研究です。
スウェーデンの農業従事者1221名と非農業従事者1130名を対象に、身体的負荷の筋骨格系症状への影響を調べました。その結果、身体的負荷はこれまで考えられていたのとは違い、むしろ腰痛を減らすことが明らかとなりました。
そんなはずは?と思われたかもしれません。しかし、ここで大事になるのは常識を疑う視点です。
例えば、農家の人が「腰が痛い」と言ったとしましょう。すると私達はつい、「農業は腰に負担がかかるから腰痛になるんだな」と考えてしまいます。しかし、実際には偶然どこかにぶつけただけかもしれません。
このように、私達にはこれまで生きてきた中で作り上げたイメージで物事を見てしまうクセがあります。それによって、事実とは異なった物の見方をしているのかもしれません。医学では、こうした無意識の先入観を取り除いていくことが大切とされています。
この研究では、腰痛をはじめとした筋骨格系症状に、何が関係あって、何が関係ないのかを統計を使って詳しく調べています。その結果、身体的負荷はむしろ腰痛を減らしていて、腰に「保護的に」作用することが確認されました。
こうなると、腰痛を起こしているのは身体的負荷とは別の何かというしかありません。この論文では、「腰痛の罹患率を身体的負荷で説明することはできなかった」「身体的負荷に焦点をあてた予防戦略は、より広範囲なアプローチによって補完する必要があるようだ」として、心理・社会・経済的な要因などを挙げています。
この結論は、その後の腰痛とストレスの研究によって、さらに明確化してきているといえるのではないでしょうか。
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