とある症例。
1年ほど前から、咳き込むようになる。始めはカゼかな?と思っていたそうですが、熱もなく、かといって収まる気配もないので、病院を受診。「セキ喘息」と診断されて、薬をもらったものの、あまり効いた様子はないとのこと。
この患者さんは、もともとアレルギーがありまして、花粉症でお悩みでした。また、痰がよく出ていました。1年半前くらいに来院された際は、主に痰の対処をしながら腰痛治療を行っていました。
そこから間が空いて今の状態になるわけですが、診察したところ実は本質はそれほど違わないことが分かりました。もともと、胃腸の働きが旺盛で、水分をたくさん飲んでいました。それだけならよかったのですが、取り込んだ水分を体内で処理しきれず、水の停滞を起こしていました(湿邪)。
水の停滞が痰を生み、痰を出すためにセキが続くという状態。「冷飲は肺をやぶる」といってもいいでしょうか。
そうなれば、肺経と脾経の合穴からはじめて、胃経の処置も必須となりまして、補助に合谷か三間で反応を比べて初回は合谷を選択。虚した附陽を補ったり、内関で熱を抜いて。セキ対策に三穴五鍼法、その他諸症状に適宜対応。
これでどうか。
1週間後に再来。初回の症状は半減していました。1年続いた症状が軽減したのは、鍼灸が奏効したと考えていいでしょう。内心ホッとしましたが、ここで油断はできません。症状に変化がありました。白かった痰が黄色に変わっているというのです。
白は基本的には冷えの意味ですが、黄色は熱です。意味合いが真逆になります。前の治療が効いたとしても、全く同じ治療をすると適さない可能性があるわけです。
慎重に診察したところ、大筋では同じ。細かいところでちょっと違う。具体的には、前回の合谷が三間になったり、附陽が飛陽になったり、左右の内関が一側になったりしています。三穴五鍼法はそのまま。変化した諸症状にも適宜対応。
今回はここまでとしました。