鍼灸には、未病治という言葉があります。TVのコマーシャルで知った方も多いと思いますが、「いまだ病まざるを治する」ということで、病が発症する前に治すという意味です。
病というものは突然に起こるものではなく、順番があります。東洋医学では、まず心身のバランスに乱れが起こり、そこに病因となる大きな揺さぶりがかかって、初めて発症すると考えます。ですから、最初の少しバランスが乱れたうちに治療しておけば、本格的に体調を崩す心配がなくなる、ということです。
バランスの乱れには様々ありますが、一つは冷えです。冷えというと大したことないように思われるかもしれませんが、これがかなり重要です。
生きているということは、生命活動によって体温が作られているということです。これに対して、死とは体温が作られなくなるということですから、究極の冷えに当たります。
そのため、東洋医学では冷えを病の始まりと考え、本格的な症状がなかったとしても未病の一つとして重視します。寒い外に出ていて一時的に手足が冷えたくらいでしたら心配はいりませんが、温かい部屋にしばらくいても温まってこないとなると少し注意が必要です。
体の体温を作る働きが落ちていたり、血液の循環が悪くなっていると、それ単体ではそれほど問題なくても、何かもう一つ要因が重なったときに体調を崩す可能性が高まります。冷えの段階で対処することは疾病予防につながります。
冷えは万病の元という言葉もあります。これから数ヶ月寒い日が続きますので、十分にお気をつけ下さい。
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