鍼灸治療、それも東洋医学に基づいた治療となりますと、診察で何を診ているかは患者さんには未知の世界となるのが普通です。そうした診察の中でも、何を確認しているのか比較的わかりやすいのが、圧痛でしょう。

圧痛というのは、つまり押さえて痛むということです。圧痛点という言葉もあります。鍼灸師は、患者さんの体のバランスを判断する際に、脈診で全体をとらえ、圧痛で細部をつかみます。

もう少し厳密にいえば、圧痛は実の反応です。実は気が多く偏っている反応で、虚実(プラスマイナス)は東洋医学の根幹です。

例えば、脈を診て、あるツボにあたりをつけて確認したところ、実の反応=圧痛があった。その圧痛を指標として治療をした結果、圧痛が消えて脈の異常もなくなった、とすれば治療は成功です。

こうした変化はわかりやすいので、診察の際に圧痛を感じていただき、前後の比較に使うことがあります。本当は、押さえる前から「押したら痛いな」と分かっていることも多いのですが、変化を実感していただくことは治癒の促進にもつながるので、あえてそうすることがあります。