アメリカで、とある学者が強烈な腰痛に悩んでいました。ただの腰痛ではない。このひどい腰痛を治せるすごい医者はどこかにいないものだろうか。
彼は必死になって、スゴ腕の医者を探しました。その辺の医者にこの腰痛が治せるはずがない。事実、どの医者も彼の腰痛を治すことはできませんでした。
苦労の末、ついに彼は理想の医者を見つけました。その医者は、ジャングルの奥地に住む少数部族の医者でした。この医者ならば、私の腰痛を治してくれるに違いない!
学者は彼の地に赴き、その医者の施術を受けます。施術というよりはまじないに近いものです。
「おまえの腰痛は悪霊によって引き起こされている。
今から、悪霊を引き出してこの鳥に乗り移らせる。
その上で、この鳥もろとも悪霊を打ち倒せば、二度と腰痛に悩まされることはない。」
かくして、学者の腰痛は見事に完璧に治りました。
どんなに科学的に間違った治療でも、その人が強烈に信じていると、治ってしまうことがあります。病は気からといいますが、治療も気からです。
ノーシーボのおそろしさ
この話で注目すべき点は、治ったことだけではありません。彼は、自分の腰痛が特別なものだと考え、その辺の医者には治せないと考えていました。そのため、本当にその辺の医者には治すことができなかったという点です。
どんなに科学的に正しい治療でも、本人が効かないと信じていたら、効かないことがあるのです。
思い込みによって治るのは、プラシーボ効果(プラセボ効果)。思い込みによって治癒が邪魔されるのは、ノーシーボ効果(ノセボ効果)といいます。
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