時折、「骨盤矯正はやっていますか?」というお問い合わせをいただくことがあります。当院では、いわゆる骨盤矯正は行っておりません。

骨盤矯正を調べてみると、「骨盤の歪みが体調不良の原因になっているので、その歪みを矯正する」と説明されています。しかし、骨盤の歪みが体調不良の原因である根拠はありません。

骨盤をレントゲンで撮影したとき、左右対称になっている人もいれば、そうでない人もいます。骨盤が開き気味になっている人もいます。前に傾きすぎている人、後に傾きすぎている人もいます。

ですが、そのことと、体調の良し悪しには全く関係がないことが医学的に明らかとなっています。骨盤が歪んでいても元気な人はたくさんいますし、骨盤が歪んでいなくても具合の悪い人はたくさんいるということです。ですから、骨盤を矯正することに、治療としての意味はありません。

また、骨盤はいくつかの骨で出来ているとはいえ、基本的に一つのかたまりになっていて、手で力を加えたくらいで動くものではありません。長い年月をかけて、荷重がかかり続けて形が変わることはあっても、手で1時間マッサージした程度で変形することはありえません。もし簡単に形が変わるような骨盤なら、体重を支えきれず、立って歩くことができません。

いわゆる骨盤矯正の本質は、骨盤の周りにある筋肉のマッサージです。筋肉をゆるめて、足の長さを整えたりしているのです。立ち上がって体重がかかれば、1時間とかからずに元に戻ります。もし骨盤矯正で体調がよくなったとしたら、それはマッサージの効果であって、骨盤とは関係ありません。

当院で行っている鍼灸治療も、骨盤周りの筋肉をゆるめる施術を行うことがあります。しかし、その目的は骨盤矯正ではなく、自律神経の調節です。筋肉のこりは自律神経のアンバランスと関係が深いので、筋肉にアプローチすることで自律神経を調えることができます。これによって、さまざまな体調不良を治療することが可能になります。

最初に戻りますが、当院では骨盤矯正は行っておりません。当院では、鍼灸治療によって、自律神経の調節を行っています。