鍼灸の古い書物では、病気を是動と所生病の2種類に分けています。是道は気の病、所生病は血の病といわれますが、これは一体どういう意味でしょうか。
気の病というのは陽気の異常で、つまり働きの異常です。これは現代医学でいうと機能的疾患にあたり、解剖学的・病理学的な異常のない疾患、例えば心身症などを指します。
反対に血の病は陰気の病ですから形の異常、つまり器質的疾患です。例えば癌など、目で見て異常だと分かるものをいいます。
今回は是動の例として、心身症を見てみましょう。心身症というのは、精神の持続的な緊張やストレスによって引き起こされる疾患をいいます。量が多いので文末に回しますが、これらの疾患は基本的に是動だと考えていいでしょう。この全てが必ずストレスから起こるというわけではありませんが、多くの疾患が心と関係があると知っていただこうと思い、紹介させていただきました。
よく病は気からといいますが、それは本当のことです。ストレスの多い現代ですが、そこから病気にならないよう、うまく付き合う方法を模索したいものです。当院も鍼灸治療でそのお手伝いを致します。
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心身医学的な配慮が必要な疾患(いわゆる心身症とその周辺疾患)
(日本心身医学会教育研修委員会編:心身医学、1991年より)
1.呼吸器系
気管支喘息、過換気症候群、神経性咳噺、慢性閉塞性肺疾患など
2.循環器系
本態性高血圧症、本態性低血圧症、起立性低血圧症、冠動脈疾患、一部の不整脈、神経循環無力症、レイノー病など
3.消化器系
胃・十二指腸潰瘍、急性胃粘膜病変、慢性胃炎、NUD(non-ulcer dyspepsia)、過敏性腸症候群、潰瘍性大腸炎、胆道ジスキネー、慢性肝炎、慢性膵炎、心因性嘔吐、反すう、びまん性食道癌筆、食道アカラシア、呑気性およびガス貯留症候群、発作性非ガス性腹部膨満症、神経性腹部膨満症など
4.内分泌.代謝系
神経性食欲不振症、過食症、偽バーター症候群、愛情遮断性小人症、単純性肥満症、糖尿病、腎性糖尿、反応性低血糖など
5.神経・筋肉系
筋収縮性頭痛、偏頭痛、その他の慢性痺痛、癌性斜頚、書頚、自律神経失調症、めまい、冷え症、しびれ感、異常知覚、運動麻痺、失立失歩、失声、味覚脱失、舌の異常運動、振戦、チック、舞踏病様運動、ジストニア、失神、痩攣など
6.小児科領域
気管支喘息、過換気症候群、憤怒痙攣、消化性潰瘍、過敏性腺症候群、反復性腹痛、神経性食欲不振、過食症、周期性嘔吐症、呑気症、遺糞症、嘔吐、下痢、便秘、異食症、起立性調節障害、心惇克進、情動性不整脈、神経性頻尿、夜尿症、遺尿症、頭痛、偏頭痛、めまい、乗り物酔い、チック、心因性痩撃、意識障害、視力障害、聴力障害、運動麻痺、バセドウ病、糖尿病、愛情遮断性小人症、肥満症、アトピー性皮膚炎、慢性等麻疹、円形脱毛症、抜け毛、夜驚症、吃音、心因性発熱など
7.皮膚科領域
蕁麻疹、アトピー性皮膚炎、円形脱毛症、凡発性脱毛症、多汗症、接触性皮膚炎、日光皮膚炎、湿庵、皮膚掻痺症、血管神経性浮腫、尋常性白斑、扁平および尋常性疣贅など
8.外科領域
腹部手術後愁訴、頻回手術症、形成術後神経症など
9.整形外科領域
慢性関節リウマチ、全身性筋痛症、結合織炎、腰痛症、背痛、多発性関節痛、肩こり、頚碗症候群、外傷性頚部症候群、痛風、他の慢性疼痛疾患など
10.泌尿・生殖器系
夜尿症、遺尿症、神経性頻尿、心因性閉尿、遊走腎、心因性インポテンス、前立腺症、尿道症候群など
11.産婦人科領域
更年期障害、機能性子宮出血、婦人自律神経失調症、術後不定愁訴、月経痛、月経前症候群、月経異常、続発性無月経、卵巣欠落症候群、卵巣機能低下、老人性腺炎、慢性付属器炎、痙攣性パラメトロパティー、骨盤うっ血、不妊症、外陰潰瘍、外陰掻痺症、性交痛、性交不能、膣痛、外陰部痛、外陰部異常感、帯下、不感症、流産、早産、妊娠悪阻、微弱陣痛、過強陣痛、痛産、軟産道強靭、乳汁分泌不全、マタニティーブルーなど
12.眼科領域
中心性漿液性脈絡網膜症、原発性緑内障、眼精疲労、本態性眼瞼疫学、視力低下、視野狭窄、飛蚊症、眼痛など
13.耳鼻咽喉科領域
耳鳴、眩暈症、心因性難聴、アレルギー性鼻炎、慢性副鼻腔炎、嗅覚障害、頭重、頭痛、口内炎、咽喉頭異常感症、しわがれ声、心因性失声症、吃音など
14.歯科・口腔外科領域
顎関節症、牙関緊急症、口腔乾燥症、三叉神経痛、舌咽神経痛、ある種の口内炎、突発性舌痛症、義歯不適応症、口腔・咽頭過敏症、頻回手術症など
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