鍼灸師をやっていると、ときどき聞かれるのがこの質問。
「どうして鍼を刺すのですか?」
治すために刺すのですが、これだと答えになっていません。
答え方は色々あると思うのですが、一番簡単なのはおそらく…
「鍼を刺すと身体にはごく小さな傷がつきます。すると身体は傷を治そうとします。治すには、血液の循環をよくして酸素や栄養を送り込む必要がありますから、鍼をした場所は血行がよくなって、新陳代謝が活発になります。この時に筋肉の緊張が緩んだり、免疫力が高まったりするので鍼を刺すのです。」
こういう説明でしょうか。
東洋医学的には「気の偏りを整えるため」となりますが、気とは血液を動かす原動力ですから、やっぱり血行改善が鍼灸の目的だといえるでしょう。
しかし、血行改善にはもう一つあります。自律神経の問題です。
傷を治すための反応はその場所だけの問題ですが、そもそも血行不良が起きている原因は自律神経にあります。自律神経は私達が自分で動かせない身体の機能を全てコントロールしていますから、血流も自律神経に支配されています。こちらは全身の問題です。この自律神経にアプローチしないと、一時的に改善しただけでまた元に戻ってしまいます。
鍼灸は、その刺激するツボを選ぶことで、自律神経のバランスに影響するんですね。それも交感神経・副交感神経という大きなバランスだけでなく、特定の機能や内臓を狙ってアプローチします。これが鍼灸の特徴の一つです。
仮に整形外科や接骨院が骨のプロ、整体院が筋肉のプロだとすると、鍼灸師は自律神経のプロだと言っていいのではないでしょうか。
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