今日は、自分の立ち位置を再確認してみようかな、といった記事になります。
鍼灸院が多すぎる
鍼灸院って、すごくたくさんあります。鍼灸整骨院になると、もっとたくさんあります。
多くの方が「どこに行ったらいいのか分からない」とおっしゃっています。
ちょっと検索したら、たくさんの鍼灸院があることは分かる。でも、違いがよく分からない、もしくは決め手に欠ける。
値段、場所、先生の経歴、患者さんの声、いろんな情報がサイトには載っています。でも、それだけでは「あ、ここに行こう」とは決められない。そういう状況なんだと思います。
これは当院においても、情報発信するときに考えることです。ウチは他とどう違うのか。何が特徴なのか。それをどう書けば、分かりやすく伝わるだろうか。
鍼灸専門の強み、鍼灸院の曖昧さ
当院の大きな特徴というと、鍼灸専門であるということです。実は鍼灸専門というのは少数派になります。鍼灸院といっても、整体を前面に打ち出している所はたくさんありますし、アロマなど他の施術を取り入れている所も非常に多くなります。
最近は整骨院でも鍼灸を行っている所が多いですが、いわゆる鍼灸整骨院では本格的な鍼灸は期待できません。「鍼灸なら何でもいい」という場合は別ですが、一般的に考えて、腕のよい鍼灸師に頼みたいという場合は鍼灸専門の治鍼灸院を選んだ方が確実性が高くなります。ラーメンを食べたいときはラーメン専門店の方がおいしいに決っているのと同じ理屈です。
ただ、具体的にどんな施術を選ぶかが定まっていない段階では、鍼灸院という所はたいへん曖昧な存在です。よく分からない、不安、場合によっては怪しい。
整体院は体のバランスを整えてくれる場所。では鍼灸院は何をしてくれる所だろうと考えたとき、「鍼を刺される所→怖い」という発想になるかもしれません。これはつまり、治療の方法だけが明確になっていて、治療の目的が伝わっていないという話です。
例えば、病院に行って検査をするとき、注射で採血しますよね。そのとき、「注射が嫌だから検査しない」という人は少ないんじゃないかと思います。何の目的で注射をするかが分かっているから、もっと言えばデメリットを引いてもメリットが残ると分かっているから、採血に応じるということでしょう。
でも、鍼灸の場合だと鍼を刺すことは分かっていても、何のメリットがあるのかよく分からないという方は多いと思われます。もしくは、鍼灸で得られるメリットが、整体を始めとした他の治療と比べて、どのくらい優れているのかが分からない。よく分からないから、鍼灸よりも他が選ばれるという側面はあるのかなと思っています。
ただ、同時に「鍼の方が効きそう」というお声もいただくことが多く、イメージが人によって大きく違うのかなと感じています。
専門って分かりやすいけどどうなんでしょう
もちろん中には分かりやすい鍼灸院もあります。例えば、肩こり専門とか、不妊鍼灸専門というのは分かりやすいです。
ただ、いまのところ当院では特定の疾患を専門にすることは考えていません。専門というのは裏を返せばそれしか治せない、それしか対応できないという話です。
例えば腰痛専門だとしたら、腰痛は治療するけれど、坐骨神経痛になったら他所へどうぞでは困ります。もしくは女性専門だとしたら、その女性のお子さんが男の子だったら対応できないのか。はたまた旦那さんを紹介したいと思ってもダメなのか。
体の不調でお困りの方がいて、治療することもできるのに、院のコンセプトが違うからお断りする。こうした形は私の望むところではありませんので、やっぱり何かの疾患に特化することはないでしょう。
当院はどちらかといえば、「何を相談しても何とかしてくれる」または「ストレスならここ」というような形で評価をいただいている所があります。万能ではありませんが、幅広く対応していることは事実です。「健康なんでも相談所」というのが近いかもしれません。
そもそも鍼灸の価値って何だろう?
鍼灸にしかできないことは何だろう?という話です。
鍼灸というのは身体の不調を整える、つまり治療法であり、予防法でもあります。また、全身を整えるという方法論によって、非常に対応できる範囲が広いことが特徴となっています。これは鍼灸の価値といっていいでしょう。
この「全身を整える」は、多くの整体師が行っているような、骨格・筋肉のバランスを整えるだけに留まりません。人の身体には、脳があり、神経があり、血管があり、内臓があり、免疫があり、そして骨格・筋肉もあるわけです。骨格・筋肉しか整えないのであれば鍼灸は必要ないかもしれませんが、もっと総合的に整えようとすると「鍼灸しかない」という話になります。
ここが大きな違いであり、鍼灸の価値だと考えますし、そこを突き詰めるのが大切だと思っています。
それともう一点
今の世の中は、○○は身体のゆがみが原因だった!説が溢れかえっています。その結果、本当は症状を治したいはずなのに、ゆがみを治して欲しいと考えてしまう人が増えているようです。ゴールの設定を間違えてしまい、医学的に意味のない施術に高額の費用を支払ってしまったり、効果の乏しい健康法に傾いてしまったりする人が多いです。
その結果、日本では年々腰痛が増え続け、厚労省が動き出したりもしている昨今です。
世間の常識に乗っかることはすごく楽です。でも常識が間違っていたら、それは医療側が訂正すべきだと思います。それをしてこなかったので、世界的に見ても日本だけ痛みの治療が時代遅れになっている状況があります。
当院では開院して間もない頃から正しい情報を発信しようと努めて参りました。このサイトに「ヘルニアは痛みの原因ではない」と書いたのはもう8年以上前のことです。多くの治療院がなあなあで済ませている中でこの路線を取れるのは、個人でやっている当院の大きな強みなのかなとも思います。
もっとも、やっている私自身としては、ウソを書きたくないというのが一番大きいのですが。
まとめ
こう考えていくと当院は、
鍼灸専門で、
鍼灸にしかできない部分を追求し、
医学的・科学的な根拠を大切にする
鍼灸院
というのが進む道なのかなと、いつもの立ち位置を再確認する次第です。