今日は鍼灸のマニアックな話です。
経絡治療では、病は五蔵の精気の虚から始まって、そこに病因が加わることで寒熱が発生し、それが他へ波及して病証が現れる、と説明します。病が他へ影響するときは、寒か熱どちらかの形で影響します。
これに対して、難経では伝変という考え方が出てきます。発生した病が他へ影響した場合、どこからどこへ影響したか五行の関係性によって、虚邪・実邪・正邪・賊邪・微邪の五つの邪に分けます。
とはいえ、寒熱はどこからどこへ波及したか分かりますし、五つの邪も病理で寒熱に分けることが出来ますから、ここまでは矛盾する話ではありません。しかし、経絡治療と難経では、治療穴を考えるときに違いが出ます。
経絡治療は五行穴を寒熱に分けて運用しますから、寒の波及があるとき治療穴の選択肢は2つ、熱の波及なら選択肢は3つです。対する難経は、五つの邪が五行穴と直結しますから、治療穴は1つに決まります。
選択肢に幅のある経絡治療、システマチックな難経、といったところでしょうか。
※五つの邪→五邪と書きたいところですが、難経の五邪は中風・傷暑・飲食労倦・傷寒・中湿。
- 投稿タグ
- 東洋医学