「健康とは、身体的・精神的・社会的に完全に良好な状態であり、たんに病気あるいは虚弱でないことではない。 」

WHO憲章の前文にはこのように書かれています。何も問題がないだけでは健康と呼ぶには不十分である、ということですね。そう考えると、健康というものは、病気ではない多くの人を指す言葉ではなく、ほぼ全ての人が目指す目標なのかもしれません。

しかし、これは少々ハードルが高すぎるように感じます。なぜなら、完全に良好でないと健康ではないと考えてしまうと、どうやっても達成できないケースが多く出てきてしまうからです。

こうした健康に対する定義は、東洋医学の方がやさしく設定されています。

東洋医学の健康

東洋医学では、心身に問題がある状態を病(やまい)といって、何も問題のない状態を平(へい)といいます。平は東洋医学の考える健康にあたり、平人とは健康な人のことです。

東洋医学には中庸の考え方がありますから、プラスマイナスゼロの平であればOKと考えます。だいぶハードルがやさしくなったと思います。

平は心身のバランスが保たれている状態です。バランスが乱れると病になり、バランスを取り戻せば平に戻ります。例えば、年齢によって体に衰えが出ても、バランスが整っているなら健康であるというのが東洋医学の考え方です。

ですから、まずは心身を平にして、その上でじっくりWHO的な健康に取り組むのがいいのではないでしょうか。