鍼灸治療というのは、4000年ほど昔の中国人が考えだした医療です。ものすごく古いですね。
当時は、顕微鏡もありませんし、血液検査もありませんでした。その時代にどうやって診察していたのかというと、それが体表観察になります。
健康な人と、病気の人を比べたときに、外から見ても分かる違いがあります。一番イメージしやすいのは顔色だと思いますが、他にも様々な違いが出てきます。
舌の色にも違いが出ますし、お腹を触って分かる違いもあります。背中のこり方も症状によって違ってきます。そうした、体の外から分かる情報を駆使して、診察・治療する方法が現在にも受け継がれているわけです。
私が重視している脈診もその一つです。病院で脈を診るというと、1分間の脈拍数と血圧くらいですが、鍼灸の脈診はもっと複雑です。脈が速い・遅いだけでなく、硬い・柔らかい、浮いている・沈んでいる、長い・短い、滑らかい・渋っている、等々が組み合わさり、健康脈・病脈合わせて100通りは越えます。
こういうやり方で治療していますと、ときどき病院で分からないと言われた患者さんがあっさり治ってしまって驚かれることがあります。昔の人の知見には私も脅かされるばかりです。
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