プラセボ効果とは
プラセボ効果は偽薬効果とも呼ばれます。例えば、頭痛の患者さんに医師が「頭痛の薬です」とウソをいって砂糖の粒を渡したとします。普通に考えれば、砂糖は頭痛と何の関わりもありませんから、飲んでも効くはずがありません。しかし、実際には結構な割合で効いてしまいます。これをプラセボ効果といいます。治療を受けたという思い込みによって、元気になってしまうのです。
また、思い込みはプラスの変化だけでなく、時にマイナスの変化(ノーシーボ効果)すら引き起こします。効くはずの施術が効かなくなったり、症状が悪化してしまったりすることもあるのです。病は気からといいますが、それは治療にも当てはまります。心と体は一つなのです。
有効率と治癒率
世の中には、治療と名のつくものが大量にあふれています。健康法もたくさんあります。それらの中には、一時的な流行によるもので、後から意味がなかったと分かるものも少なくありません。なぜ後になってから分かるかというと、どんなに意味がなくても、プラセボ効果によって治療効果を感じる人が一定数出るからです。
例えば、腰痛に対してプラセボ効果しかない施術を行うと、およそ7割の有効率を示します。その施術に全く意味がなかったとしても、7割の患者さんが楽になったと感じてしまいます。これは凄い数字です。どんな施術でも、それが腰痛の治療であると患者さんに思い込ませることが出来れば、7割は効くのです。割り切ってしまえば、これでも商売にはなるでしょう。
しかし反対に、「たった有効率7割だ」と言うこともできます。治癒率ではないからです。「楽になった」と「治った」には大きな差があります。
鍼灸に求められる数字
鍼灸は、「痛そう」「熱そう」というイメージで、敬遠されがちな治療法です。気持ちよさを売りにするにしても限界があります。それでも残っているのは、結果が出ているからです。
鍼灸の世界では、有効率7割ではお話になりません。有効率7割は効果がないのと同じ意味です。腰痛なら、治癒率7割で最低ラインでしょう。当院は治癒率9割弱ですが、それでもまだまだです。鍼灸治療の目標が、「腰痛を治す」ではなく「そもそも腰痛にならないようにする」だからです。
名人と呼ばれるレベルは遥か先です。