前回に続いてツボの話です。

ツボというのは反応点のことでした。しかし、人体というのは難しいもので、反応の出ているツボであれば必ず効果があるとは限りません。そのため、鍼灸師は反応の出ているツボが本当に効果のあるツボかどうか確認する必要があります。そこで二つの指標を元に判断します。

一つは脈です。当院の治療を受けたことのある方なら分かると思いますが、私は頻繁に脈を診ます。東洋医学の脈診は、現代医学の脈診と違って、脈の速さ以外にも沢山のチェック項目があります。例えば、脈の強さ・深さ・幅・硬さ等です。そして鍼灸師がツボに触れると、脈の打ち方も変化します。この変化を読み取りながら、治療に効果的なツボかどうかを判定しています。

もう一つは体の変化です。例えば、右肩のコリを柔らげたい場合、正しいツボに触れるとその瞬間に肩のコリが取れます。しかし指を離すと再びコリが戻って来ますので、これが治療点だと判断できます。他にも、腹診といってお腹の状態を診ながらツボを探す方法もあります。

鍼灸治療では、理論だけでもある程度ツボを決めることが出来ますが、それだけでは不十分です。どうしても患者さんの体の声を聞く必要が出てきます。私はいつも、宝探しのような気分でツボを探しています。