先日、お灸を自宅でしてもらうことに慎重な理由を書きました。(こちら
リラックス目的ならいいのですが、治療として行う場合には専門的な知識が必要になりますよ、というのが主な内容だったわけです。

ところが、どうも私には想像もつかない世界があった模様でして、無免許なのに自分で鍼治療をしようとする方が世の中にはいるようなのです。しかも毫鍼という本格的な鍼を使う人がいるようです。無謀というか、これは危ないです。

鍼治療には免許が必要です

無免許でやってはいけませんし、やっている人を見過ごすのもよくありません。自分でやる分には法律に違反しないとか、自己責任とかいう問題ではありません。危ないのです。

大阪府池田市の鍼灸整骨院で起きた事件を覚えている方も多いと思います。2009年12月に、鍼治療を受けた直後に患者さんが亡くなりました。鍼を行ったのは、まだ鍼灸学校に通っている無免許の学生でした。

正しい解剖学的知識、正しい刺鍼技術を習得せずに鍼を行うのは危険なのです。自分でやるとしても危険なことに変わりはありません。体のどこにどう神経や血管が走っているのか、その深さは、角度は、安全な刺激量は・・・そうした知識が必要です。ブレーキの踏み方を知らずにアクセルだけで車を運転するようなものです。

肩こりだって、何となく刺していいものではありません。肩の皮ふから肺までどの程度の距離があるか。自分の刺した鍼がいま何ミリ入っていて、あと何ミリ猶予があるのか。鍼の尖端がいまどの組織に触れているのか。皮ふか、皮下脂肪か、筋膜か、筋繊維か、骨なのか血管なのか。上げるとキリがないのでこの辺にしますが、知らないということは危ないということです。

鍼治療に使うディスポーザブル鍼ですが、これは免許を持っていないと購入することができません。一般の人は購入できないはずなのですが、どうも売っている店があるようでして、実際に売っているのを確認しましたが、ちょっと寒気がします。販売業者は何を考えているのでしょう。

どうしても自分で鍼治療にチャレンジしたいというのなら、鍼灸学校に3年通って、はり師免許を取得してからです。もしくは、パイオネックス・ゼロなどの安全なものを使うことです。

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