今日は椎間板ヘルニアの話です。
椎間板は、背骨を構成する一つ一つの骨の間に入っているクッションです。このクッションが飛び出してきてしまったものが椎間板ヘルニアと呼ばれています。多いのは、これが腰で発生する、腰椎椎間板ヘルニアです。
現代医学における椎間板ヘルニア
椎間板ヘルニアは、飛び出した椎間板が近くの神経を圧迫することで、腰痛や足のしびれなどが起こるとされています。しかし、統計などの調査により、椎間板ヘルニアがあっても、それが直接腰痛を引き起こさないことが知られています。例えば、65歳以上になると、ほとんどの人に椎間板ヘルニアがみつかりますが、65歳以上の方が皆さん腰痛に悩んでいるわけではありません。
椎間板ヘルニアの治療には、手術という最終手段があります。腰や足の痛み・しびれの原因が椎間板ヘルニアならば、はみ出た椎間板の組織を取り除けば症状はなくなるはずです。実際、短期的にみると、手術は有効といえます。有効率はおよそ8割です(ただし初回のみ※)
ところが、4年の間隔でみると、自然治癒にまかせる方法と大差がなくなってしまいます。手術をしなくても、4年経つと9割が治ってしまうのです。しかし、改めてレントゲンを撮ると、腰痛は治っているのにヘルニアは残っています。ヘルニアが本当に腰痛の原因ならば、なぜ腰痛は治ったのでしょうか。
鍼灸師からみた椎間板ヘルニア
鍼灸師から見ると、椎間板ヘルニアは特別な疾患ではありません。といいますか、ヘルニアがあるかどうかより、どこにどんな症状があるかの方が大切になります。腰が痛むのか、足がしびれるのか。そのとき、身体のバランスはどうなっているのか。バランスを崩しているのは、どの筋拘縮(こり)なのか。うまくバランスが取れてくれば、ヘルニアの有無とは関係なく、症状は改善に向かいます。
有効率でいいますと、8~9割といったところです。治療期間は1~2ヶ月が目安になります。症状が辛いけれど、手術はしたくないし、かといって症状が消えるまで何年も待てない。鍼灸は、そうした場合の選択肢になると思います。
※椎間板ヘルニアの切除手術は、繰り返すほど有効率が下がります。