鍼灸治療というのは、突き詰めると、いかに効くツボを探すかです。
もちろん、ツボごとに効能はありますが、それを知っているだけでは治療できません。例えば、腰痛に効くツボを答えようとすれば、軽く50は超えます。しかし、それらのツボを適当に選んで使っても、腰痛は治りません。
ツボには、反応というものがあります。反応の出ているツボを使えば効きますが、反応の出ていないツボだと期待した効果は得られません。鍼灸師の仕事は、この反応を探すことが全てだといっても過言ではありません。
ツボの反応というのは、他とは違うということです。ある一点だけ硬い・柔らかい・ザラザラしている・湿っている・乾燥している・冷えている…などです。鍼灸師は治療中、ひたすらツボを探します。
目も大事ですが、手の感覚がたよりです。久しぶりの患者さんだと、顔を忘れていたりすることもありますが、脈を診たり、背中を診たりしているうちに手が思い出してくれます。あー、そうそう、そうだった。この患者さんはここがこうだった。
鍼灸師というのは、大して疲れない仕事だと思われがちですが、非常に集中力を使います。かつて打ち込んでいた、武術や気功の経験に助けられていると感じます。