ときどき、肩こりと腰痛のある患者さんで、「肩こりはもう慣れているので、まず腰痛を何とかして下さい」という要望をいただくことがあります。
実はこれ、できないんです。

東洋医学では、肩こりや腰痛が別々の原因で起きているとは考えません。全ての症状は一つの原因から出たと考えます。それは元気がなくなることです。元気がなくなると、人が本来もっている病気や怪我を治す力である自然治癒力が低下します。そこから肩こりや腰痛が起こってきます。

鍼灸の目的は、心身を元気にして自然治癒力を高めることです。はりやお灸でごく軽い刺激を与えることで、心身を活性化させて元気を取り戻すよう促します。肩こりや腰痛が治るのはそのためです。

ですから、意図的に肩こりだけ治さずに残す、というのは鍼灸的にはありえないのです。肩に触れなくても、治療が効けば自然に治っていきますから。