「健康を食い物にするメディアたち」著:朽木誠一郎

これはぜひ多くの方に読んでほしい一冊です。健康に関心のある方なら誰であっても一読の価値があると思います。

昨今の健康デマに関わる主だったトピックスが一通り押さえられています。WELQ問題、健康食品、がんの補完代替医療、Googleのアップデート、、、何が起きているのか知っておくだけでもプラスになるでしょう。

医療者が口にしづらいこともしっかり書かれています。医療には限界があること、科学だけで全ての患者さんを救えないこと。これが書けるのは、医療記者ならではだと感じます。

私の身の回りにも、怪しい健康情報に騙されてしまう人がいます。それは怪しいよ!と伝えても、「テレビで言ってたから」「本に書いてあったから」と次々と新しい商品に手を出しています。向こうからすれば私は「自分の好きなものに文句を言う人」でしかないのかもしれません。

「ピロリ菌が発見されたのは1979年と、比較的最近です」と書かれているのを見てハッとしました。私の中には、十年一昔という感覚があったわけですが、情報が広まるには40年でもまだ足りない。そんな中で情報を伝えていくことは本当に一筋縄ではいきません。

でも、悪い話ばかりでもない。それぞれが出来ることもある。

難しい話題を扱っていながら、とても読みやすい本です。一気に読めました。おすすめです。

健康を食い物にするメディアたち