自律神経失調症についてはこれまでも色々と記事を書いてきましたが、交感神経優位のパターンで書くことが多かったように思います。理由は、実際の患者さんに多いからです。しかし、自律神経は交感神経と副交感神経の二つのせめぎあいですから、副交感神経優位という場合もあります。

車でいうと、交感神経はアクセル、副交感神経はブレーキに当たります。副交感神経優位というのは、ブレーキを踏みすぎて動かないといったイメージが近いでしょうか。

つまり、何でもリラックスすれば良くなるというわけではなく、場合によってはある程度緊張した方が良い場合もある、といえるでしょう。

そして、さらに書くならば、交感神経と副交感神経は単純なシーソーにはなっていません。交感神経優位といっても、副交感神経がしっかり働いているケースと、そうでないケースがあります。副交感神経優位であっても、交感神経がしっかり働いているケースもあれば、そうでないケースもあります。

交感神経優位か、副交感神経優位かだけでは、語りつくせないのが自律神経です。

例えば、今はオリンピックが開催中ですが、あのような強く緊張する舞台に立つ選手は、当然ながら交感神経が非常に活発に働くことになります。しかし、同時に副交感神経も活発でなければ、うまく心身をコントロールできないのです。アクセルはしっかり踏んで頑張れる、でもブレーキも自在に効くのが理想です。アクセルを踏むとブレーキが効かなくなるのでは困ります。

これは何もスポーツ選手に限った話ではありません。心身を快適に保つためには誰であっても、アクセルとブレーキが自在に効く状態が良いことに変わりはありません。自律神経失調症の改善に、適度な運動と十分な休養が大切といわれるのは、こうした理由からです。

酷使はダメ、怠けるのもダメということで、当院も夏休みが終わりましたので、通常通り頑張って参ります。