鍼灸治療をしていると、患者さんに驚かれることが色々とあります。例えば、脈診で身体の状態が分かることです。
鍼灸治療が生まれた時代には、今の病院にあるような検査器具がありませんでした。そのため、当時の医者(鍼灸師)は今とは全く違う方法で治療法を決めていたのです。
まず、身体に不調があれば必ずそれは身体の外から分かると考えます。例えば顔色が悪いというのは分かりやすい指標です。顔色が悪い患者さんに治療をして顔色がよくなれば、治療がうまくいったと判断できます。こうした診察・治療の判断材料となる指標が、現代医学と東洋医学(鍼灸)との大きな違いとなっています。
その最たるものが脈です。一般的に脈診というと、1分間に何回という話になりますが、東洋医学では遥かに複雑です。まず手首の脈の強弱を診るのですが、左右×3ヶ所×浅い場所と深い場所=12ヶ所の強弱を診ます。この一つ一つが内蔵と関連します。また強弱以外に脈状といって、早さ・硬さ・深さ等々、非常に細かく脈を診ます。そこから身体の状態も把握できますし、治療方法も決まります。
余談ですが、先日知り合いの方が歯が痛いと言っていたので脈を診ました。すると、歯ではなく側頸部の緊張によるものだと分かりました。そこで「鍼をするならここなんですけど…」といいつつ、ツボを選んで指で押さえたところ、「あ、そこスーッと効きます!」と言われまして、その後少ししたら治ってしまいました。
私にすれば想像の範囲内ですが、ずいぶん驚いておられました。
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