A 治療効果を客観的に示す研究結果のこと。

科学的根拠(エビデンス)は医療でしばしば出てくる言葉です。これが出てきた背景として、EBMという大きな流れがあります。

EBMとは、evidence-based medicineの略で、根拠に基づく医療と訳されます。根拠とは、科学的根拠のことですが、どうしてこれが重要なのでしょうか。

それには、少し歴史を知る必要があります。

瀉血という黒歴史

瀉血(しゃけつ)とは、刃物で体を傷つけ、出血させる治療です。かつて医師たちは、病気の原因は血液がよどむためだと考えていて、治療のためにはよどんだ悪い血を抜き去るのが有効だと信じていました。古代ギリシャで生まれた瀉血は、西洋の医師たちに長く支持され、どんな病気にも有効だとして盛んに行われました。

いまの私たちならば、血を抜いても良くなるはずがないとすぐ分かります。しかし、世間に広く浸透している常識を疑うことは、非常に難しいものです。瀉血は1800年代に臨床試験が行われ、有害であることが明らかとなりますが、それまで実に数千年もの長い間、間違った医療が続けられていたことになります。

医師といえども人間です。勘違いや思い込みによって、間違った選択をしてしまうことは多いにありえます。目の前の患者に瀉血をして良くなれば、例え偶然の産物であっても瀉血の効果だと考えてしまう。こうした間違いを繰り返さないために、効果を検証する臨床試験を重視し、検証結果=科学的根拠にもとづいて医療を行うEBMへと繋がっていきます。

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