腰痛が治りにくい人の特徴

ストレスのイメージ画
腰痛は基本的に良性です。対処法を間違えなければ、良くなっていくのが普通です。
しかし、中には思うように腰痛が改善せず、長引いてしまう場合もあります。

今回は、医学研究で判明した「治りにくい人の特徴」を解説していきます。

心理社会的要因(ストレス)が強いと治りにくい

腰痛が長引く背景には、心理社会的要因(ストレス)の影響があるといわれています[1]。ざっくりいうと、ストレスが強い人は治りにくいのです。

では、腰痛を長引かせるストレスとは何でしょうか。医学研究で繰り返し確認されているのは、次のようなものです[2]

  • 運動恐怖……動かすと痛くなりそうなので、特定の動きを避ける
  • 低い自己効力感……自分ならできるという確信が持てない
  • 破局的思考……痛みのことばかり考える、悲観的に考える、無力感など
  • 抑うつ……気分の落ち込み、やる気が出ない

これらの要素が強い人は、腰痛が治りにくいことが分かっています。当てはまりそうな場合は注意が必要です。

痛みが長引いたり、悪循環に陥ってしまうパターンとして、恐怖回避モデルがあります。

「痛い→動くのが怖い→実際に動かない→活動が減る→筋力が落ちる・気分が落ち込む・ストレスが増える→痛みが悪化・長期化」

怖がるほど痛くなる、痛いほど怖くなる。これはループします[3]。この迷路に迷い込んではいけません。

不適切な信念が強いと治りにくい

不適切な信念とは、実際の科学とはズレた、回復の妨げとなる可能性がある信念です。

その代表が恐怖回避信念(恐怖回避思考)です[4]

  • 痛みを悪化させる可能性のある運動は避けるべきだ
  • 私の仕事は腰を痛めるかもしれない
  • 必要のない動きを避けることで、安全に腰痛を予防できる
  • 腰痛で最終的には仕事もできなくなるだろう
  • 私の体は、何か危険な異常が起きていると訴えている
  • 痛みを和らげるために、私にできることは何もない
  • ひどい状況だし、決して良くなることはないと思う

文字にすると、まるで呪いのような言葉ばかりですが、実際にこうした信念を持っている人は、腰痛が慢性化しやすいことが確認されています[5]

特定の動き・姿勢・活動によって、腰が破壊される→避けなければいけない、という信念は回復を邪魔します。

実際にそれで腰を痛めた人はどうなる?

では、腰に強い負荷がかかる仕事をしていて腰痛になった場合はどうでしょう。それでも気にせずに同じ仕事・同じ作業に戻るべきでしょうか?

答えは、「仕事内容を調整しつつ復職する」です。

米国家庭医学会が発行している医学誌の解説では、「できるだけ早く職場復帰するよう促すべき」とされています[6]。痛みを恐れて活動を控えていると、痛みの悪循環に陥りやすく、回復が遅れる懸念があります。一方で、早く仕事に復帰したからといって、回復が遅くなったり、腰痛を再発しやすくなったりはしません。

ただし、腰を痛めた作業にそのまま復帰すべき、とはいいません。仕事の内容や量を調整して復帰することが望ましいでしょう[7]。重い荷物を減らす、作業時間を短くする、段階的に復帰する、などの配慮です。

仕事をしていて腰痛になることはあるでしょう。しかし、「だから避けなければならない」「だから働くべきではない」という信念は回復の妨げになる可能性があります。

できる範囲でやっていくことです。

まとめ

腰痛が治りにくい人の特徴は、「痛みにつながりそうな動きを怖がり避ける」です。腰痛は、恐怖と親和性が高いのです。このことは、脳と腰痛の関係からも裏付けられています。

私がお伝えしたいことはこれまでと同じです。「怖がらずに体を動かしましょう」

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参考

[^1] Psychosocial predictors in the transition from acute to chronic pain: a systematic review

[^2] Psychosocial Predictors of Pain and Disability Outcomes in People with Chronic Low Back Pain Treated Conservatively by Guideline-Based Intervention: A Systematic Review

[^3] A meta-analysis of fear-avoidance and pain intensity: The paradox of chronic pain

[^4] Beliefs about back pain and pain management behaviours, and their associations in the general population: A systematic review

[^5] The role of fear avoidance beliefs as a prognostic factor for outcome in patients with nonspecific low back pain: a systematic review

[^6] Nonspecific low back pain and return to work

[^7] Early Return to Work Has Benefits for Relief of Back Pain and Functional Recovery After Controlling for Multiple Confounds

浦﨑靖博アイコン(小)

著者:浦﨑 靖博(うらさき やすひろ)
鍼灸師。2007年に向日市で開業して以来、鍼灸一筋。当サイトは全て、浦﨑の自作自筆。ブログでは、主に現代医学の情報を解説している。X(Twitter)アカウント