うらさき鍼灸院 京都府 向日市 https://urasaki-harikyu.com 京都府向日市の「うらさき鍼灸院」です。阪急東向日駅西口すぐ。肩こり・腰痛・五十肩・坐骨神経痛・自律神経失調症など、お気軽にご相談ください。 Fri, 04 Oct 2019 10:11:57 +0000 ja hourly 1 https://wordpress.org/?v=5.2.4 https://urasaki-harikyu.com/wordpress/wp-content/uploads/urasaki_favicon.jpg うらさき鍼灸院 京都府 向日市 https://urasaki-harikyu.com 32 32 楽観性と痛みには関係がある? https://urasaki-harikyu.com/blog/optimism-and-pain Wed, 25 Sep 2019 08:57:09 +0000 https://urasaki-harikyu.com/?p=7144 腰痛改善のためには、不安を払拭することが有効といわれています。不安は痛みを増幅したり、長引かせたりすることが脳の研究によって分かってきています。

今回はそれに関連して、楽観主義(ポジティブ)と痛みについてです。

楽観的な兵士は痛みを起こしにくい

Association Between Predeployment Optimism and Onset of Postdeployment Pain in US Army Soldiers.

戦地では、兵士たちに腰痛が増えることが知られています。兵士が戦線離脱する理由として、ケガよりもストレスによる痛みの方が多いのです。そのため、軍隊では慢性痛のリスクを調べることが不可欠とされます。

この研究では、アフガニスタンまたはイラクに配備された、約2万人の米軍兵士を調査しました。その結果、楽観的な兵士は、頭痛や腰痛になりにくいことが分かりました。

これは兵士に限った話ではありません。一般の人々も楽観主義によって痛みが減る可能性があります。

楽観主義は生まれつきのものではなく、学んで身につけることもできます。最高の自分をイメージしたり、感謝を表現してみたり、瞑想やマインドフルネス、認知行動療法などの方法もあります。

ポジティブな対応は症状を改善させる

もう一つ、別の視点から見てみましょう。

General practice consultations: is there any point in being positive?

一般診療で、ノドの痛み・腰痛・頭痛など、症状はあるが身体的な異常は見つからない患者200名を対象に、医療相談を行います。

その際、先生がポジティブな対応をするグループと、ネガティブな対応をするグループに分けます。さらに、それぞれプラセボ治療を行うグループと、何も治療を行わないグループに分けて、2週間後に症状の改善度を調べました。

ポジティブな先生だと64%改善するが、ネガティブな先生だと39%の改善にとどまる。

結果、ポジティブな対応をしたグループでは、治療の有無に関わらず64%が改善しましたが、ネガティブな対応をしたグループでは治療を行っても42%しか改善しませんでした。

論文の著者は「おそらく、医師自身が依然として最も効果的な治療法です」と述べています。どんな治療をするかも大事ですが、対応する先生が誰かによって結果が変わってくるようです。

まとめ

楽観的な人は痛みを起こしにくい。自信に満ち、前向きな態度で接する先生だと、安心できるし、実際に良くなる可能性も高い。

何度書いたかわかりませんが、改めて、「病は気から」と思える論文2本を紹介しました。参考になりましたら幸いです。

参考⇒腰痛の原因と治し方(まとめ)

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睡眠不足の悪影響、大きすぎでは!? https://urasaki-harikyu.com/blog/adverse-effects-of-lack-of-sleep Wed, 26 Jun 2019 09:23:57 +0000 https://urasaki-harikyu.com/?p=6848 睡眠不足の悪影響

睡眠不足は健康に良くない。

そう知っていながらも、ついつい寝るのが遅くなりがちな現代人。

睡眠不足は具体的にどんな影響があるのか見ていきます。

睡眠負債とマイクロスリープ

睡眠不足のことを睡眠負債ともいいます。

知らず知らずのうちに借金のように積み上がていくイメージです。

睡眠不足は眠って取り返すしかありません。

カフェインでごまかしても、それは無理やり脳を覚醒させているだけで、睡眠が必要なくなるわけではありません。

無理を続けていると、やがて症状と共に限界が近づいてきます。

例えばマイクロスリープといって、瞬間的に3~10秒ほど眠ってしまい、物事への反応が遅れることがあります。

車の運転中に起こると大変危険です。

寝ないと死亡率が上がる

睡眠時間が短くなるほど死亡率が上がります。

ラットを寝かさない実験をすると、みるみる食欲がなくなって数週間で死んでしまいます。※2

人間で同じ実験をするわけにいきませんが、3時間睡眠の人たちは7時間睡眠と比べて死亡率が1.3倍に上がるという研究があります。※1

また、睡眠不足の蓄積が、がん・糖尿病や高血圧などの生活習慣病・うつ病などの精神疾患・認知症など、様々な疾患のリスクを高めることも分かってきています。

寝ないと精神に悪影響が出る

ギネスで一切寝ないチャレンジをした高校生は、4日目ころから集中力の低下、幻覚、猜疑心など精神的な変調を起こしました。※2

現在、ギネスブックは断眠の世界記録を認めていません。

睡眠不足でミスが増える

眠気とミス
(文献※3より改変)

健康な成人48人の睡眠時間を制限して、モニター画面上に赤い丸が表示されたらスペースキーを押すという課題(PVT)を与えたところ、6時間睡眠以下ではパフォーマンスの低下が見られました。※3

ミスが増えたわけです。

しかし、彼らはそれほど強い眠気を感じていたわけではありませんでした。睡眠不足にともないミスは右肩上がりで増えますが、眠気は横ばいに近づいていきます。

眠気の強さで睡眠不足を判断することはできません。※4

睡眠不足で太る

寝ないと太るグラフ
(文献※5より改変)

サンディエゴ大学の調査によると、睡眠時間が短い女性はBMI(体格指数)が高くなることがわかりました。※5
また、9時間以上の睡眠でもBMIは高くなっていました。

BMIが最も低かったのは7時間睡眠の人たちでした。

BMI= 体重kg ÷ (身長m)²
BMIが22であれば適正体重、18.5以下は痩せ型、25以上は肥満とされています。

BMIと適正体重 – 高精度計算サイト

睡眠障害は痛みとも関係している

睡眠障害は痛みと関係があることも分かってきています。

例えば、一晩全く眠らずにいると、それだけで痛みの感受性が上がってしまいます。※6

腰痛によって眠れなくなること、眠れないことで腰痛が悪化すること、どちらも関係があるという報告もあります。※7

慢性痛の改善には、睡眠の確保が大切だといわれています。

まとめ

睡眠不足の影響はあらゆる所に出てきます。

注意力が落ちミスが増え、精神状態が悪化し、病気のリスクが増え、寿命が減り、体重が増え、痛みが増える可能性があります。

最低でも6時間、できるなら7時間の睡眠を目標にすることをおすすめします。

文献

※1 10年後「死亡率」が最も低い睡眠時間は何時間か 日本人が知らない睡眠負債の恐怖 | 睡眠 – 東洋経済オンライン

※2 レジデントノート 睡眠について

※3 The cumulative cost of additional wakefulness: dose-response effects on neurobehavioral functions and sleep physiology from chronic sleep restriction and total sleep deprivation.

※4 極論で語る睡眠医学 著:河合真 丸善出版

※5 Mortality associated with sleep duration and insomnia.

※6 One night of total sleep deprivation promotes a state of generalized hyperalgesia: a surrogate pain model to study the relationship of insomnia and pain.

※7 The bidirectional relationship between pain intensity and sleep disturbance/quality in patients with low back pain.

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腰痛に対する鍼灸の有効性は? https://urasaki-harikyu.com/blog/effectiveness-of-acupuncture-for-lbp Mon, 10 Jun 2019 07:42:49 +0000 https://urasaki-harikyu.com/?p=6826 腰痛のポイント

  • 多くの腰痛はケガではなく、体に損傷は起きていない。
  • 骨や姿勢のゆがみは腰痛とは関係ない。
  • ストレスの影響で痛みが治りにくくなる。

腰痛の多くは、腰の筋肉にけいれん・血行不良が起きている可能性があります。

病院では主に、鎮痛薬やリハビリによる治療が行われています。

自力で取り組むのであれば、安静にしないこと、なるべく普段どおり生活すること、ストレスとの付き合い方を勉強すること、などが対策になります。

では、そんな腰痛に対して、鍼灸の有効性はどうでしょうか。

ガイドラインで認められている鍼灸

海外の腰痛診療ガイドラインにおいて、鍼灸は有効性を認められています。
Noninvasive Treatments for Acute, Subacute, and Chronic Low Back Pain: A Clinical Practice Guideline From the American College of Physicians.

これによると、急性・亜急性・慢性いずれの腰痛においても、鎮痛剤より先に行うべき治療として鍼灸が推奨されています。

理由としては、鍼灸は一般的な鎮痛薬よりも有効性が高いこと、副作用などのリスクが低いことです。

WHOは腰痛治療の選択肢として鍼灸を挙げている

WHOマーク

WHO(世界保健機関)のホームページには、腰痛についてまとめたページがあります。
Care for low back pain: can health systems deliver?

その中で、鍼灸は理学療法・心理療法と並んで、腰痛治療の選択肢として挙げられています。

腰痛に対する鍼灸は、医学的にコンセンサスが得られていると考えられます。

ドイツで保険適用される鍼灸

ドイツでは、慢性腰痛と膝痛に対する鍼灸が公的保険の対象になっています。

臨床試験の結果、標準的な医療より鍼灸の方が有効性が高かったのが理由です。

鍼灸は通常医療より有効
臨床鍼灸研究の現状─コクランライブラリーを参照として─

「鍼治療(真の鍼治療、偽鍼いずれも)は、通常治療のほぼ2倍の効果があった。これらの結果に基づいて、鍼治療は現在ドイツの公共医療として認識されている。」
全日本鍼灸学会 国際シンポジウム 腰痛症総論

少し補足

臨床試験は本物の治療とニセの治療(シャム)を比べて、結果に差が出るかを調べます。

鍼灸は本物とニセ物で差が出ないことが多く、プラシーボ効果にすぎないと結論されることがあります。

しかし、鍼灸のニセ治療として使われているのは、ツボの位置からずらして刺す、浅く刺す、皮膚表面の刺激に留める、などの方法です。

いずれも普通に行われている鍼灸の方法でしかなく、人体に効果を及ぼしてしまいます。

つまり、本物とニセ物で差がないのではなく、2つの本物を比べて差がなかっただけです。

薬のように人体に影響しないニセ物を用意できないので、他の一般的な治療と比較しないと効果が見えてこないという難しさがあります。

まとめ

このように、鍼灸の有効性は臨床試験によって確認され、医学の専門家や国際的な機関が有効性を認めています。

腰痛でお困りの際は、鍼灸をご検討ください。

参考⇒腰痛の原因と治し方(まとめ)

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世界の腰痛診療ガイドラインに共通するポイントは何? https://urasaki-harikyu.com/blog/lbp-guidelines-common-point Fri, 24 May 2019 05:53:47 +0000 https://urasaki-harikyu.com/?p=6787 書籍とノート

腰痛になると、痛みの原因は何だろう?どうすれば早く治るのだろう?と考えると思います。

その疑問を解消するために、インターネットで検索する方も多いでしょう。

しかし、ネットには情報が多すぎて、どれを信用したらいいのか分からなかったり、いざ専門家に相談しても意見がバラバラということは珍しくありません。

そこで今回は、医学の専門家が集まって作る世界のガイドラインを参考にしながら、腰痛の分類や治療について見ていきます。

世界の腰痛診療ガイドラインに共通するポイントは何?

世界中で行われている腰痛の研究。その叡智を結集して作られる、腰痛診療ガイドラインというものがあります。

ここでいうガイドラインとは、「医療者と患者さんが、適切な診療の意思決定を行うことを支援する目的で作成された文書」のことです。

何がベストかこれを参考に考えてね、ということです。

ガイドラインを読むと、医学の専門家が何を重視しているのか見えてきます。

An updated overview of clinical guidelines for the management of non-specific low back pain in primary care

世界中で作られている腰痛診療ガイドラインの内容を比較したところ、共通している部分がありました。

腰痛の分類

診断は大きく3つに分類するのが主流でした。

  • 病気が原因の腰痛(レッドフラッグ)
  • 坐骨神経痛(神経根症状)
  • 一般的な腰痛(非特異的腰痛)

オーストラリアとニュージーランドのガイドラインでは、一般的な腰痛と坐骨神経痛を分けていません。

病気の可能性がなければ、一般的な腰痛と同じ扱いです。

病気が原因で腰痛になることは稀ですが、無いわけではありませんので、まずはその可能性をチェックします。

心理社会的要因

心理社会的要因(ストレスなど)を重視するのも世界共通でした。

心理的苦痛、うつ、痛みを過剰に避ける、痛みのことばかり考える、無力感などは、腰痛の発症・再発・慢性化のリスクと考えられています。

カナダとニュージーランドのガイドラインは、心理社会的要因をチェックする方法、チェック後の方針を明確にしています。

腰痛の画像診断

腰痛の画像診断(レントゲン、MRI、CT)については、「日常的な使用を推奨しない」のが世界標準です。

病気の可能性があるときにだけ使うよう制限されています。

画像診断を使わないと体の中のことが分からないのに、どうして推奨されないのでしょうか。

What can the history and physical examination tell us about low back pain?

「腰痛の85%は原因不明である」という形でガイドラインにも頻繁に引用されている論文です。

具体的には、「症状、病理学的変化、および画像診断結果の関連性が弱いため、最大85%の患者に確定診断を与えることができない」と述べています。

画像診断で異常が見つからないのではなく、異常を見つけても腰痛の原因かどうかは分からないというのがポイントです。

例えば、椎間板ヘルニアは健康な人でも76%に見つかるほどありふれた画像所見なので、見つけても腰痛とは関係ないかもしれません。

「原因を特定できないことが多いので、診断努力はしばしば期待外れです。
腰痛のあらゆる場合について正確な原因を探すのではなく、3つの基本的な問いに答えることが最も有用かもしれない。」

  • 痛みを起こす深刻な全身性疾患はあるか?
  • 外科的評価を必要とする神経学的な損傷はあるか?
  • 痛みを増幅・長引かせる心理的な苦痛はあるか?

腰痛の治療

腰痛の治療として、世界のガイドラインが推奨しているのは次のようなことです。

  • 患者を安心させる
  • 活動を続けることを勧める
  • ベッドでの安静は避ける

もしかすると治療に見えないかもしれませんが、腰痛は基本的に自然治癒する傾向があります。

そのため、自然に治るのを邪魔しないことが大切です。

痛みを怖がって普段の活動をやめてしまい、行動範囲が狭まっていく方がずっと問題が大きいのです。

薬の推奨としては、過去にはアセトアミノフェン(解熱鎮痛薬)が第一選択でした。

しかし、2017年アメリカのガイドラインでは、アセトアミノフェンが推奨から外れて話題になりました。

代わりに、薬を使わない保存療法(鍼灸・マッサージ・脊椎マニピュレーション)が推奨されました。

また、3ヶ月以上続く慢性腰痛には、運動療法・認知行動療法なども推奨されています。

2019年に更新された日本の腰痛診療ガイドラインにおいても、アセトアミノフェンは評価を大きく下げています。

まとめ

世界の腰痛診療ガイドラインでは、重い病気の可能性がないことを確認したら、ストレスの影響に配慮しつつ、なるべく普通に生活することを勧めています。

いかなる腰痛も原因を徹底的に調べて診断名をつけて治療すべき、というガイドラインはありません。

この点、患者さんの期待とは違うかもしれませんが、結果的にはその方がメリットが大きいことを医学は明らかにしています。

腰痛を治すためにまず必要なことは、安心と可能な範囲で活動を続けることです。

ガイドラインから逸脱したアドバイスや、安心できない・不安を煽る先生にはご注意ください。

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骨盤矯正に効果はあるのか?エビデンスは? https://urasaki-harikyu.com/blog/pelvis_correction Fri, 26 Apr 2019 06:40:52 +0000 http://urasaki-harikyu.com/?p=2843 骨盤

今日は骨盤矯正について考えてみます。

腰痛の治療からダイエットまで、さまざまな効果がうたわれている骨盤矯正。はたして、その効果は本物なのでしょうか。

一度、ご自身でも「骨盤矯正 本当?」などで検索してみると参考になる記事がたくさん出てくると思いますが、基本的に骨盤矯正は「ウソ」です。

治療法や健康法が本当に効果があるかどうか判断するときに、便利な考え方があります。「医師が行っているかどうかで考える」です。

骨盤矯正に本当に効果があるのであれば、医師が使わないはずはないのです。この視点はとても役立ちます。

実際、医師で骨盤矯正を掲げている先生というのは、なかなかお目にかかれません。様々な効果があるといわれる骨盤矯正ですが、医師から見ると選択肢に入らないわけです。

違う言い方をすると、骨盤矯正にはエビデンス(科学的根拠)がありません。客観的に効果があるといえるだけの証拠はないのです。

骨盤のゆがみによる症状?

骨盤矯正を勧めるサイトを見ると、骨盤がゆがみで様々な症状が出て来ると書かれています。

  • 冷え、むくみ
  • 便秘、尿漏れ
  • 生理不順、強い生理痛
  • 不妊症
  • 腰痛、膝の痛み、股関節痛
  • 肥満、疲れやすい、肌荒れ

しかし、これらの症状と骨盤のゆがみに関連があるという証拠はありません。医学の世界ではしっかり骨盤も研究されていて、骨盤のゆがみは心配いらないことが判明しています。

骨盤のゆがみのサイン?

下肢長差を見て骨盤のゆがみを調べる方法がよく行われます。横になってもらって、左右の足の長さを比べて、差があったら骨盤がゆがんでいるとされます。

しかし、この方法で骨盤のゆがみを判定することは不可能です。なぜなら、もともと人は左右で足の長さが違うからです。人の骨格は、顔も左右で形が違いますし、腕の長さも利き腕の方が長くなります。

人は左右対称ではありません。いいかげんなテストでゆがみを指摘されたとしても心配する必要はないのです。

そもそも骨盤は動かない

骨盤は、寛骨、仙骨、尾骨の3つが合わさっていていて、非常にしっかりとした作りになっています。仙腸関節については、ほんの数ミリ動くとされますが、基本的には動かないと考えて大丈夫です。

もし、骨盤が触って分かるほど動いたら大問題です。体重を支えて歩くことができなくなってしまいます。まして、それを手の力で矯正しようというのも無理な話です。

唯一の例外は、女性の出産時です。この時だけは骨盤の関節がゆるんで赤ちゃんが通りやすくなります。

骨盤矯正の本質はマッサージ

骨盤矯正の本質はマッサージです。骨盤の周囲にある筋肉をマッサージして、足の長さをそろえたり、姿勢をきれいに見せたりしています。骨盤の形を変えているわけではないのです。

技術的にもそれほど難しくなく、マッサージ免許を持たない私でもすぐに再現できる程度のものです。

骨盤矯正がダイエットになるというのは、マッサージでむくみが解消されるからで、体脂肪が減るわけではありません。その他の諸症状が改善するのも、マッサージの効果であって、ゆがみの解消によるものではありません。

施術の効果は長続きせず、しばらく放置すると元に戻ります。私の友人に腕のいい理学療法士がいますが、彼に言わせると「体重かけて2~3時間もすれば元に戻る」とのことです。

産後骨盤矯正は必要なし

先ほど、唯一の例外として出産を挙げました。出産の際、リラキシンなどのホルモンの影響により、骨盤の関節はゆるみ、広がって赤ちゃんが通りやすい状態になります。

この影響で、出産後に尿もれなどが起こりやすくなります(妊娠中は別の理由で起こります)。具体的には骨盤底筋群が緩むのが主な原因です。この症状は、通常は3ヶ月以内に収まります。もし、それ以上続くようであれば、骨盤矯正ではなく、まずは病院を受診することをお勧めします。

妊娠・出産では、腰痛に悩まされるケースも多くなります。多いのは、妊娠中に腰痛になり、出産後にも痛みが続くケースです。こうした腰痛に対する骨盤矯正はどうかという問題ですが、やはりエビデンスがありません。

そもそも、妊娠・出産で起こる骨盤の変化は治療する必要がありません。放っておけば自然に元に戻るものです。

マッサージ的な効果を求めて骨盤矯正を受けるのは自由ですが、おすすめはしません。

恥骨結合離開に骨盤矯正(整体)は効果なし

妊娠出産に伴い稀に起こるものに、恥骨結合離開というものがあります。画像診断により、骨盤を構成する左右の恥骨が1センチ以上離れていると診断されます。こうなると、痛くて立って歩くのもつらいケースが出てきます。

では、恥骨結合離開に骨盤矯正は役立つかというと、病院でそのような治療は行われていません。離開が2.5センチ以下の場合は数日~1週間程度の安静にするくらいで、あとは自然に治るのを待つことになります。2.5センチ以上離れている場合には骨盤を支える靭帯が損傷しているため、手術が必要になります※。

軽度の恥骨結合離開が骨盤矯正で治ったように見えても、それは自然に治ったかプラシーボ効果(プラセボ効果)の可能性が高いでしょう。

まとめ

  • 骨盤矯正には根拠なし。
  • 骨盤のゆがみと症状に関連性はない。
  • 骨盤は動かないので心配いらない。
  • 骨盤矯正は、実はマッサージ。
  • 産後骨盤矯正も効果を示すエビデンスはない。

参考になりましたら幸いです。

※参考:今日の整形外科治療方針(医学書院)

参考⇒腰痛の原因と治し方(まとめ)

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Q 鍼灸で健康保険は使えますか? 手続き、窓口料金、問題点など https://urasaki-harikyu.com/blog/insurance Mon, 18 Mar 2019 04:56:24 +0000 http://urasaki-harikyu.com/?p=3902 A いくつかの条件を満たすと、保険(療養費)で鍼灸を受けることができます。

鍼灸で保険を使う場合は、「療養費」という制度を使います。
療養費とは、治療用装具(コルセット・サポーター)などと同じ枠組みで、申請すると後から費用が給付される形式です。

申請の方法は現在2つあり、どちらの方式かは保険者によって変わります。

※保険者とは、保険事業の運営団体のこと。⇔被保険者

償還払い ご自身で請求する場合

鍼灸施術を受けて窓口で全額を支払った後、患者さんご自身で申請を出す方式のことを「償還払い」といいます。

ややこしいですが、一通り手順を書いておきます。

償還払い申請の手順(例)

保険が使える疾患

  • 神経痛
  • リウマチ
  • 頚腕症候群
  • 五十肩
  • 腰痛症
  • 頚椎捻挫後遺症(むちうち)
  • その他(慢性的な痛みのある疾患で、医師と保険者が認めたもの)

最後のその他は実質的に存在しませんので、6つの疾患に当てはまることが第一条件になります。
他の疾患では保険は適用されません。

ご自身が加入している保険者(保険運営団体)に鍼灸で保険を使いたい旨を伝え、療養費の申請用紙を手に入れておきます。
医師の同意書用紙を手に入れます。(鍼灸院にあります)

同意書の用紙を持って病院・医院へ行き、医師の診察を受けて、鍼灸を受けたい旨を伝え、同意書に記入してもらいます。
これが大きなハードルです。
同意書を書くなという通達が医師会から出されているそうで、なかなか書いてくれません。
かかりつけの内科の医師に相談するのがポイントだと思います。
同意書の発効には、千円~数千円の費用がかかります。

同意書を書いてもらえたら、2週間以内に鍼灸院で初回の施術を受け、領収書をもらいます。
保険者からもらった申請用紙に記入・押印して、必要書類を添えて療養費を申請します。

申請が認められれば、療養費が支給されます。
療養費は、鍼灸院の施術内容・金額設定とは無関係に以下のように定められています。

平成30年6月1日より

1 はり、きゅう
(1)初検料
① 1術(はり又はきゅうのいずれか一方)の場合1,610円
② 2術(はり、きゅう併用)の場合1,660円
(2)施術料
① 1術(はり又はきゅうのいずれか一方)の場合1回につき 1,540円
② 2術(はり、きゅう併用)の場合1回につき 1,580円
注 はり又はきゅうと併せて、施術効果を促進するため、それぞれ、はり又はきゅうの業務の範囲内において人の健康に危害を及ぼすおそれのない電気針、電気温灸器又は電気光線器具を使用した場合は、電療料として1回につき30円を加算する。
(3)往療料
2,300円
注1 往療距離が片道4キロメートルを超えた場合は、2,700円とする。
注2 片道16キロメートルを超える場合の往療料は往療を必要とする絶対的な理由がある場合以外は認められないこと。
(4)施術報告書交付料
300円
参照元

初診における、はりきゅう2術・電気加算の療養費は合計で3,270円、3割負担だと窓口料金が981円、保険者負担分が2,289円です。
2回め以降は、療養費の合計が1,610円、3割負担だと窓口料金が483円、保険者負担分が1,127円です。

再同意
医師の同意書は効力が6ヶ月です。
鍼灸を継続する場合、6ヶ月ごとに同意書を書いてもらう必要があります。

受領委任払い ご自身で申請しない場合

鍼灸院が健康保険の取扱をしている場合は、手続きを鍼灸師に代行してもらうことができます。
この方式を「受領委任払い」といいます。

保険による施術をどのように行っているかは鍼灸院によって違いますので、よくご確認ください。

例1
通常は1時間で5000円のところ、保険からの収入分を料金から差し引いてくれるケース。
5000-1127=3873 ⇒窓口負担 3873円(施術時間1時間、3割負担の場合、初検料別)

例2
保険(療養費)の範囲で可能な施術のみ行うケース。
1610×0.3=483 ⇒窓口負担483円(施術時間15分、3割負担の場合、初検料別)

受領委任払い申請の手順(例)

6疾患であることが第一条件です⇒神経痛、リウマチ、頚腕症候群、五十肩、腰痛症、頚椎捻挫後遺症(むちうち)。

鍼灸院で同意書の用紙をもらいます。

同意書の用紙を持って病院・医院へ行き、医師の診察を受けて、鍼灸を受けたい旨を伝え、同意書にサインをもらいます。

保険証、印鑑、医師の同意書を持って、2週間以内に鍼灸院で初回の施術を受けます。

残りの申請は鍼灸師が代行してくれますので、継続して施術を受けてください。

同意書は6ヶ月ごとに更新する必要があります。
その都度、医師の診察を受けて同意書の発行を受けてください。

継続的にその鍼灸院に通うと決めてから手続きすることをお勧めします。
治療を1回でやめてしまうと同意書の費用で赤字になるかもしれません。

また、保険者が不支給の判断をした場合、保険者負担分は施術を受けたご本人負担になることにご留意ください。

鍼灸の保険(療養費)の問題点

何といっても、同意書を書いてくださる医師が少ない。
これが大きなハードルとなっています。
同意書は、かかりつけ医か内科の先生にお願いするといいかもしれません。

また、療養費の支払いに応じるかどうかが保険者の自由となっているのも問題です。
申請しても認められない場合、裁判になるケースもあるようです。
その他、受領委任払いを認めない、つまり償還払いのみ可能な保険者や、鍼灸師会を通しての請求でないと認めない保険者もあります。
加入している保険者にご確認ください。

鍼灸で保険を使う場合、その疾患について医師の治療を受けていないことが条件になります。
例えば、腰痛症で医師から薬や湿布を出されている場合、鍼灸院で腰痛の治療を受けても保険は使えません。
「はり、きゅうの療養費の支給対象となる疾病は、慢性病(慢性的な疼痛を主訴とする疾病)であって保険医による適当な治療手段のないもの」と定められているためです。
ただし、傷病名が違う場合は使えます。

保険が適用される疾患が少ないのも問題です。
鍼灸でカバーできる疾患はもっと多いので、例えば変形性膝関節症などは正式に認められてもよいのではないかと思います。
今後の制度改正に期待したいところです。

以上、参考になりましたら幸いです。

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慢性腰痛の対策にはウォーキングがおすすめ https://urasaki-harikyu.com/blog/walking-for-chronic-low-back-pain Wed, 06 Mar 2019 10:04:01 +0000 https://urasaki-harikyu.com/?p=6721 ウォーキング
今回は慢性腰痛に対するウォーキングについてです。

腰痛と運動については、これまでにも記事を書いているので、参考にしてみてください。

関連記事⇒運動が腰痛の治療になるってどういうこと?

慢性腰痛の対策はウォーキングがおすすめ

腰痛の診療ガイドラインでは、「痛めて日が浅い腰痛では、安静はほどほどにして普段通りの活動をすること」、「3ヶ月を過ぎるような長引く腰痛では、積極的に運動すること」が良いとされています。

運動といっても様々ありますが、その中でも簡単で費用のかからないものとして、ウォーキングがおすすめです。

痛いのに歩いて大丈夫?

多くの腰痛は、ケガによって痛みが出ているわけではありません。痛みを起こしているのは主に腰の筋肉ですが、肉離れのような筋繊維の損傷は珍しく、多くは筋肉のこり・引きつりによって起こります。

また、痛めてから3ヶ月も経つと、仮にケガだったとしても自然に治っているのが普通です。痛みを感じる脳が敏感になって、痛みの感覚だけが残っている状態ですので、腰に何か重大な問題が起きているわけではありません。

長引く慢性腰痛は、脳を運動で活性化させることで改善に向かうと考えられています。

ただし、歩くのもつらいほど痛む場合は無理する必要はありません。その場合は、動かせる範囲で体を動かせば十分です。

ウォーキングだけでOK?他にも運動した方がいい?

The effectiveness of walking versus exercise on pain and function in chronic low back pain:a systematic review and meta-analysis of randomized trials

ウォーキングと他の運動の効果を比べた研究によると、慢性腰痛の改善に差はなく、同じくらい改善していました。また、ウォーキングのみと、ウォーキング+他の運動とで比較した場合でも差はありませんでした。

絶対にウォーキングをしないといけないということではありません。簡単にできるのでおすすめということです。他にやってみたい運動があれば、それに取り組んでいただければOKです。

腰痛関連の研究としてよく出てくる運動は、他に筋力トレーニング、ストレッチ、太極拳、ヨガなどがありますが、楽しく続けられるものであれば何でも大丈夫です。

どのくらい歩いたらいい?

統一見解があるわけではありませんが、「30分~50分程度のウォーキングを週に2回以上」を目安にするといいかもしれません。

とはいえ、いきなり張り切って疲れてやめてしまうともったいないので、最初は10分でもいいでしょう。徐々に習慣にしていって、距離を増やしていくことをおすすめします。

先程の文献では、期間を短期(3ヶ月未満)、中期(3~6ヶ月)、長期(6ヶ月以上)で調査していますが、同じくらい効果的でした。

まずは3ヶ月続けることを目標にしてみてはいかがでしょうか。

関連記事⇒腰痛の原因と治し方(まとめ)

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腰痛でMRIを撮ってもレントゲン以上のメリットがない理由 https://urasaki-harikyu.com/blog/mri-merit-lbp Wed, 30 Jan 2019 06:02:33 +0000 https://urasaki-harikyu.com/?p=6678 腰痛でMRIのメリットはあるか
腰痛で病院に行くと、レントゲン(X線撮影)だけでなく、MRIも撮る場合があります。

レントゲンよりMRIの方が詳しく腰のことが分かるのではないかと期待するわけですが、レントゲン1000円前後に対して、MRIは5000円~と費用が大きくなります。

では、MRIにそれに見合うだけのメリットはあるのでしょうか?

MRIとレントゲンに差はない

これを調べた研究があります。

アメリカのワシントン州で380人の腰痛患者を集め、レントゲンで評価するグループと、MRIで評価するグループに分け、12ヶ月後に腰痛の状態を比べました。

その結果は、身体障害、疼痛、全般的な健康状態において、レントゲンとMRIに差はありませんでした。

医師や患者はMRIを好むが、レントゲンをMRIに変えても患者の利益が増えることはほとんどないかもしれず、手術が増えるために治療コストが増加する。

Rapid Magnetic Resonance Imaging vs Radiographs for Patients With Low Back Pain

手術が増えたのに腰痛の改善度に差がないとなると、必要のない手術が増えてしまったのではないかと気になるところです。

腰痛はとても患者数の多い症状です。それだけに、腰痛にかかる費用は、医療費全体を大きく圧迫する可能性があります。

一方で、MRIを使うと腰痛疾患とは別の病気が偶然見つかることがありますが、その確率は1.6%という報告があります。

論文では、腰痛で早期からMRIを使用することは、今の時点では勧めないとしています。

MRIで幸福感が下がる可能性

別の文献です。

急性腰痛・坐骨神経痛の患者246人を集めて、2つのグループに分けます。

片方はMRIの結果を医師と患者の双方に伝えずにケアを行ったグループ、もう片方はMRI結果を伝えた上でケアを行うグループです。

6週間の保存療法を行い改善度を比べたところ、2つのグループに差はありませんでした。

また、MRIの結果を伝えたグループでは、患者幸福度が低下しました。

画像所見で何か分かっても治療の結果は変わらず、幸福感が下がるだけになることから、MRIは腰痛患者に対して明確な価値があるとはいえない

Acute low back pain and radiculopathy: MR imaging findings and their prognostic role and effect on outcome.

MRIに限らず、画像診断は何らかの疾患の可能性があるときに行うもので、とりあえず撮っておけば安心というものではありません。

骨の変形や椎間板の異常など、腰痛とは関係のない画像所見はたくさんあります。それらの多くは自然な加齢現象で、痛みを起こすものではありません。

MRIによって何か見つかっても、腰痛の改善につながるとは限らないのです。

知る必要のないことを知って不安が増えてしまう。場合によっては、その不安から痛みが強くなるリスクも考えられます。

重い疾患の可能性がないのに早期から画像診断を行うことは、海外のガイドラインでは禁止されていることでもあります。

参考ページ⇒腰痛の原因と治し方(まとめ)

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腰部脊柱管狭窄症でも手術はいらない? https://urasaki-harikyu.com/blog/lumbar-spinal-canal-stenosis-and-surgery Mon, 21 Jan 2019 06:18:27 +0000 https://urasaki-harikyu.com/?p=5847 先日、椎間板ヘルニアは心配いらないことを説明しました。ではヘルニアと同じように、「神経の圧迫で痛みが出る」と説明される脊柱菅狭窄症はどうでしょうか。

目次

腰部脊柱管狭窄症とは

腰の神経は、背骨の脊柱管というトンネルを通っています。この脊柱管が骨の変形などで狭くなり、神経を圧迫するのが脊柱菅狭窄症といわれています。

脊柱菅狭窄症とは

脊柱菅狭窄症では、腰の痛み、足の痛みやしびれ、そして間欠性跛行(かんけつせいはこう)が特徴といわれます。跛行というのは歩行異常のことで、痛みのために連続して長く歩くことができず、休み休みになってしまう状態です。

一般的にはこのように説明される脊柱菅狭窄症ですが、実のところ明確な定義はありません。何をもって脊柱菅狭窄症と呼ぶのかはハッキリしていません。

腰部脊柱管狭窄症の定義は定まっていない

現在のところ,腰部脊柱管狭窄症の定義について完全な合意は得られていない.

現在のところその成因や病理学的な変化が完全には解明されておらず,定義についても上記のごとく,さまざまな意見がある.このため,腰部脊柱管狭窄症は複数の症候の組み合わせにより診断される症候群とするのが妥当である.原因が明確になれば,将来疾患として再分類あるいは再定義される可能性がある.
腰部脊柱管狭窄症診療ガイドライン 2011

ガイドラインでは、腰部脊柱管狭窄症の診断基準として、次のものを(案)として記載しています。

以下の4項目をすべて満たすこと
1、臀部から下肢の疼痛やしびれを有する
2、臀部から下肢の疼痛やしびれは立位や歩行の持続によって出現あるいは増悪し、前屈や座位保持で軽快する
3、歩行で増悪する腰痛は単独であれば除外する
4、MRIなどの画像で脊柱管や椎間孔の変性狭窄状態が確認され、臨床所見を説明できる

狭窄症で痛みがあるのは1割ほど

腰部脊柱管狭窄症の疫学 [特集:腰部脊柱管狭窄症の鑑別と保存的治療] 日本医事新報社

脊柱管が狭くなること自体は、そう珍しいことではありません。年齢を重ねるにつれて、脊柱管の狭窄も増えていきます。

第1腰椎~第1仙椎までの高さでは、中等度以上の狭窄は77.9%、重度のものだと30.4%の割合で見られました。第4・第5腰椎間では、高齢者の1/4に重度の圧迫が見られました。

ところが、中等度以上の狭窄がある人のうち、痛みなどの症状があるのは12.9%だけでした。大多数の方は狭窄があっても痛くありません。

腰部脊柱管狭窄と症状には関係がない

神経が圧迫されて痛みやしびれが出る。この説明はいたるところで使われますが、本当かどうか調べてみると、実は間違いであることが分かります。

腰部脊柱管狭窄症の患者100名をレントゲンやMRIで調べた研究では、脊柱管の狭まり方と症状には関係性が見られないことが明らかとなりました。

Lumbar spinal stenosis. Clinical and radiologic features.

脊柱管が狭くても平気な人もいれば、そんなに狭くなっていないのに辛い人もいるわけです。こうなると、腰部脊柱管狭窄症という診断名そのものに疑問が湧いてきます。

また、脊柱管狭窄症の特徴といわれる間欠性跛行ですが、狭窄があっても跛行が出ない人が普通にいます。その逆に、骨に全く異常がなくても間欠性跛行が出ることはあります。間欠性跛行が出るかどうかを脊柱菅狭窄の有無から知ることはできません。

そもそも、神経というものは圧迫したからといって痛みが出るというものではありません。マイクのコードを踏みつけても音が鳴らないのと同じ理屈です。

腰部脊柱管狭窄症の手術について

神経の圧迫によって痛みが出るのなら、物理的にその圧迫を取り除く手術にはすばらしい効果があるはずです。しかし、現実はそうはいかないようで、手術成績から考えても脊柱菅狭窄症そのものに疑問符がつく結果となっています。

腰部脊柱管狭窄症に対する手術の成績について74件の論文を調べたところ、平均で患者の64%に有効だったことが分かりました。また、手術の結果を予想できる患者の特徴を見つけることはできなかったとしています。

Surgery for lumbar spinal stenosis. Attempted meta-analysis of the literature.

64%という有効率は高いものではありません。なぜなら、過去に医学界が無効と判定してきた治療法の平均有効率は70%もあったことが分かっているからです。70%も改善していてなぜ無効と判定されるのかといえば、プラシーボ効果(プラセボ効果)というものがあるからです。意味のない治療を受けても、それに反応して治してしまう力が私達にはもともと備わっています。

腰部脊柱管狭窄症に対する手術が70%以下の有効率しかない。これは言ってしまうと、脊柱管狭窄は全く心配いらないもので、痛みとは関係のない手術だったのでプラシーボ効果を越えることがなかったのではないか、という話です。

The power of nonspecific effects in healing: Implications for psychosocial and biological treatments

脊椎固定術を行うべきではない理由

脊柱菅狭窄症の手術には、圧迫を取り除く除圧術の他に、脊椎固定術があります。しかし、アメリカの文献によると、固定術の実施が2002年から2007年の間に急増したこと、再手術の割合が高いこと、合併症が起こる確率が高いことなどが指摘されています。脊椎固定術はリスクが高く、また批判の多い手術でもあります。

Trends, major medical complications, and charges associated with surgery for lumbar spinal stenosis in older adults.

椎間板ヘルニアに対しても、椎弓切除術単独より、固定術を併用した方が有効率が低いという研究があります。
Lumbar laminectomy for herniated disc: a prospective controlled comparison with internal fixation fusion.

なぜか日本の腰痛診療ガイドラインでは固定術がフォーカスされていますが、腰痛・坐骨神経痛の治療には他に良い選択肢があります。痛みと関係のない骨の心配をするより、もともと持っている力で治すことを考えてみませんか?

参考⇒腰痛の原因と治し方(まとめ)

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スマホで例える腰痛の原因と対策 部品の故障だけが問題ではありません https://urasaki-harikyu.com/blog/smartphone-lbp Tue, 18 Dec 2018 05:10:25 +0000 https://urasaki-harikyu.com/?p=6537 今日は、スマホで例え話をしながら、腰痛について考えてみようと思います。

スマホで例える腰痛の原因と対策

ボロボロのスマホ

スマホが動かない!原因はなんだろう?

私達が普段使っているスマホですが、急に動かなくなると焦ります。あわてて原因は何かと考えるわけですが、パッと見て、画面にヒビが入っていたらどうでしょうか。落としたか、ぶつけた時に壊れたと考えると思います。

対処方法としては、スマホの修理店に持って行って、部品の交換なり修理なりをしてもらうことになります。実は、腰痛医療も昔はこれと同じ考え方をしていました。

腰痛は腰の部品に異常があるせいだから、それを修理すれば治るという発想です。

腰が痛い!動けない!

画像診断したらヘルニアがあった、こいつが原因だ!

ヘルニアを直せば腰痛も治るはず!

手術だ!

こういう考え方で昔は腰痛に対処していました。ところが、この考え方では治せない腰痛もたくさんありました。スマホでいえば、調べてもどこも壊れてないとか、壊れた部品を修理したのにまだ動かないという場合があるわけです。

また、まわりを見渡してみると、多少ヒビが入ったり、キズがついていても気にせずスマホを使っている人を見かけます。部品が壊れたら必ず動かなくなるというものでもありません。

部品の故障が全ての原因とは限りません。

部品の故障以外にも原因はたくさんある

では、他にどんな問題があるかというと、例えば電池切れだったり、アプリがバグってたり、通話料を払ってなくて止められていたりするわけです。部品の故障とは別の問題でスマホが動かないことも多々あります。

腰痛医療の世界でも、腰の部品のことだけ考えていたらOKという時代は終わりました。腰の異常が原因で腰痛になることはありますが、それ以外に原因があることもよくあります。いや、むしろその方がずっと多いというのが実情です。

例えば、腰は正常でも、ストレスによって腰痛になることがあります。そうなると、ストレスを引き起こす環境についても考えないといけません。これを心理社会的要因といいます。

生活習慣は?職場の環境は?家族との関係は?ご本人の考え方のクセは?食事・運動・睡眠・・いろんなことが出てきます。総合的に探っていって、複数の問題が浮かび上がることも珍しくありません。そこから、生活パターンを改善するとか、考え方を少し変えてみるなどの対策も出てきます。

いずれにせよ、「腰のことだけ考えていてもうまくいかない」というのが今の腰痛医療です。

あなたの腰痛は腰の異常が原因でしょうか。それは腰痛を引き起こすほどの問題なのでしょうか。腰以外に問題はないのでしょうか。気になる方は、お気軽にご相談ください。

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