京都府 向日市 うらさき鍼灸院 https://urasaki-harikyu.com 京都府向日市の「うらさき鍼灸院」です。阪急東向日駅西口すぐ。肩こり・腰痛・五十肩・坐骨神経痛・自律神経失調症など、お気軽にご相談ください。 Wed, 19 Sep 2018 04:43:46 +0000 ja hourly 1 https://wordpress.org/?v=4.9.8 https://urasaki-harikyu.com/wordpress/wp-content/uploads/urasaki_favicon.jpg 京都府 向日市 うらさき鍼灸院 https://urasaki-harikyu.com 32 32 自分でできる3つの腰痛対策 https://urasaki-harikyu.com/blog/three-low-back-pain-measures-you-can-do https://urasaki-harikyu.com/blog/three-low-back-pain-measures-you-can-do#respond Wed, 19 Sep 2018 03:47:25 +0000 https://urasaki-harikyu.com/?p=6306 光る電球

腰が痛い。
病院は行ったし、マッサージも試したけどまだ痛い。

何が原因なんだろう。
ずっとこのままだと困るなぁ。
どうしたらいいんだろう。

このようにお困りの方は沢山いらっしゃいます。こういう時、他の病院・治療院を探すのも一つの選択肢ですが、腰痛の場合は自力で治すという道もあります。

医療を利用するにしても、全部先生まかせよりは、自分でも対策する方が治るのは早いので、知っておいて損はありません。

本当なら、放っておけば自然に治る

前提として、腰痛は基本、放っておいても治ります。文献にもよりますが、腰痛は発症から6週間で90%が自然に治ります。稀に病気が隠れていることもありますが、大多数の腰痛は放置しておいて問題ないものです。

Acute low back pain.

ただ、一部は慢性化といって、3ヶ月を過ぎても治らないケースが出てきます。

ストレス対策が腰痛対策になる

腰痛が自然に治らないのは、それを邪魔しているものがあるからです。それを心理社会的要因といいます。いわゆるストレスのことです。

痛みを最終的に感じているのは脳ですが、脳は痛みをただ単に感じているだけではありません。痛みの強弱を調節する働きをしています。

日常生活の中でストレスが蓄積してくると、脳は痛みをより強くするように働きます。すると、腰に問題がなくても痛みが続く「慢性腰痛」という状態になります。

腰痛が治らないのは腰だけの問題ではなく、痛みを感じている脳側の比重が大きくなります。そのため、ストレス対策をすることが腰痛対策につながります。

1:笑う

脳が痛みを調節するとき、ストレスが強ければ痛みを強くしてしまいます。しかしその反対に、幸福感や達成感など「快」の感情が強くなると、痛みを減らす働きをすることも分かっています。これには脳の報酬系と呼ばれるシステムが関係しています。

例えば、被験者にコメディを見せると、笑うことで痛みを感じにくくなるという研究があります。笑うと脳内でエンドルフィンという物質が増えて、痛みを減らしてくれるのです。

Social laughter is correlated with an elevated pain threshold.

その他、好きなことに打ち込んでもいいですし、何かに感謝することでも幸福感が強くなり、痛みを減らす方向に働きます。

2:正しく知る

ストレスが蓄積してくると痛みに悪影響がありますが、これに理性で対抗するという方法もあります。

例えば、読書療法です。腰痛を正しく解説した本を読むことで腰痛の改善が期待できます。腰痛を知って余計な心配を減らすことができると、脳の働きが正常化して過剰な痛みを減らしてくれます。

Can a patient educational book change behavior and reduce pain in chronic low back pain patients?

腰に負担をかけるのが怖い
この腰痛はもう治らない気がする
手術をしないと治らないのでは
姿勢に気をつけないと

いろいろな不安があるでしょう。でも大丈夫です。

腰は負担をかけると丈夫に発達する
不安を解消できると痛みは減っていく
手術が必要なのはごく一部だけ
姿勢は腰痛とは無関係

知ってしまえば腰痛は怖いものではありません。

3:体を動かす

下手に動かして悪化したら怖い。できるだけ痛みが出ないように、腰に負担をかけずに静かにしていよう。

そう思うのは自然なことです。誰だって、わざわざ痛いときに動きたくはありません。ただ、動かずにいると、体がなまってしまうだけでなく、かえって痛みが長引くことが知られています。

痛いのを無理に動かせとはいいません。痛みが強い場合は、普段どおりに生活するだけでもプラスになります。

余裕が出てきたら、無理のない範囲で運動を試してみましょう。運動には慢性の痛みを減らす効果もあります。例えば、軽い筋トレでもウォーキングでもOKです。ヨガや太極拳のような体操でも効果が見込めます。

当院の患者さんでも、ヨガをやって慢性の痛みが改善したという方は何人かいらっしゃいます。運動の種類は何でもいいので、ご自身で好きな運動、できそうな運動を試してみることをおすすめします。

Evaluation of the effectiveness and efficacy of Iyengar yoga therapy on chronic low back pain.
Tai chi exercise for treatment of pain and disability in people with persistent low back pain: a randomized controlled trial.

]]>
https://urasaki-harikyu.com/blog/three-low-back-pain-measures-you-can-do/feed/ 0
Google先生は生徒次第?検索を上手く使うための予備知識 https://urasaki-harikyu.com/blog/google-preliminary-knowledge https://urasaki-harikyu.com/blog/google-preliminary-knowledge#respond Fri, 07 Sep 2018 06:56:01 +0000 https://urasaki-harikyu.com/?p=6240 Google

インターネット検索の仕組み

何か困ったこと、知りたいことがあったとき、多くの方が利用するであろうインターネット検索。そこで利用するGoogleやYahooなどの検索サービスのことを検索エンジンといいます。

現在、YahooはGoogleの検索システムを使っているので、日本でインターネット検索をすると、ほぼGoogleの検索エンジンを使うことになります。

検索エンジンは、検索窓に入力された文字列を質問と解釈し、その答えとなるページを検索結果として出力します。そのため、検索エンジンはインターネット上にある膨大なホームページの内容を片っ端から記録・保存しています。

私たちがブログを更新したとき、ツイッターで何かつぶやいたとき、検索エンジンはその内容を逐一保存しているのです。

単純にいえば、キーワードが引っかかるかどうか

この世にホームページが2つしかないと仮定しましょう。片方は「腰痛のメカニズム」、もう片方は「うどんの作り方」のページです。

このとき、検索窓に「腰痛」と入力すれば、検索結果には「腰痛のメカニズム」のページが出てきます。「腰痛」というキーワードが「腰痛のメカニズム」に含まれているので、関係のあるページだと検索エンジンが判断するわけです。

腰痛というキーワードを含むページが複数あるときは、その中からより関連性の高そうなものを選んで順位をつけることになります。また「腰痛」だけで検索すると、検索エンジンには腰痛のことを知りたいのか、腰痛ベルトを買いたいのかを判別することはできません。

検索結果に正しい情報が出るとは限らない

Googleは検索エンジンサービスを多くの人々に利用してもらうことで収益を上げている会社です。検索利用者にとって有益な検索結果を表示できるよう、常にアルゴリズムのアップデートを行っています。しかし、検索エンジンはただのプログラムでしかないので、情報が正しいか間違っているかを判別することができません。

Googleにできるのは、人々の好みに合わせて検索結果を出すことだけです。

例えば、Googleはあるページを閲覧している人が、どのページから来てどのページに移動するのか、そのページを何分くらい見たのかで、ページの満足度を判定しているといわれます。あるキーワードに対して満足度の高いページは、それだけ上位に表示されやすくなります。

しかし、閲覧者の満足度が高いページに正しい情報が書いてあるとは限りません。Googleだって間違えることはあるのです(わりと頻繁に)。

悪用されるGoogleアルゴリズム

Googleが検索結果を決めるとき、数百ともいわれる項目をチェックして順位を決めています。例えば、被リンク数です。あるページが、他のページからどれだけリンクされているかによって順位が変わることがあります。(※リンクとは、クリックすることで別のページが表示されるボタンや文字など。ハイパーリンク。)

ホームページにリンクを貼るときは、内容を補足するページだったり、読んでほしいページのリンクを貼るのが普通です。そこからGoogleは、被リンクの数を「そのページへの人気投票」のように解釈をします。多くのページからリンクされているページほど、有益なページだろうと考えるのです。

情報が正しいかどうかは関係なく、リンクが多ければ上位表示されるということで、これが悪用された時代がありました。現在ではほぼ通用しなくなっているテクニックではありますが、全くの無効というわけでもありません。今でも「御社のホームページにリンクをたくさんつけますよ」という営業電話はかかってきます。

このように、検索結果は内容の良し悪しだけで決まらないというのはぜひ知っておきたい事実です。テクニックで順位を操作する余地がありますので、検索結果を鵜呑みにするのは本当に怖いのです。

「骨盤矯正」で検索してみる

「骨盤矯正」検索結果
骨盤矯正検索

「骨盤矯正」で検索をしてみます。広告欄は省いて、順位ごとに並べるとこうなりました。骨盤矯正を行っている店舗の情報が並びます。

Googleは「骨盤矯正」という質問を、お店を知りたいのだろうと解釈したわけです。当然ながら、骨盤矯正は健康にいいのでおすすめですよ、という内容ばかりになります。

「骨盤矯正 ウソ」で検索してみる

「骨盤矯正 ウソ」検索結果
骨盤矯正ウソ検索

次に「骨盤矯正 ウソ」で検索します。すると、ガラッと内容が変わります。骨盤矯正を勧めるページも一部ありますが、骨盤矯正なんてウソに騙されてはいけませんよ、というページの方が多くなります。

Googleは「骨盤矯正 ウソ」という検索ワードから、骨盤矯正がウソであることを解説したページを探していると解釈したわけです。

骨盤矯正はウソかもしれない。そう考えることができた人だけが、これらの情報を知ることができます。これがインターネット検索の特徴なのです。

Googleは、あなたのことを知っている

Googleは、あなたがこれまで検索してきたキーワードを記録しています。そこから性別、年齢、住んでいる地域、趣味嗜好などをある程度判別して、検索結果に反映させています。それにより、あなたの好みに合った情報を提示するかもしれませんが、大事な情報にふれる機会を失っている可能性もあるのです。

今のGoogleは、「腰痛」という検索一つ取っても、腰痛の専門家と一般の方とで全く違う検索結果を表示する可能性があります。詳しい人にはより詳しい情報を、そうでない人には一般論や偏った情報ばかりを提示するかもしれません(フィルターバブル)。

情報を味方につけるには、情報を自ら知っていくことが必要な時代です。そのためには、情報源をインターネットだけに依存するのは危うい可能性があります。

]]>
https://urasaki-harikyu.com/blog/google-preliminary-knowledge/feed/ 0
腰痛になるのは社会のせい?付き合い方で変わるかもしれません https://urasaki-harikyu.com/blog/social-factors-and-low-back-pain https://urasaki-harikyu.com/blog/social-factors-and-low-back-pain#respond Tue, 28 Aug 2018 11:36:59 +0000 https://urasaki-harikyu.com/?p=6218 リストラ

前回、腰痛の危険因子の中で、社会的要因というものが出てきました。「社会」が腰痛のリスクというのはいまいちピンとこない方も多いかもしれません。しかし、文献を見てみるとかなり深い関係があるようです。

リストラで腰痛が増える

フィンランドの地方自治体(ライシオ)で雇用されていた公務員を対象に、人員削減と欠勤の関係について調べました。その結果、腰痛をはじめとした運動器障害による欠勤が、人員削減の実施後2年間で5倍以上に増えていました。

Effect of organisational downsizing on health of employees.

別の人員削減と健康への影響について調べた研究でも、リストラは腰痛をはじめとした筋骨格症状を増やしていました。リストラは、退職した職員だけでなく、リストラされずに済んだ職員にとっても、悪影響があるようです。

Human costs of organizational downsizing: comparing health trends between leavers and stayers.

社会的・経済的な地位が腰痛に影響する

1958年に生まれた時点から45歳になるまで、つまり45年間追跡調査をしたというイギリスの研究があります。それによると、45歳の時点における腰痛をはじめとした筋骨格系症状の罹患率は、社会的地位が低いほど増加していました。社会的地位が最も低い人は、慢性疼痛のリスクが3倍近くに上がりました。

The influence of socioeconomic status on the reporting of regional and widespread musculoskeletal pain: results from the 1958 British Birth Cohort Study.

社会的な状況と腰痛が関係する理由

社会的要因が腰痛を引き起こすのは、それがしばしばストレスの元になるからです。ストレスは心身に影響して緊張状態をつくり、痛みを引き起こしたり、痛みを治りにくくしたりします。

痛みを感じるのは最終的には脳です。脳がなければ痛みもありません。事故などで手足を失った人は、幻肢痛といって、ないはずの手足に痛みを感じることがあります。痛みを感じるメカニズムにおいては患部すら必須ではありません。

脳は痛みを感じるとき、体の痛みと心の痛みをそれほど明確に区別しているわけではありません。むしろ、心の痛みを体の痛みと同じように扱っていますし、痛みという体験はそもそも心と体の痛みを両方含んでいると考えることができます。「病は気から」といいますが、心と体は痛みにおいても密接な関係にあります。

働くことが治療にもなる

体に痛みがありながらも仕事を続けている人達にインタビュー調査を行った論文があります。その中で、「治療として働く」という考え方が出てきます。働くことが喜びにつながる、働くことがエネルギー源になる。そんな職場は「癒やしと回復のための場所」にもなるというのです。

Staying at work with chronic nonspecific musculoskeletal pain: a qualitative study of workers’ experiences.

仕事はつらいこともあります。それは社会的ストレスとなって、腰痛を引き起こすかもしれません。しかし、うまく折り合いをつけることができれば、癒やしの場になる可能性もあるようです。

ストレスが腰痛のリスクであるということは、幸福度を高めることが腰痛対策になるということでもあります。

]]>
https://urasaki-harikyu.com/blog/social-factors-and-low-back-pain/feed/ 0
何が腰痛のリスクになる?不安・ストレスに負けてはいけない https://urasaki-harikyu.com/blog/risk-factor-of-lbp https://urasaki-harikyu.com/blog/risk-factor-of-lbp#respond Tue, 21 Aug 2018 10:31:15 +0000 https://urasaki-harikyu.com/?p=6200 腰痛の多くは検査をしても異常が見つかりません。痛みの発生源は主に腰の筋肉であり、慢性化のメカニズムについては脳の変化によるところが大きいと考えられます。レントゲンで腰痛を知ることはできないのも仕方のないことです。

では、これらの変化は何によって引き起こされるのでしょうか?

腰痛の危険因子(リスクファクター)

筋骨格系疾患リスクファクター

(Musculoskeletal pain.BMJ,2002)

腰痛のリスク、つまり、何によって腰痛になる可能性が増えてしまうのでしょう。病気や疾患と呼ばれるものも影響しますが、大多数の腰痛は病院に行っても異常が見つかりません。それよりも社会環境やストレス、考え方や行動パターンなどの影響が大きいでしょう。

例えば、医師に背骨の異常を指摘されて不安になったり、自分の腰痛はもう治らないと悲観的になったり、痛みを恐れて、いつもとは違う行動パターンに変えてしまったり。一見、腰とは関係なさそうなことが腰痛に関係することを医学は明らかにしてきました。

そして、場合によっては、家族関係や職場環境(特に人間関係)、社会政策までもが腰痛に関係してきます。

腰痛を治す=原因を取り除く?

腰痛は複合要因といわれます。一つの原因によって引き起こされるのではなく、いくつもの危険因子が重なった結果起こるということです。原因を一つに特定できれば楽かもしれませんが、腰痛でそのような考え方をするとかえって迷路に迷い込んでしまうかもしれません。

人は機械ではありません。壊れた部品を取り替えたら新品同様、というわけにはいきません。

よくある間違いとして、「腰痛の原因は背骨のゆがみ」という説明があります。背骨のゆがみを矯正すれば腰痛が治るというのです。しかし、本当にそれで全て解決するでしょうか?

プラシーボ効果(プラセボ効果)によって、腰痛が消える可能性はあります。ただし、それは「私の腰痛の原因は背骨のゆがみだった」という間違った信念を形作り、強固にするかもしれません。「また背骨がゆがんだらどうしよう」という不安、「背骨がゆがんだらまた腰痛になってしまう」という間違った思い込みにつながることが懸念されます。

「背骨のゆがみと腰痛は無関係」「腰痛の多くは自然に治る」「腰のことを心配するほど痛みが悪化する」という医学の常識から大きく外れて、余計な心配を抱え込み、かえって腰痛(再発)のリスクを高めてしまう可能性があるわけです。

それよりは、「痛みとの付き合い方を知ろう」「ストレスとの付き合い方を知ろう」と考える方が根本的な解決に近いといえます。

不安を解消して腰痛に立ち向かう

腰痛の回復

腰痛はつらい体験です。しかし、その痛みをどう解釈するかで道は大きく変わります。悲観的に考えてしまうと痛みの悪循環にはまりやすくなります。不安をなくし、希望を持つことができれば、回復への道が開けます。

そのキッカケとして医療を利用するのもいいでしょう。ただ、全ての医師が腰痛に精通しているわけではありませんので、次善の策として、自分で正しい腰痛の知識を仕入れておくことは大きな意味があります。

「腰痛は心配いらない、体を動かそう」と大々的にキャンペーンを行って、腰痛を減らしたオーストラリアという国があります。正しい情報はそれだけで腰痛を改善する可能性を持っています。
Population based intervention to change back pain beliefs and disability: three part evaluation.

難しいのは、インターネットだと、専門的な用語で検索しないと有益な記事にたどり着けないことが多いという部分です。間違った情報を元に腰痛対策をしても、良い成果を得るのは難しいでしょう。困ったことに、インターネットには間違った情報がまだまだ溢れています。

ひとついえるのは、不安を煽る記事には注意が必要ということです。不安は痛みの悪循環の入り口でもあるからです。難しければ、「腰痛は心配いらない、体を動かそう」とだけ覚えておくといいでしょう。

以上、参考になりましたら幸いです。

]]>
https://urasaki-harikyu.com/blog/risk-factor-of-lbp/feed/ 0
結局、腰痛の原因は何ですか?簡単に結論は出せない https://urasaki-harikyu.com/blog/The-cause-of-lbp-can-not-be-concluded-yet https://urasaki-harikyu.com/blog/The-cause-of-lbp-can-not-be-concluded-yet#respond Thu, 09 Aug 2018 08:26:06 +0000 https://urasaki-harikyu.com/?p=6171 これまでの記事で、腰痛の古い常識がどう変わったかについてはかなり説明ができたと思っています。

腰痛は骨の異常や姿勢といった構造的な問題ではないこと。心理社会的ストレスが影響すること。慢性化には脳の変化(中枢性感作)が関わっていること。腰への負荷を怖がる必要はないこと、などです。

ですが、まだ肝心な疑問に答えていません。
「腰痛の原因は何?」という疑問です。

私もできることなら「腰痛の原因はこれです!」と断言したいところではありますが、これがそう簡単にはいきません。しかし、そうも言っていられないので、私が比較的納得している理論を2つご紹介するところから始めます。

腰痛の原因を筋肉に求める

・TMS理論

アメリカのジョン・サーノ博士が提唱した理論で、TMSとは「緊張性筋炎症候群」のことです。心(感情)によって自律神経系を介して、軟部組織(筋肉・神経・靭帯)に酸素欠乏が起こり、痛みが発生するという理論です。抑圧された感情に気づくことで痛みから解放されると考えるのが特徴です。

⇒詳しくは、「サーノ博士のヒーリング・バックペイン」(春秋社)をご覧下さい。(amazon)

・MPS理論

MPSとは「筋筋膜性疼痛症候群」のことです。ジャネット・トラベルとデイヴィッド・サイモンズによって提唱されました。こちらは筋肉のスパズム(けいれん)によって痛みが起こるという理論で、トリガーポイントなどで筋肉のしこり(索状硬結)を緩めて治療します。

⇒詳しくは、「トリガーポイントブロックで腰痛は治る!」(風雲社)をご覧ください。(amazon)

どちらの理論も筋肉が痛みの発生源であるという点で共通していますし、酸素欠乏が進んだ先にスパズムがある、もしくは酸素欠乏とスパズムは同時に起こりうると考えれば、よく似た理論であるといえるでしょう。

しかし、です。この2つの理論だけで腰痛の全てを説明できるかといえば、できません。

腰痛の原因を一つに絞り込める状況ではない

これまでに記事にしてきたように、痛みは単に心の問題だけではなく、社会的な背景まで含めて考える必要があります。腰に全く問題がなくても、ストレスによって脳の感受性が変わればそれだけで痛みを感じます。

腰痛は単純な炎症だと見るべきではありませんが、例えば微細な慢性炎症(インフラマソーム活性)や髄核由来の化学物質による炎症(Chemical radiculitis.)、脳内神経炎症(ミクログリア活性)などの研究が行われています。

骨の問題にしても、ひとまず「画像診断で腰痛を知ることはできない」ということはできますが、骨の研究が終わったわけでは全くなく、整形外科系の医学誌を開けば、新しい検討・研究が行われている様子が伺えます。

腰痛はまだ、原因を一つに絞り込める状況ではありません。むしろ、これら大小様々な要因が影響しあい混ざりあい、腰痛という複雑で多彩な症状を生み出しています。

安易な結論・断言にはご注意ください

腰痛の原因を探るのは、ミックスジュースの材料を調べるのに似ているかもしれません。それこそ、うーん・・イチゴは入ってる・・しかしクランベリーの可能性も・・分量は・・というような感じで、個別に詳しく調べ、関連の深そうなものを洗い出し、推理していく必要があります。

「腰痛は○○が原因だった」「○○を改善すれば腰痛は治る」という情報は出回りすぎるくらい出回っていますが、いってみれば「ミックスジュースの材料はバナナだった。バナナの成分を抜けば水になる」くらい極端な主張です。それ以外を無視して大丈夫ですか?と言いたくなります。

繰り返しますが、腰痛は複雑です。簡単に原因を特定できるものではありませんし、今もなお世界中で研究が続けられていて、新しい事実と、新しい謎が生まれ続けています。分かりやすく断言している情報は、疑ってかかるくらいで丁度いいのです。

しかし、不安になる必要はありません。腰痛は対処さえ間違えなければ十分に治る可能性があります。まずは情報を知ること、考え方を少し変えてみることです。

ミックスジュース

]]>
https://urasaki-harikyu.com/blog/The-cause-of-lbp-can-not-be-concluded-yet/feed/ 0
腰痛は炎症のせい? https://urasaki-harikyu.com/blog/lbp-non-inflammation https://urasaki-harikyu.com/blog/lbp-non-inflammation#respond Tue, 07 Aug 2018 03:41:46 +0000 https://urasaki-harikyu.com/?p=6110 そもそも炎症とは

足の捻挫

「腰が痛いのは炎症のせいだ」と説明されることがあります。

炎症の身近な例としては、足首を捻挫して腫れてしまった状態や、カゼをひいてノドが痛い状態などがそうです。

どちらの場合でも、白血球が活躍して、壊れた細胞や微生物などを取り除いて、元の状態に修復しようとして起こる反応です。このとき、血管が広がって充血したり、体液が集まって腫れたり、痛みが起きたりします。

腰痛の痛みも、このような炎症のせいなのでしょうか?

実のところ、「腰痛は炎症」という説明はいささかザックリしすぎているというか、あまり正しい説明ではありません。そのため、安静にしないといけないとか、冷やさないといけないという誤解につながっているように思います。

腰痛の85%は診断がつかず、炎症も見つからない

腰痛は病院で検査をしても異常が見つからないことは珍しくありません。腰痛の85%が原因を特定できないといわれていて、このような大多数の腰痛を「非特異的腰痛」と呼んでいます。

異常が見つからないということは、炎症も見つからないということです。

炎症性疾患は最初にチェックされる

注意深い問診と身体検査により,red flags(危険信号)を示し,腫瘍,炎症,骨折などの重篤な脊椎疾患が疑われる腰痛,神経症状を伴う腰痛,非特異的腰痛をトリアージする.

日本腰痛診療ガイドライン2012 診断

トリアージとは緊急性の高いものを選別することで、炎症があるかどうかも確認されます。つまり、病院を受診して「異常なし」と判定されたのであれば、ひとまず炎症の心配は無いということです。

ガイドラインは筋筋膜炎に否定的

アメリカのガイドラインは、筋筋膜炎・腰椎捻挫・腰部挫傷などの診断名について「腰痛との関連を示すことができない」と否定的です。
Acute Low Back Problems in Adults(AHCPR,1994)

多くの腰痛は腰の筋肉に痛みが出ますが、ケガ(損傷)や炎症を起こしているわけではないというのです。

昔は腰痛といえば捻挫などのケガ(外傷・損傷)や炎症のせいだと思われていたわけですが、近年では大きく考え方が変わってきています。具体的には、心理社会的ストレスによって起こる痛みという考え方です。

炎症が関係する腰痛は5%前後

腰痛の85%は原因が特定できない非特異的腰痛

厚生労働省・腰痛対策PDFより

診断のつかない腰痛に炎症の心配はない。では、診断がつく腰痛ならどうでしょうか。

診断のつく腰痛は全体の15%ほどで、「特異的腰痛」と呼ばれます。そのうち脊椎炎などの炎症性疾患は1%以下で、かなりのレアケースです。

高齢の女性に多い圧迫骨折は腰痛の4%を占めています。圧迫骨折があっても痛まないケースもありますが、痛むものについては炎症を伴っていると考えてよさそうです。その他、1%以下ですが尿路結石などで炎症を伴う場合もあります。

合わせると、炎症が関わっている腰痛は5~6%程度と考えることができます。やはり、多くの腰痛は炎症のせいではないといえそうです。

炎症対策は腰痛に通用しない

腰痛にはステロイドが効かない

炎症に強い効果を発揮する薬として、ステロイド剤があります。もし腰痛が炎症による痛みなら、ステロイド剤には強い効果があるはずです。ところが、ステロイド剤は腰痛に効果が認められないため、世界中の腰痛診療ガイドラインで推奨されていません。

ステロイドの内服はプラセボと差がないことが報告されている
日本腰痛診療ガイドライン2012 治療

ニセの治療(プラセボ)と差がない、つまり効かないということです。

腰痛は温めた方が治りが良い

昔、急性腰痛(ぎっくり腰)は根拠なく冷やせといわれていました。しかし、今では温めた方が良いことが分かっていて、ガイドラインにも温熱療法について記載があります。

温熱療法は,急性および亜急性腰痛に対して短期的には有効である.
日本腰痛診療ガイドライン2012 治療

炎症であれば温めるべきではありませんが、多くの腰痛は炎症ではないので温めて大丈夫です。

腰痛は安静にしてはいけない

別の記事で詳しく解説していますが、腰痛は安静にしていると治りが遅くなることが知られています。炎症があるときに安静にするのは正解ですが、腰痛の場合は逆効果ですのでご注意ください。

参考⇒腰痛は安静第一?それとも運動?予防はできるの?

そもそも腰痛に炎症の徴候は見られない

疼痛・発赤・腫脹・発熱・機能障害の5つを炎症の5徴といいます。腰痛の場合、赤く腫れて熱を持つことは滅多にありませんので、症状の特徴から見ても炎症には該当しません。

例えば、ギックリ腰(急性腰痛)は、朝に顔を洗おうとして洗面台で前かがみになっただけで発症することがあります。クシャミをした途端に起こることもあります。しかし、それだけのことで腰がダメージを受けて炎症を起こすというのは考えにくいことです。

痛みのメカニズムは複雑です。仮に検査で見つけられないような微細な炎症が隠れていたとしても、それだけで即痛むと決まるものでもありません。例えば、変形性関節症があっても痛くないケースは珍しくありません。

知れば知るほど「痛いのは炎症のせいだ」とは言えなくなってきますし、どちらかといえば「痛いのは鎮痛作用が低下しているせいだ」という方が正解に近いのではないでしょうか。

]]>
https://urasaki-harikyu.com/blog/lbp-non-inflammation/feed/ 0
運動が腰痛の治療になるってどういうこと? https://urasaki-harikyu.com/blog/exercise-therapy-for-cbp https://urasaki-harikyu.com/blog/exercise-therapy-for-cbp#respond Tue, 31 Jul 2018 06:01:22 +0000 https://urasaki-harikyu.com/?p=6095 これまでの記事でも少しずつ触れてきましたが、痛みの治療として運動療法があります。しかし、運動(エクササイズ)が治療になるというのは、いまいちイメージがつきにくいかもしれません。

一昔前は、腰痛といえば安静ばかり言われていた時代もありますし、腰に負荷をかけて大丈夫なのかと心配な方もいらっしゃるでしょう。

しかし、ちゃんと運動の効果は確認されていますし、むしろ、運動ほど健康に良いものは他にないのでは?と思えるほどです。

注意:運動療法が効くのは慢性痛です

痛みが出てから3ヶ月以上過ぎたものを慢性痛といいます。腰が痛い場合は慢性腰痛といいます。普通ケガをしても、3ヶ月も経てばまず治るわけですが、なぜか治らない不思議な痛み。この慢性痛に運動が良いといわれています。

痛みだして日が浅く、痛みも強い状態で無理やり運動しろという話ではありませんので、その点はご安心ください。

慢性腰痛に運動が効く

運動療法は12週以上続く慢性腰痛の痛みを減らし、機能を改善させる。
Systematic review: strategies for using exercise therapy to improve outcomes in chronic low back pain.

腰痛患者を18ヶ月にわたって追跡調査したところ、腰ばかり鍛えるよりも、いろいろな運動をした方がよいことが明らかに。
Effects of recreational physical activity and back exercises on low back pain and psychological distress: findings from the UCLA Low Back Pain Study.

運動すると慢性腰痛が改善する。しかし、腰だけ鍛えればよいわけではないようです。腰の運動ばかりしていると、かえって腰痛が気になり、脳が痛みに敏感になる可能性があります。

「腰のために運動する」のではなく、「楽しいから運動する」「健康にいいから運動する」と考えてみてはいかがでしょうか。

運動すると痛みを感じにくくなる

運動すると痛みが減るのは、脳が痛みを感じにくくなるからです。「腰が弱いから鍛えよう」という話ではないのがポイントで、鍛えるべきは脳なのです。

有酸素運動や筋力トレーニングをすると痛みを感じにくくなりますが、この反応には下行性疼痛抑制系が関わっています。
Mechanisms of exercise-induced hypoalgesia.

下行性疼痛抑制系というのは、脳が持つ鎮痛システムの一つです。運動をすると、その作用によって痛みを感じにくくなり、腰痛をはじめとした慢性痛の改善に役立ちます。

痛みがなかなか治らなくてお困りの方は、ウォーキングなどの軽い運動からはじめてみてはいかがでしょうか。

参考⇒痛みはどこで感じるの? 脳のペインマトリックスと鎮痛機構

慢性腰痛に運動が推奨されている

日本の腰痛診療ガイドラインでは運動療法について「慢性腰痛(3 ヵ月以上)に対する有効性には高いエビデンスがある.」として効果を認めています。
腰痛診療ガイドライン 2012

海外のガイドラインを見ても、慢性腰痛の治療法として運動が推奨されています。慢性腰痛に運動が良いのは医学的事実といって差し支えないでしょう。

ウォーキングする女性

]]>
https://urasaki-harikyu.com/blog/exercise-therapy-for-cbp/feed/ 0
コルセットは腰痛の予防や治療になるの? https://urasaki-harikyu.com/blog/lumbar-supports https://urasaki-harikyu.com/blog/lumbar-supports#respond Tue, 24 Jul 2018 09:02:19 +0000 https://urasaki-harikyu.com/?p=6072 コルセット
腰痛の対策として使われることの多いコルセット。もしかすると、コルセットを使うことで、腰痛が早く治ったり、腰痛を予防できるというイメージをお持ちの方も多いかもしれません。

コルセットは腰を固定する装具です。固定は外傷の対策としては間違いではないのですが、腰痛の対策として正しいとはいえません。

なぜなら、多くの腰痛は外傷ではなく、腰に組織損傷などは起きていないからです。そのため、ケガと同じような対処をしても、多くの場合メリットはありません。

コルセットの有効性を示す根拠はないようです

・腰部コルセットや腰部サポートベルトは腰痛の予防法として勧めない。(ヨーロッパガイドライン)
European guidelines for prevention in low back pain : November 2004.

・コルセットを推奨する根拠は不十分。(アメリカガイドライン)
Diagnosis and Treatment of Low Back Pain: A Joint Clinical Practice Guideline from the American College of Physicians and the American Pain Society

・コルセットの効果は依然として不明である。(コクラン)
Lumbar supports for prevention and treatment of low back pain.
(コクランはイギリスに本部を持つ組織で、臨床試験の情報を収集・分析して発表しています)

・コルセットは予防において効果的ではないという強い根拠がある。
Preventive interventions for back and neck pain problems: what is the evidence?

・コルセットは欠勤日数を減らさない。体幹筋への影響もない。
Lumbar supports and education for the prevention of low back pain in industry: a randomized controlled trial.

このように、文献を見てみてもコルセットにメリットはありません。また、コルセットを使うことで筋力が低下するというようなデメリットもないようです。

コルセットに腰痛の治療や予防といった効果は期待できません。しかし、使うことで痛みが減って動けるようになるのであれば、使用を中止しなくても大丈夫です。長期にわたって使い続け、コルセットに依存してしまうことは避けるべきですが、動けないよりは動けた方がいいでしょう。

痛みが減ってきたら、徐々に外していけば問題ありません。

]]>
https://urasaki-harikyu.com/blog/lumbar-supports/feed/ 0
痛みはどこで感じるの? 脳のペインマトリックスと鎮痛機構 https://urasaki-harikyu.com/blog/pain-matrix-and-analgesia-mechanism https://urasaki-harikyu.com/blog/pain-matrix-and-analgesia-mechanism#respond Tue, 17 Jul 2018 03:45:39 +0000 https://urasaki-harikyu.com/?p=6036 ペインマトリックス 痛みを感じる脳内ネットワーク

痛みを感じるとき、活動が盛んになる脳の領域はペインマトリックス(痛み関連脳領域)と呼ばれています。

痛みは脳のどこか一部分だけで感じ取っているものではありません。痛覚中枢と呼ぶべき場所もありません。

痛みとは、記憶、情動、理性、感覚などの情報が複雑に混ざりあった結果、生じる(合成される)個人的な体験です。

ペインマトリックス
痛みの機能的脳画像診断より
ペインマトリックス
一次体性感覚野(S1)、二次体性感覚野(S2)、前帯状回(ACC)、後帯状回(PCC)、島(INSULA)、視床下部(HT)、前頭前野(PFC)、後頭頂皮質(PPC)、扁桃体(AMYG)、一次運動野(M1)、補足運動野(SMA)、中脳水道周囲灰白質(PAG)、腕傍核(PB)、視床後外側腹側核(VPL)、背内側核腹尾側部(MDvc)、腹内側核後部(VMpo)など

扁桃体と海馬

扁桃体と海馬

痛みを理解するには外せないのが扁桃体です。扁桃体には全身の感覚情報が流れ込んできます。その情報を海馬の記憶と照らし合わせ、有害と判定するとネガティブな情動(不安・悲しみ・怒り・恐怖)が生じます。

ネガティブな情動は視床下部などに送られてストレス反応を引き起こし、慢性的な痛みにつながります。

帯状回

前帯状回

脳内ネットワークの橋渡し役で、痛みにも強く関わります。特に前帯状回は痛みとの関連が深い部位です。

島皮質

自己意識の形成に関わる島皮質ですが、体の感覚や情動に関わる情報を受け取り、それらを自律神経系に送り出すことでストレス反応にも関わっています。

前頭前野

前頭前野と扁桃体

思考・判断・認知に関わるだけでなく、情動とも関わりがあります。前頭前野の中でも、背外側前頭前野(DLPFC)は扁桃体の活動を調整します。しかし、長期戦になると疲弊してしまい、抑えきれなくなる場合があります。

視床と体性感覚野

視床と体性感覚野

外界からの感覚情報は視床に入り、体性感覚野に送られます。体性感覚野には一次と二次があり、どこが痛むという情報は一次(S1)へ、痛みの性質・痛みにまつわる情動については二次(S2)へ送られます。

視床や一次体性感覚野は、痛みが慢性化すると活動が低下する特徴があります。

痛みを抑える 脳の鎮痛機構

ドパミンシステム

私たちが実際に感じる痛みの強さは、脳の鎮痛作用とのせめぎあいによって変化します。

ドパミンシステム
脳に痛みの情報が入ると、腹側被蓋野から側坐核や腹側淡蒼球に向けてドパミンが放出されます。側坐核が興奮すると、複数の神経核が一斉に活性化して鎮痛作用を発揮します。このとき放出される鎮痛物質としてはβエンドルフィンが有名です。

下行性疼痛抑制系
神経の興奮が中脳水道周囲灰白質に伝わると、下行性疼痛抑制系が働き、痛みの信号が末梢神経から脊髄後角に届いたところで遮断されます。中脳水道周囲灰白質はモルヒネの作用点でもあり、強い鎮痛効果を発揮します。

痛みを知るには脳を知る必要がある

私達が普段痛みを感じないのは、気づかないうちに鎮痛作用が働いているからです。鎮痛が働かない状況になると、体に何も問題がなかったとしても痛みを感じる状態になります。例えば、線維筋痛症では体に何の異常も見つからないのに全身が痛みます。

鎮痛作用を働かせるためには、ネガティブな情動(不安・悲しみ・怒り・恐怖)を鎮めること。そして、できる範囲でいいので体を動かす習慣をつくることです。

痛みの多くは、体の物理的な損傷ではありません。体の問題(姿勢・身体負荷・老化・骨の変形・神経の圧迫等)から痛みを予測することは困難です。

しかし、脳や心に焦点を当てることで痛みを予測できる可能性が出てきています。例えば、前頭前野・扁桃体・側坐核の神経的なつながりが強い人は、痛みが慢性化しやすいという研究があります。

Corticolimbic anatomical characteristics predetermine risk for chronic pain.

痛みの治療を考えるとき、もはや脳を無視できる時代ではないようです。

]]>
https://urasaki-harikyu.com/blog/pain-matrix-and-analgesia-mechanism/feed/ 0
腰に負荷をかけると腰痛になる? https://urasaki-harikyu.com/blog/hard-labor-and-low-back-pain https://urasaki-harikyu.com/blog/hard-labor-and-low-back-pain#respond Sat, 07 Jul 2018 09:51:16 +0000 https://urasaki-harikyu.com/?p=5977 腰痛は職業病だ。
腰に負荷のかかる仕事をしていると腰痛になる。

こうした考え方は、日本ではまだまだ根強いかもしれませんが、海外ではそうではありません。

むしろ、腰に負荷をかけることで体が発達すると肯定的に考えられていますし、椎間板にしても負荷をかけた方が老化(変性)がゆっくりになることが分かっています。運動は腰に負荷がかかりますが、腰痛を予防することが分かってきています。

関連記事⇒椎間板変性が原因で腰痛になる?負荷を恐れる必要はない

身体的負荷が腰痛を減らすことが判明

負荷で腰痛が減る

2003年の研究です。

スウェーデンの農業従事者1221名と非農業従事者1130名を対象に、身体的負荷の筋骨格系症状への影響を調べました。その結果、身体的負荷はこれまで考えられていたのとは違い、むしろ腰痛を減らすことが明らかとなりました。

The impact of physical work exposure on musculoskeletal symptoms among farmers and rural non-farmers.

そんなはずは?と思われたかもしれません。しかし、ここで大事になるのは常識を疑う視点です。

例えば、農家の人が「腰が痛い」と言ったとしましょう。すると私達はつい、「農業は腰に負担がかかるから腰痛になるんだな」と考えてしまいます。しかし、実際には偶然どこかにぶつけただけかもしれません。

このように、私達にはこれまで生きてきた中で作り上げたイメージで物事を見てしまうクセがあります。それによって、事実とは異なった物の見方をしているのかもしれません。医学では、こうした無意識の先入観を取り除いていくことが大切とされています。

この研究では、腰痛をはじめとした筋骨格系症状に、何が関係あって、何が関係ないのかを統計を使って詳しく調べています。その結果、身体的負荷はむしろ腰痛を減らしていて、腰に「保護的に」作用することが確認されました。

こうなると、腰痛を起こしているのは身体的負荷とは別の何かというしかありません。この論文では、「腰痛の罹患率を身体的負荷で説明することはできなかった」「身体的負荷に焦点をあてた予防戦略は、より広範囲なアプローチによって補完する必要があるようだ」として、心理・社会・経済的な要因などを挙げています。

この結論は、その後の腰痛とストレスの研究によって、さらに明確化してきているといえるのではないでしょうか。

]]>
https://urasaki-harikyu.com/blog/hard-labor-and-low-back-pain/feed/ 0