うらさき鍼灸院 京都府 向日市 https://urasaki-harikyu.com 京都府向日市の「うらさき鍼灸院」です。阪急東向日駅西口すぐ。肩こり・腰痛・五十肩・坐骨神経痛・自律神経失調症など、お気軽にご相談ください。 Fri, 11 Dec 2020 11:01:45 +0000 ja hourly 1 https://wordpress.org/?v=5.6 https://urasaki-harikyu.com/wordpress/wp-content/uploads/urasaki_favicon.jpg うらさき鍼灸院 京都府 向日市 https://urasaki-harikyu.com 32 32 腰痛改善の第一歩は安心感? https://urasaki-harikyu.com/blog/reassurance-lbp Fri, 11 Dec 2020 10:59:24 +0000 https://urasaki-harikyu.com/?p=7331 腰痛改善は安心感から

安心する女性

当ブログの腰痛記事は、色々な切り口で書いてはいますが、結論としては次の2点になります。

・多くの腰痛は心配いらない
・体を動かそう

これは腰痛を勉強すると必ず出てくる常識のようなもので、特別なことではありません。

WHO(世界保健機関)はホームページに次のように書いています。

「多くの患者に十分な腰痛ケアを行う第一ステップは、活動を続けるためのアドバイス、腰痛の良性に関する教育、および深刻な病状がないという安心感を提供することです。
(これらは)すべてのガイドラインで推奨されています。」※1

続く第二ステップでは治療の選択肢が示されます。

腰痛は治療を始める前に、「活動的であり続けるためのアドバイス」「安心感の提供」が必要なのです。そうすることで腰痛が改善しやすくなるからです。

痛みによって不安・恐怖をつのらせると、それまで出来ていた活動ができなくなるばかりか、脳が過敏になり、よけいに痛みが悪化することが知られています。

しかし、まだ国内では難しいのかもしれません。日本腰痛診療ガイドライン2019では、活動性維持についてはかろうじて記載があるものの、安心感の提供にはほぼ触れていません。※2

「放っておいたら必ず悪化する」「○○をしてはいけない」といった不安を煽る先生はまだまだいらっしゃる様子。私のところにも、こうした相談が寄せられています。

腰痛は医原病かも?

こちらの動画はご存知でしょうか?
15分の動画です。初めて見る場合は、必ず最後まで通してご覧ください。驚くと思います。

腰痛-事実とフィクションを区別する-Peter O’Sullivan教授 (日本語字幕)

この動画の中で、教授がとある論文について話していますが、その内容が興味深かったので、少しご紹介します。※3

オーストラリアに住む、慢性腰痛を持つアボリジニの人々(32人)を対象に調査を行いました。

彼らのほとんどは、慢性腰痛は背骨の異常のせいだという信念を持っていました。その信念は、医療関係者からのアドバイスと、画像検査によるものでした。

腰痛についてネガティブな信念を持つ人々はつらい腰痛を抱えており、逆に腰痛の軽い人々はポジティブな信念を持っていました。

腰痛は、部分的には医原性の可能性があることが示唆されました。

論文は、医療従事者は慢性腰痛の将来について、ポジティブな信念を持てるよう、コミュニケーションを取ることが課題だとしています。非常に示唆に富んでいますね。

知識を武器に立ち向かう

これを読んでいるあなたは、今どんな状態でしょうか。これまでに、医療を利用して、どんな体験をされたでしょうか。

もし万が一、ネガティブなメッセージの影響を受けてしまっていたら、ぜひ知識を武器にしてください。不安を鎮める方法のひとつは、「この場合は不安に感じる必要はない」という、知識を持つことです。

最後に繰り返しますが、腰痛改善のファーストステップは、安心感と活動性の維持です。

参考になりましたら幸いです。

<参考文献>

※1 Care for low back pain: can health systems deliver?/WHO

※2 日本腰痛診療ガイドライン2019

※3 Disabling chronic low back pain as an iatrogenic disorder: a qualitative study in Aboriginal Australians

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痛みに注目すると悪化する、好きなことに集中すると痛みは減る https://urasaki-harikyu.com/blog/pain-and-attention Fri, 31 Jul 2020 08:14:52 +0000 https://urasaki-harikyu.com/?p=7298 最終的に、痛みを感じるのは脳です。脳がなければ痛みもありません。

脳は、神経を通じて体の感覚情報を受け取っています。しかし、ただ素直に受け取っているだけではありません。

音楽のスピーカーのように、感覚を増幅したり、減衰させたりしています。その調節にストレス(心理社会的要因)が影響していることは、よく知られています。

心と痛みの関係を知ることは、痛みの対策を考える上でも重要です。

脳イラスト

痛みに注目すると、もっと痛くなる

注意と感情は痛みに影響しています。

痛みから注意をそらしたり、ポジティブな気分になることで、痛みは低下することが知られています。反対に、痛みに注目したり、ネガティブな気分になることで、痛みは増大してしまいます。

趣味に没頭しているときは平気なのに、手を止めて体を気にすると痛みが強くなる。
大好きな旅行の最中は痛みを忘れているのに、自宅に帰ってくると痛みが戻ってくる。
心地よい絵を見たり、花の香りをかいだりすると、痛みは和らぐ。
怒りや不安にとらわれていると、痛みが気になってくる。

意識が変わると痛みが変わる

こうした痛みの性質は、治療にも応用することができます。マインドフルネス(瞑想)が典型的ですが、痛み以外に意識を集中する練習をすることで、痛みを減らす効果が期待できます。

・目を閉じて、呼吸に集中する。
・目の前の作業に集中する。
・できたことに注目する。
・誰かの行いに感謝する。

痛みが強いときはどうしたって気になりますが、痛みだけに注目しないよう意識しましょう。

・痛いけど、テレビは面白い。
・痛いけど、料理は美味しく作れた。
・痛いけど、今日は嬉しいことがあった。

痛みが最大の関心事だと、脳は「そんなに痛みに興味があるなら、痛くしてやろう」といわんばかりの振る舞いをします。
ならば、すべきことはその逆。

意識的に、痛み以外のことを大切にすることです。

好ましい状況だと痛みが減る

マゾヒストを対象に行われた興味深い研究があります。

マゾヒストは、被虐的なシチュエーションだと痛みを感じにくくなりますが、感情的な背景なしに痛みを与えたところ、普通に痛いだけだったというのです。

(その人にとって)好ましいシチュエーションだと痛みを感じにくくなる、というのがポイントです。その意味では、趣味に没頭したら痛みが減るのと同じ話です。

別にマゾヒストになる必要はありませんが、脳にはそれだけのポテンシャルがあることを知っておいて損はありません。

痛みに注目して悪化させるのも、好きなことに注意を向けて痛みを減らすのも、自分次第なのです。

参考になりましたら幸いです。

参考文献
痛みと情動
Contextual modulation of pain in masochists: involvement of the parietal operculum and insula

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意味のない生活指導に注意 https://urasaki-harikyu.com/blog/cat-is-liquid Wed, 13 May 2020 10:25:24 +0000 https://urasaki-harikyu.com/?p=7269 腰痛や肩こりの患者さんから、他の治療院で次のような生活指導を受けた、という相談を受けることがあります。

・足を組んではいけない
・椅子に座るときは骨盤を立てる
・アゴが前に出てはいけない
・肩は前すぎても後ろすぎてもいけない
・かばんを持つときには左右均等に持ち替える
・猫背になってはいけない
・頬杖をついてはいけない
・ベッドから起きるときに手をついてはいけない

このような指導は症状の改善にはつながりません。むしろ、症状に意識を向けてしまうので、悪影響があります。

正しい動作も姿勢も存在しない

こうした指導の根底にあるのは、正しい姿勢、正しい動作が存在するという思い込みです。そんなものはありません。善意からの指導であっても、間違っていては困りものです。

そもそも、人間は左右対称ではありません。利き腕がある時点で、左右を均等に使うこともできません。姿勢と体の痛みには関係がありません。

にも関わらず、体の使い方が悪いと痛みが悪化すると暗示をかけてしまう。そんな指導を受けていたら、日常のあらゆる行動が痛みの原因に思えてきて、不安になるばかりです。日常生活がストレスになり、生活の質が悪化します。

疼痛回避行動と痛みの関係

疼痛回避行動という言葉があります。痛い場所をかばったり、痛みが少なくすむように動くことをいいます。

疼痛回避行動が多いと、痛みの悪循環に陥りやすくなります。

痛い→怖い→動かしたくない・かばう→余計に怖くなる→ストレスが増える→脳が痛みに過敏になる→もっと痛くなる

全くいいことはありません。

「足を組んではいけない」といった指導の通りに、一日中気をつけて過ごしていると、疼痛回避行動が強まってしまいます。

逆です。

痛みを改善するためには、痛みから逃げないこと。痛くてもできることをすること。できたことに注目して、自信を取り戻すことが大切です。

痛くても別にいいのです。極論すれば、痛みを避けて寝たきりでいるより、痛くても活動的でいる方がずっと健康的です。そうこうしているうちに、痛みに注意が向かなくなって、脳が鎮痛作用を取り戻してくればしめたものです。

別に無理をしろとはいいません。動ける範囲で動けばいいのです。

慢性疼痛治療ガイドラインより
痛みの恐怖回避モデル

猫に学ぶ

猫

猫を見ましょう。

猫は液体という名言(?)があります。

彼らには「正しい姿勢」「正しい動作」なんて考えはありません。ただ、好きな姿勢を取っているだけです。

自然体でいいのです。

たまたま痛くなったときに、姿勢や動作のせいにされてしまった。日常の動作にたくさん注文をつけられてしまった。それは残念なことですが、そっちに引っ張られてはいけません。

いろんな先生がいるなぁと、適当に受け流して、真に受けないようにしましょう。

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腰痛の治りやすさは何で決まる? https://urasaki-harikyu.com/blog/ease-of-back-pain Tue, 03 Mar 2020 06:15:54 +0000 https://urasaki-harikyu.com/?p=7203 腰痛のほとんどは6週間以内に自然に治っていく傾向がありますが、一部(5~20%)は痛みが長引いたり、再発を繰り返すこともあります。

治りやすい腰痛と、治りにくい腰痛。
その違いはどこにあるのでしょうか。

答えは、心理社会的要因です。

腰痛は、体の問題だけじゃない

治りにくい腰痛というと、ひどいケガや病気を想像する人が多いかもしれません。しかし、多くの腰痛はケガでも病気でもありませんし、ケガや病気の度合いで痛みが決まるわけでもありません。

戦争で大怪我をしても痛みを訴えない兵士、ひどい骨の異常があっても元気な人など、いくらでも例はあります。体のことだけ考えていても、痛みの全体像は見えてきません。もう少し、別の視点が必要です。

生物心理社会モデル
生物心理社会的モデル

生物=体の状態から痛みを考える
心理=心の状態から痛みを考える
社会=その人をとりまく社会から痛みを考える

3つの角度から考えましょう、という話ですね。

痛みは、体が20%・心が50%・社会が30%のように、複数の問題が重なって起こると考えられます。中でも心理社会的要因(ストレス)は痛みを治りにくくすることが知られています。

思い切って単純化します。

治りやすい腰痛は心理社会的要因が小さい
治りにくい腰痛は心理社会的要因が大きい

体も大事ですが、心はそれ以上に大事かもしれません。

破局的思考が強いと痛みには逆効果

破局的思考とは、次のような悲観的な考え方のことをいいます。

「腰が痛い。なんだこれは、私は死んでしまうのではないか。怖い。体のどこかで致命的な問題が起きているに違いない。最悪だ、きっともう治らない。」

痛みのことを繰り返し考える(反芻)
痛みに抗うことはできないと考える(無力感)
痛みの強さや影響を過剰に捉える(拡大視)

すると、考えた通りに、痛みは長引き、時に悪化することもある。なぜ悲観的に考えると痛みが長引くのかというと、心の痛みも体の痛みも脳にとっては同じことだからです。

その反対に、破局的思考が減ると慢性痛が改善することも分かっています。考え方のクセに気づき、落ち着いて考えられるようになると、痛みは治りやすくなります。

自己効力感を高める

歩いて遠くまで出かけよう。さて、自分はどこまで行けるだろうか?10kmくらい?いやいや、20kmでもいけるんじゃないか。このような、「自分はこのくらい出来るだろう」という見積もりのことを、自己効力感といいます。

これが痛みについても重要だといわれています。

(痛くても)これくらいは対処できる
(痛くても)これくらいは達成できる

一種の自信ですね。この感覚が痛みに立ち向かう力になります。

自分はここまでできる。だったら、もう少しできるんじゃないか。

不安は痛みの悪循環の入り口ですが、その反対に、自己効力感を高め、落ち着いて対処できるようになると、回復へ向かう道が見えてきます。

そのためには、自分の思考のクセに気がつく必要もあるでしょうし、小さくても達成したことに目を向ける必要もあるでしょう。

「なんだ、(痛くても)自分は家事をできてるじゃないか」

痛みに注目するのではなく、できたことに注目するのが第一歩です。

参考になりましたら幸いです。

参考文献
慢性腰痛の新たな治療戦略 —Cognitive Functional Therapyの紹介—
痛みの認知面の評価:PainCatastrophizingScale日本語版の作成と信頼性および妥当性の検討

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肩こりは筋肉が硬いから? https://urasaki-harikyu.com/blog/stiff-shoulders-muscle-hardness Mon, 17 Feb 2020 03:02:19 +0000 https://urasaki-harikyu.com/?p=7191 肩こりの女性

肩こりは本人にしか分からない

美容室では、施術の後にマッサージ的なことをしてくれます。
そこでよく言われる言葉。

「こってますね」

そうか、自分は肩こりだったのか。
人から言われて、自分は肩こりだと信じてしまう方がいます。

実際、当院にお越しになる方のなかにもいらっしゃいます。
でも、肩に痛みや不快感があるか質問すると、ないのです。

それは肩こりではありません。
肩の筋肉が硬いだけですから、何も心配はいりません。

肩こりは、肩に感じる「こってるなー」「痛いなー」という不快感のことです。
ご本人の感じ方の問題なので、人に言われても気にする必要はありません。

硬いから痛いとは限らない

筋肉の硬さと痛みについて調べた研究があります。

筋硬度計を使って調べてみると、痛みと筋肉の硬さは、あまり関係ありませんでした。

MPSの筋疼痛の程度は,筋硬度の程度に影響されないということが示唆された。
筋硬度の定量化ならびに筋硬結における筋疼痛と筋硬度との関連性

当院の患者さんでも、肩がすごく硬いのに平気な人もいれば、やわらかいのに「肩がパンパンなんで思いっきりやって下さい!」なんて人もいます。

筋肉の硬さは人それぞれです。
感じ方にも個人差があります。

「私の肩は痛いですか?」と他人に質問しても答えられないのと同じで、「私は肩こりですか?」と他人に聞いても分かりません。

あなたがつらいなら、つらい。
あなたが元気なら、それでいいのです。

参考になりましたら幸いです。

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鍼灸の痛みに対するエビデンスはどのくらい? https://urasaki-harikyu.com/blog/evidence-of-acupuncture-for-pain Tue, 24 Dec 2019 09:01:10 +0000 https://urasaki-harikyu.com/?p=7172 今回は、2019年5月に公開された文献より。
Synthesizing the Strength of the Evidence of Complementary and Integrative Health Therapies for Pain

慢性痛はアメリカの成人、約1億人に影響を及ぼしています。

痛みへの対処法として、オピオイド鎮痛薬(医療用麻薬)が注目されていますが、薬物の過剰摂取による死亡、依存症による入院が増えています。

そんな中、オピオイドを減らし、薬を使わない治療に関心が高まっています。

そこで、痛みに対する鍼治療、マッサージ、マインドフルネス、太極拳のエビデンス(科学的根拠)が調査されました。

今回調べられた4療法の中では、鍼治療は最も評価されており、唯一、痛みに対して明確に肯定的なエビデンスを示していました。

鍼治療のエビデンス
・肯定的な証拠
頭痛・慢性痛

・有効な可能性がある
変形性関節症、足関節捻挫、陣痛、前立腺炎、かかと痛、顎関節症、妊娠痛、慢性膝痛、子宮内膜症

・不明確、または混合した証拠
片頭痛、月経困難症、全身痛、癌性疼痛、背部痛、頸部痛、手術鎮痛、術後痛、線維筋痛症、肩痛、関節リウマチ、アロマターゼ阻害剤誘発性関節痛、慢性末梢神経障害性疼痛、外側上顆痛。

・証拠なし
手根管症候群

鍼灸のエビデンスは確立されつつある

代替医療解剖(改題前:代替医療のトリック)が出版された10年前は、コクランレビューを根拠に、鍼灸の効果はプラシーボ効果にすぎないと言われていました。当時も鍼灸師側の反論はありましたが、エビデンスに乏しかったのも事実でしょう。

しかし、研究者の方々の多大な努力の積み重ねにより、鍼灸の評価は10年前とは大きく様変わりしています。

今やコクランレビューでは、線維筋痛症、労働者の痛み管理、月経困難症、関節炎、緊張型頭痛、化学療法による嘔吐、肩痛、関節リウマチで、鍼灸が効果的と判断が出ています。※

現在、鍼灸の論文数は、アメリカの論文検索サイト「PubMed」で3万件を超えています。年間に600本以上の論文が出ているそうで、ランダム化比較試験だけでも年に100件以上です。

今はまだ効果を確認できていない症状・疾患に対しても、今後エビデンスが構築されていくことが期待されます。

※鍼灸臨床最新科学(2014,医歯薬出版株式会社)より

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楽観性と痛みには関係がある? https://urasaki-harikyu.com/blog/optimism-and-pain Wed, 25 Sep 2019 08:57:09 +0000 https://urasaki-harikyu.com/?p=7144 腰痛改善のためには、不安を払拭することが有効といわれています。不安は痛みを増幅したり、長引かせたりすることが脳の研究によって分かってきています。

今回はそれに関連して、楽観主義(ポジティブ)と痛みについてです。

楽観的な兵士は痛みを起こしにくい

Association Between Predeployment Optimism and Onset of Postdeployment Pain in US Army Soldiers.

戦地では、兵士たちに腰痛が増えることが知られています。兵士が戦線離脱する理由として、ケガよりもストレスによる痛みの方が多いのです。そのため、軍隊では慢性痛のリスクを調べることが不可欠とされます。

この研究では、アフガニスタンまたはイラクに配備された、約2万人の米軍兵士を調査しました。その結果、楽観的な兵士は、頭痛や腰痛になりにくいことが分かりました。

これは兵士に限った話ではありません。一般の人々も楽観主義によって痛みが減る可能性があります。

楽観主義は生まれつきのものではなく、学んで身につけることもできます。最高の自分をイメージしたり、感謝を表現してみたり、瞑想やマインドフルネス、認知行動療法などの方法もあります。

ポジティブな対応は症状を改善させる

もう一つ、別の視点から見てみましょう。

General practice consultations: is there any point in being positive?

一般診療で、ノドの痛み・腰痛・頭痛など、症状はあるが身体的な異常は見つからない患者200名を対象に、医療相談を行います。

その際、先生がポジティブな対応をするグループと、ネガティブな対応をするグループに分けます。さらに、それぞれプラセボ治療を行うグループと、何も治療を行わないグループに分けて、2週間後に症状の改善度を調べました。

ポジティブな先生だと64%改善するが、ネガティブな先生だと39%の改善にとどまる。

結果、ポジティブな対応をしたグループでは、治療の有無に関わらず64%が改善しましたが、ネガティブな対応をしたグループでは治療を行っても42%しか改善しませんでした。

論文の著者は「おそらく、医師自身が依然として最も効果的な治療法です」と述べています。どんな治療をするかも大事ですが、対応する先生が誰かによって結果が変わってくるようです。

まとめ

楽観的な人は痛みを起こしにくい。自信に満ち、前向きな態度で接する先生だと、安心できるし、実際に良くなる可能性も高い。

何度書いたかわかりませんが、改めて、「病は気から」と思える論文2本を紹介しました。参考になりましたら幸いです。

参考⇒腰痛の原因と治し方(まとめ)

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睡眠不足の悪影響、大きすぎでは!? https://urasaki-harikyu.com/blog/adverse-effects-of-lack-of-sleep Wed, 26 Jun 2019 09:23:57 +0000 https://urasaki-harikyu.com/?p=6848 睡眠不足の悪影響

睡眠不足は健康に良くない。

そう知っていながらも、ついつい寝るのが遅くなりがちな現代人。

睡眠不足は具体的にどんな影響があるのか見ていきます。

睡眠負債とマイクロスリープ

睡眠不足のことを睡眠負債ともいいます。

知らず知らずのうちに借金のように積み上がていくイメージです。

睡眠不足は眠って取り返すしかありません。

カフェインでごまかしても、それは無理やり脳を覚醒させているだけで、睡眠が必要なくなるわけではありません。

無理を続けていると、やがて症状と共に限界が近づいてきます。

例えばマイクロスリープといって、瞬間的に3~10秒ほど眠ってしまい、物事への反応が遅れることがあります。

車の運転中に起こると大変危険です。

寝ないと死亡率が上がる

睡眠時間が短くなるほど死亡率が上がります。

ラットを寝かさない実験をすると、みるみる食欲がなくなって数週間で死んでしまいます。※2

人間で同じ実験をするわけにいきませんが、3時間睡眠の人たちは7時間睡眠と比べて死亡率が1.3倍に上がるという研究があります。※1

また、睡眠不足の蓄積が、がん・糖尿病や高血圧などの生活習慣病・うつ病などの精神疾患・認知症など、様々な疾患のリスクを高めることも分かってきています。

寝ないと精神に悪影響が出る

ギネスで一切寝ないチャレンジをした高校生は、4日目ころから集中力の低下、幻覚、猜疑心など精神的な変調を起こしました。※2

現在、ギネスブックは断眠の世界記録を認めていません。

睡眠不足でミスが増える

眠気とミス
(文献※3より改変)

健康な成人48人の睡眠時間を制限して、モニター画面上に赤い丸が表示されたらスペースキーを押すという課題(PVT)を与えたところ、6時間睡眠以下ではパフォーマンスの低下が見られました。※3

ミスが増えたわけです。

しかし、彼らはそれほど強い眠気を感じていたわけではありませんでした。睡眠不足にともないミスは右肩上がりで増えますが、眠気は横ばいに近づいていきます。

眠気の強さで睡眠不足を判断することはできません。※4

睡眠不足で太る

寝ないと太るグラフ
(文献※5より改変)

サンディエゴ大学の調査によると、睡眠時間が短い女性はBMI(体格指数)が高くなることがわかりました。※5
また、9時間以上の睡眠でもBMIは高くなっていました。

BMIが最も低かったのは7時間睡眠の人たちでした。

BMI= 体重kg ÷ (身長m)²
BMIが22であれば適正体重、18.5以下は痩せ型、25以上は肥満とされています。

BMIと適正体重 – 高精度計算サイト

睡眠障害は痛みとも関係している

睡眠障害は痛みと関係があることも分かってきています。

例えば、一晩全く眠らずにいると、それだけで痛みの感受性が上がってしまいます。※6

腰痛によって眠れなくなること、眠れないことで腰痛が悪化すること、どちらも関係があるという報告もあります。※7

慢性痛の改善には、睡眠の確保が大切だといわれています。

まとめ

睡眠不足の影響はあらゆる所に出てきます。

注意力が落ちミスが増え、精神状態が悪化し、病気のリスクが増え、寿命が減り、体重が増え、痛みが増える可能性があります。

最低でも6時間、できるなら7時間の睡眠を目標にすることをおすすめします。

文献

※1 10年後「死亡率」が最も低い睡眠時間は何時間か 日本人が知らない睡眠負債の恐怖 | 睡眠 – 東洋経済オンライン

※2 レジデントノート 睡眠について

※3 The cumulative cost of additional wakefulness: dose-response effects on neurobehavioral functions and sleep physiology from chronic sleep restriction and total sleep deprivation.

※4 極論で語る睡眠医学 著:河合真 丸善出版

※5 Mortality associated with sleep duration and insomnia.

※6 One night of total sleep deprivation promotes a state of generalized hyperalgesia: a surrogate pain model to study the relationship of insomnia and pain.

※7 The bidirectional relationship between pain intensity and sleep disturbance/quality in patients with low back pain.

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腰痛に対する鍼灸の有効性は? https://urasaki-harikyu.com/blog/effectiveness-of-acupuncture-for-lbp Mon, 10 Jun 2019 07:42:49 +0000 https://urasaki-harikyu.com/?p=6826 腰痛のポイント

  • 多くの腰痛はケガではなく、体に損傷は起きていない。
  • 骨や姿勢のゆがみは腰痛とは関係ない。
  • ストレスの影響で痛みが治りにくくなる。

腰痛の多くは、腰の筋肉にけいれん・血行不良が起きている可能性があります。

病院では主に、鎮痛薬やリハビリによる治療が行われています。

自力で取り組むのであれば、安静にしないこと、なるべく普段どおり生活すること、ストレスとの付き合い方を勉強すること、などが対策になります。

では、そんな腰痛に対して、鍼灸の有効性はどうでしょうか。

ガイドラインで認められている鍼灸

海外の腰痛診療ガイドラインにおいて、鍼灸は有効性を認められています。
Noninvasive Treatments for Acute, Subacute, and Chronic Low Back Pain: A Clinical Practice Guideline From the American College of Physicians.

これによると、急性・亜急性・慢性いずれの腰痛においても、鎮痛剤より先に行うべき治療として鍼灸が推奨されています。

理由としては、鍼灸は一般的な鎮痛薬よりも有効性が高いこと、副作用などのリスクが低いことです。

WHOは腰痛治療の選択肢として鍼灸を挙げている

WHOマーク

WHO(世界保健機関)のホームページには、腰痛についてまとめたページがあります。
Care for low back pain: can health systems deliver?

その中で、鍼灸は理学療法・心理療法と並んで、腰痛治療の選択肢として挙げられています。

腰痛に対する鍼灸は、医学的にコンセンサスが得られていると考えられます。

ドイツで保険適用される鍼灸

ドイツでは、慢性腰痛と膝痛に対する鍼灸が公的保険の対象になっています。

臨床試験の結果、標準的な医療より鍼灸の方が有効性が高かったのが理由です。

鍼灸は通常医療より有効
臨床鍼灸研究の現状─コクランライブラリーを参照として─

「鍼治療(真の鍼治療、偽鍼いずれも)は、通常治療のほぼ2倍の効果があった。これらの結果に基づいて、鍼治療は現在ドイツの公共医療として認識されている。」
全日本鍼灸学会 国際シンポジウム 腰痛症総論

少し補足

臨床試験は本物の治療とニセの治療(シャム)を比べて、結果に差が出るかを調べます。

鍼灸は本物とニセ物で差が出ないことが多く、プラシーボ効果にすぎないと結論されることがあります。

しかし、鍼灸のニセ治療として使われているのは、ツボの位置からずらして刺す、浅く刺す、皮膚表面の刺激に留める、などの方法です。

いずれも普通に行われている鍼灸の方法でしかなく、人体に効果を及ぼしてしまいます。

つまり、本物とニセ物で差がないのではなく、2つの本物を比べて差がなかっただけです。

薬のように人体に影響しないニセ物を用意できないので、他の一般的な治療と比較しないと効果が見えてこないという難しさがあります。

まとめ

このように、鍼灸の有効性は臨床試験によって確認され、医学の専門家や国際的な機関が有効性を認めています。

腰痛でお困りの際は、鍼灸をご検討ください。

参考⇒腰痛の原因と治し方(まとめ)

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世界の腰痛診療ガイドラインに共通するポイントは何? https://urasaki-harikyu.com/blog/lbp-guidelines-common-point Fri, 24 May 2019 05:53:47 +0000 https://urasaki-harikyu.com/?p=6787 書籍とノート

腰痛になると、痛みの原因は何だろう?どうすれば早く治るのだろう?と考えると思います。

その疑問を解消するために、インターネットで検索する方も多いでしょう。

しかし、ネットには情報が多すぎて、どれを信用したらいいのか分からなかったり、いざ専門家に相談しても意見がバラバラということは珍しくありません。

そこで今回は、医学の専門家が集まって作る世界のガイドラインを参考にしながら、腰痛の分類や治療について見ていきます。

世界の腰痛診療ガイドラインに共通するポイントは何?

世界中で行われている腰痛の研究。その叡智を結集して作られる、腰痛診療ガイドラインというものがあります。

ここでいうガイドラインとは、「医療者と患者さんが、適切な診療の意思決定を行うことを支援する目的で作成された文書」のことです。

何がベストかこれを参考に考えてね、ということです。

ガイドラインを読むと、医学の専門家が何を重視しているのか見えてきます。

An updated overview of clinical guidelines for the management of non-specific low back pain in primary care

世界中で作られている腰痛診療ガイドラインの内容を比較したところ、共通している部分がありました。

腰痛の分類

診断は大きく3つに分類するのが主流でした。

  • 病気が原因の腰痛(レッドフラッグ)
  • 坐骨神経痛(神経根症状)
  • 一般的な腰痛(非特異的腰痛)

オーストラリアとニュージーランドのガイドラインでは、一般的な腰痛と坐骨神経痛を分けていません。

病気の可能性がなければ、一般的な腰痛と同じ扱いです。

病気が原因で腰痛になることは稀ですが、無いわけではありませんので、まずはその可能性をチェックします。

心理社会的要因

心理社会的要因(ストレスなど)を重視するのも世界共通でした。

心理的苦痛、うつ、痛みを過剰に避ける、痛みのことばかり考える、無力感などは、腰痛の発症・再発・慢性化のリスクと考えられています。

カナダとニュージーランドのガイドラインは、心理社会的要因をチェックする方法、チェック後の方針を明確にしています。

腰痛の画像診断

腰痛の画像診断(レントゲン、MRI、CT)については、「日常的な使用を推奨しない」のが世界標準です。

病気の可能性があるときにだけ使うよう制限されています。

画像診断を使わないと体の中のことが分からないのに、どうして推奨されないのでしょうか。

What can the history and physical examination tell us about low back pain?

「腰痛の85%は原因不明である」という形でガイドラインにも頻繁に引用されている論文です。

具体的には、「症状、病理学的変化、および画像診断結果の関連性が弱いため、最大85%の患者に確定診断を与えることができない」と述べています。

画像診断で異常が見つからないのではなく、異常を見つけても腰痛の原因かどうかは分からないというのがポイントです。

例えば、椎間板ヘルニアは健康な人でも76%に見つかるほどありふれた画像所見なので、見つけても腰痛とは関係ないかもしれません。

「原因を特定できないことが多いので、診断努力はしばしば期待外れです。
腰痛のあらゆる場合について正確な原因を探すのではなく、3つの基本的な問いに答えることが最も有用かもしれない。」

  • 痛みを起こす深刻な全身性疾患はあるか?
  • 外科的評価を必要とする神経学的な損傷はあるか?
  • 痛みを増幅・長引かせる心理的な苦痛はあるか?

腰痛の治療

腰痛の治療として、世界のガイドラインが推奨しているのは次のようなことです。

  • 患者を安心させる
  • 活動を続けることを勧める
  • ベッドでの安静は避ける

もしかすると治療に見えないかもしれませんが、腰痛は基本的に自然治癒する傾向があります。

そのため、自然に治るのを邪魔しないことが大切です。

痛みを怖がって普段の活動をやめてしまい、行動範囲が狭まっていく方がずっと問題が大きいのです。

薬の推奨としては、過去にはアセトアミノフェン(解熱鎮痛薬)が第一選択でした。

しかし、2017年アメリカのガイドラインでは、アセトアミノフェンが推奨から外れて話題になりました。

代わりに、薬を使わない保存療法(鍼灸・マッサージ・脊椎マニピュレーション)が推奨されました。

また、3ヶ月以上続く慢性腰痛には、運動療法・認知行動療法なども推奨されています。

2019年に更新された日本の腰痛診療ガイドラインにおいても、アセトアミノフェンは評価を大きく下げています。

まとめ

世界の腰痛診療ガイドラインでは、重い病気の可能性がないことを確認したら、ストレスの影響に配慮しつつ、なるべく普通に生活することを勧めています。

いかなる腰痛も原因を徹底的に調べて診断名をつけて治療すべき、というガイドラインはありません。

この点、患者さんの期待とは違うかもしれませんが、結果的にはその方がメリットが大きいことを医学は明らかにしています。

腰痛を治すためにまず必要なことは、安心と可能な範囲で活動を続けることです。

ガイドラインから逸脱したアドバイスや、安心できない・不安を煽る先生にはご注意ください。

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