うらさき鍼灸院 http://urasaki-harikyu.com 京都府向日市の「うらさき鍼灸院」です。阪急東向日駅西口すぐ。肩こり・腰痛・五十肩・坐骨神経痛・自律神経失調症など、お気軽にご相談ください。 Fri, 25 May 2018 05:00:43 +0000 ja hourly 1 https://wordpress.org/?v=4.9.6 http://urasaki-harikyu.com/wordpress/wp-content/uploads/urasaki_favicon.jpg うらさき鍼灸院 http://urasaki-harikyu.com 32 32 腰痛が慢性化して治らないのはなぜ?脳の変化がポイント http://urasaki-harikyu.com/blog/chronic-low-back-pain-and-brain-activity http://urasaki-harikyu.com/blog/chronic-low-back-pain-and-brain-activity#respond Tue, 22 May 2018 09:50:24 +0000 http://urasaki-harikyu.com/?p=5337 痛みの伝導路だけでは説明不可能

痛みの伝導路
痛みの感覚は、体の異常に痛みセンサー(侵害受容器)が反応して、発生した電気信号が神経を伝わり、それが脳に届くことで「痛い!」と感じます。これが最も基本的な痛みのメカニズムです。

ただこれだけでは、腰に異常がないのになぜ痛むのか?なぜストレスで痛みが起きたり悪化したりするのか?そして、なぜ痛みが長引いてしまうのか?という疑問に答えることができません。

そこから先は、脳で何が起きているか見ないと分からない世界です。近年、fMRI(磁気共鳴機能画像法)を使うことで、脳の活動について詳しいことが分かるようになってきました。

慢性腰痛では脳の活動が変化する

腰痛は発症してからの期間によって、急性腰痛(4週まで)、亜急性腰痛(4週間~3ヶ月)、慢性腰痛(3ヶ月以上)と分けられます。このうち、亜急性腰痛から慢性腰痛に変わる時、脳に驚きの変化が起きていることが分かりました。

亜急性腰痛と慢性腰痛のfMRI比較
Shape shifting pain: chronification of back pain shifts brain representation from nociceptive to emotional circuits.

被験者の脳活動を調べたところ、亜急性腰痛では、脳の前帯状回・島皮質・視床など、体の痛みを感じる部位が反応していました。

ところが慢性腰痛になると、場所が変わって扁桃体・眼窩前頭皮質・内側前頭皮質などの反応が強くなりました。これらは認知・情動に関係する部位です。

意識の上では腰が痛いことに変わりはありません。しかし、脳の活動は時期によって全く違っていたわけです。

扁桃体の暴走

扁桃体
中でも、扁桃体は、怒り・悲しみ・不安・恐怖といったネガティブな情動に関わっていて、ストレスホルモンの分泌を起こします。すると交感神経の過緊張から、筋肉の緊張・血行不良、体の痛みへとつながります。

痛みとは本来、危険信号です。生きるために、体に起こった問題を知らせてくれる役割があります。しかし、慢性痛になるとその意味はなくなります。ストレスで扁桃体が刺激されることで、体に問題がなくても痛みがずっと続いてしまいます。そして、痛みはそれ自体がストレスとなってさらなる痛みを引き起こし、負の連鎖が続きます。

    ストレス・痛みの体験→扁桃体が活動→ストレスホルモン分泌→交感神経の過緊張→筋緊張・血行不良→痛み→さらなるストレス

脳が萎縮する

背外側前頭前野(DLPFC)は、判断・興味・意欲と関係があります。また、扁桃体の働きを押さえ込むように働きます。

健常者26名と、慢性腰痛患者26名をfMRIで比較した研究では、慢性腰痛患者の背外側前頭前野が健常者と比べて5~11%萎縮しているのが見つかりました。これは通常の10~20年分に相当します。

扁桃体の活動を抑えきれずに脳が疲弊してしまうわけですね。

前頭葉の萎縮
Chronic back pain is associated with decreased prefrontal and thalamic gray matter density.

側坐核の機能低下

側坐核の活性
Predicting value of pain and analgesia: nucleus accumbens response to noxious stimuli changes in the presence of chronic pain.

慢性腰痛の患者を調べたところ、側坐核の働きが低下していることが分かりました。側坐核は報酬や快感に関わっている場所であり、鎮痛にも関わっています。

嬉しいとき、楽しいとき、何かを達成したときなどに活発になる。そして、痛みを感じたとき、その痛みを打ち消すために活発になる。それが側坐核の特徴です。私達が日常、ちょっとしたケガなどで感じる痛みは、実は側坐核によってかなり弱められた痛みです。

ところが、慢性腰痛ではその働きが落ちてしまいます。つまり、健康な人よりもずっと痛みを強く感じてしまっている可能性が高いのです。

脳の中では、痛みと情動が結びついていた

このように、慢性腰痛では脳の働きに大きな変化が起きていることが分かっています。腰痛が長引いてしまうのは、普通の痛みとは違い、ネガティブな情動と深く結びついた痛みだからです。腰の状態を悪く解釈すれば、それだけで扁桃体が活動して腰痛は治りにくくなっていきます。

骨の異常や姿勢のゆがみを原因とする言説は、単に間違っているというだけでなく、不安を大きくするので脳に悪影響があります。反対に、正しい情報を仕入れて余計な不安を減らすことは、腰痛改善のための足がかりとなります。

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ストレスで腰痛になるってどういうこと? http://urasaki-harikyu.com/blog/become-low-back-pain-with-stress http://urasaki-harikyu.com/blog/become-low-back-pain-with-stress#respond Wed, 16 May 2018 03:38:58 +0000 http://urasaki-harikyu.com/?p=5289 ネットで腰痛について情報収集している方であれば、「ストレスで腰痛になることがある」という情報を少なからず目にしたことがあるのではないでしょうか。

でも、そういわれてもピンとこなかったり、ストレス程度で何を大げさなと感じる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、近年の腰痛研究では心の問題は切り離せないものになってきています。

ストレスって何?

ストレス(英: stress)とは、生活上のプレッシャーおよび、それを感じたときの感覚である。オックスフォード英語辞典では、苦痛や苦悩を意味する distress が短くなった単語とされる。

Wikipedia ストレス (生体)

一般的には、精神的な緊張感、重圧感、苦痛といった感覚をストレスと呼んでいます。ただ、医学的に腰痛とストレスの関係について話をする場合には、単にストレスというよりも、「心理社会的要因」という言葉がよく使われます。なぜそんな回りくどい言葉を使うのかというと、私達は次のような状況でストレスを感じやすいからです。

心理社会的要因(イエローフラッグ)の例

  • 家族・知人の死、自分や家族の怪我や病気
  • 結婚、離婚、夫婦別居
  • 就職、失業、転職
  • 社会的な責任の変化、生活状況の変化、労働条件の変化
  • 親戚トラブル、上司とのトラブル
  • 借金、法律違反など

精神的苦痛は身の回りにいる人との関係の中から起こりやすいので、社会的な立ち位置の変化・生活環境・職場環境などが自ずと含まれてきます。これをイエローフラッグ(黄色信号)と呼ぶこともあります。

関連記事⇒心理社会的因子が生み出す痛み

ストレスが生み出す腰痛

かつては骨や椎間板に関するものが多かった腰痛の研究ですが、近年は心理社会的要因が腰痛に関係しているという研究が増えています。腰痛は心理的な問題によって引き起こされたり悪化したりするというのです。

2011年3月11日に発生した東日本大震災では、その心理社会的ストレスを受けた人々に重い腰痛が増えたという福島県立医科大学の研究があります。

イラク・アフガニスタンなどの戦場では、腰痛が急増するといいます。戦争に参加して腰痛を発症した兵士1410人を対象とした研究によると、戦闘で負傷したのは5%でしたが、原隊復帰率は13%にすぎませんでした。体の問題よりも心理社会的要因が関わっていると考えられます。

骨の異常が腰痛に関係しないのと対象的に、ストレスはそれ単体で腰痛を引き起こすことが知られるようになってきました。

Can discography cause long-term back symptoms in previously asymptomatic subjects?
Does Psychosocial Stress Affect the Onset of Low Back Pain? : An Observational Study before and after the Disaster in Fukushima
Back pain during war: an analysis of factors affecting outcome.

手術の結果を左右する心理社会的要因

椎間板の手術が予定されていた腰下肢痛患者84名を対象に、神経学的所見・下肢伸展挙上テスト・画像所見・心理テストの成績が手術の効果と関係するか調べた研究があります。その結果、手術の治療成績に関係していたのは心理テストだけでした。ストレスが低い人ほど治りやすかったのです。

腰部脊柱管狭窄症の手術でも、心理的な問題が大きい患者ほど手術の結果がよくないという研究があります。

手術というと医師の腕前が気になるところですが、それより大事なのは手術を受ける側の心の状態かもしれません。

Elective discectomy for herniation of a lumbar disc. Additional experience with an objective method.
精神医学的問題が腰部脊柱管狭窄の手術成績に与える影響

ストレスのチェック方法

このようにストレスと腰痛には関連性があり、一人の患者さんの腰痛が治りにくいかどうかを心理テストで予測できるかもしれないと注目が集まっています。病院でも心の問題をチェックしてから治療を始めるという流れが生まれつつあります。

では、自分がストレスが強いかどうか、チェックする方法を1つご紹介しておきます。ただし、このチェックは医師のチェックと組み合わせて行う方法ですので、これだけで腰痛の診断にはなりません。自己判断はせずに、専門家の診察、助言を大切にしてください。

・BS-POP
患者の自己評価用のものと,治療者側が患者を評価するものとが別にあり,
前者には抑うつ,イライラ感などに関する質問が10項目,
後者には診察における患者自身の問題などに関する8項目があり,それぞれに3段階で評価する.
医師用11点以上,もしくは医師用10点以上かつ患者用15点以上の場合には精神医学的関与が疑われる.
BS-POP
脊椎疾患の評価システム

腰痛は心理社会的要因まで含めて考える

この記事で取り上げた内容は、医療関係者でも知らない人は全く知らないくらい新しい話題です。しかし、腰痛を理解する上では外すことのできない要素でもあります。

腰痛は、腰の問題だけではなく、ストレスなどの心理的要因、その人を取り巻く社会環境まで含めて考える時代になっています。

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腰痛は姿勢のゆがみが原因?それとも骨盤のゆがみ? http://urasaki-harikyu.com/blog/posture-pelvic-relationship-none http://urasaki-harikyu.com/blog/posture-pelvic-relationship-none#respond Sat, 12 May 2018 04:35:53 +0000 http://urasaki-harikyu.com/?p=5226 「腰痛の原因は姿勢のゆがみ」

このような主張はインターネットをはじめとしたあらゆるメディアで目にします。もしくは、骨盤のゆがみが原因だとする記事もたくさんあります。どちらも、ゆがみによって筋肉に余計な負担がかかり痛みが出るという理屈です。

でも、本当にそうでしょうか?体がゆがむと腰痛になって、ゆがみを正すと治るというような単純な話なのでしょうか。

姿勢と腰痛には関係がない

正常姿勢

(出展:肩こり百科)

「正しい姿勢」でネット検索すると、このような画像が大量に出てきます。

19世紀にドイツのブラウンとフィッシャーが正常姿勢というものを定義したそうですが、それが元になっているのでしょう。頭頂部から両足の間に向けて重心がきれいに落ちている、まっすぐな姿勢が正しいといわれます。

しかし、このような姿勢は重心のバランスとしては理想的かもしれませんが、健康的かどうかは別の話です。

腰の曲がり方と腰痛に関係がないという研究

1957年に腰痛患者200人、健常者200人を比較した研究があります。それによると、姿勢異常の検出率に差がありませんでした。側湾症にいたっては健常者に多く見つかりました。これはつまり、姿勢と腰痛には関係がないということです。

腰痛と前湾に関係なし

Comparative roentgen findings in symptomatic and asymptomatic backs.

腰椎前湾というのは腰の反り具合のことで、それが過剰なのはいわゆる反り腰、減少しているのは腰が平坦で猫背の人に多い姿勢です。

腰椎前湾・過剰と減少

仙骨から調べても関係はないという研究

もう一つ研究をご紹介します。
急性腰痛患者200名、慢性腰痛患者200名、健常者200名を対象にレントゲンで仙骨の角度(ファーガソン・アングル)を比較しました。その結果、3つのグループに差はありませんでした。
ファーガソンアングル

仙骨の角度はその上に続く腰の反り方に直接影響します。ですから、仙骨の角度と腰痛に関係がないということは、腰の反り具合と腰痛には関係がない、という話になります。腰は曲がっていても反っていても真っ直ぐでも、腰痛の原因にはなりません。
The lumbar lordosis in acute and chronic low-back pain.

骨盤のゆがみは腰痛と関係なし

次に、骨盤のゆがみについてです。

1999年に発表された研究です。腰痛患者144名と健常者138名を対象に、骨盤のゆがみを詳しく調べました。その結果、どのような意味においても骨盤のゆがみと腰痛は無関係という結論が出されました。
The association between static pelvic asymmetry and low back pain.

昨今、骨盤矯正という施術が行われていますが、そもそも骨盤と腰痛には関係がありません。

骨盤は寛骨、仙骨、尾骨が合わさってできていますが、基本的に動かない一つの固まりです。仙腸関節については数ミリだけ動くことが分かっていますが、ほぼ動かないと考えて差し支えありません。骨盤が何かの拍子にゆがむなんて普通は起こりませんし、もし手で動かせるほど軟弱なら人は立って歩くことができません。

骨盤矯正といわれるものは、骨盤の周りの筋肉をマッサージしているのであって、骨盤そのものを矯正しているわけではないのです。

余計な心配を取り除くことが大切

このように、姿勢のゆがみ・骨盤のゆがみは、腰痛とは関係のないものです。

医療関係者に「ゆがんでいる」と指摘されると、誰だって不安になります。しかし、人は全員、何かしら体のゆがみを持っています。定規で線を引いたような背骨を持つ人なんていませんし、肩の高さが左右きれいにそろっている人もいません。右利き左利きもありますから、人体に左右対称はありえません。

体の問題を指摘されて不安になることは、それだけで腰痛にとってマイナスになる可能性があります。不安は痛みを大きくする傾向があることが近年分かってきているからです。

姿勢を心配するより、心に余計な負担をかけない方が腰にはずっといいのです。

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腰痛は歳のせい?老化が原因? http://urasaki-harikyu.com/blog/back-pain-due-to-aging http://urasaki-harikyu.com/blog/back-pain-due-to-aging#respond Mon, 07 May 2018 11:33:12 +0000 http://urasaki-harikyu.com/?p=5205 腰痛は歳のせいではない

「腰が痛いのは歳のせいだ。」
このような言葉を聞いた経験はないでしょうか。

「歳だから治らない。」
こんな心無い言葉を浴びせられた方も中にはいらっしゃるかもしれません。

でも、本当にそうでしょうか?高齢だからといって皆さん腰痛で困っているのでしょうか。実際はそうではありません。

腰痛有病割合男女年齢別

腰痛に関する全国調査 – 日本整形外科学会より作図

2003年、日本での調査結果です。

もし本当に腰痛が年齢のせいならば、グラフは右肩上がりになるはずです。ところが、30歳代で一度増えたかと思われた腰痛がそれ以降、むしろ減っていきます。加齢が原因だとすれば全く説明がつきません。

20歳代では男女とも20%以上が腰痛です。肉体的に一番充実している時期から腰痛が起きているとなれば、老化とは別の何かが腰痛を引き起こしていると考えるしかありません。

骨粗鬆症は高齢女性に多い

女性については70歳代で腰痛が増えてしまっていますが、高齢の女性というと骨粗鬆症による圧迫骨折の可能性があります。骨粗鬆症は骨がもろくなってしまう状態のことで、閉経後の女性に多くなります。骨粗鬆症の予防には、食生活の見直しと運動が大切です。

骨粗鬆症の年代別有病率
骨粗鬆症調査

・患者数 男性300万人,女性980万人
・70歳代女性は椎体骨折の発生率22.2%(10年間累積)

骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2015年版

ただ、それを入れてもなお、高齢女性の半数以上が腰痛のない生活を送っています。男性だと高齢の方が腰痛が少なくなります。単純に「歳をとったから腰痛になる」と言うことはできません。

自然な加齢変化が悪いとはいえない

人の体は年齢とともに変化します。例えば、骨が変形したりすることはよく知られています。しかし、自然な加齢変化が腰痛を起こすわけではないことは、まだまだ一般に知られていません。

他の記事で触れましたが、画像診断(レントゲン、MRI、CT)を使って骨を調べても、腰痛があるかどうか見分けることはできないのです。先ほど骨粗鬆症と圧迫骨折の話題を出しましたが、圧迫骨折を起こしても痛みがないことは少なくありません。

構造的な問題を追いかけているだけでは腰痛の全体像は見えてきません。

関連記事:腰痛の85%は原因不明ってどういうこと?

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腰痛は安静第一?それとも運動?予防はできるの? http://urasaki-harikyu.com/blog/lbp-rest-exercise-prevention http://urasaki-harikyu.com/blog/lbp-rest-exercise-prevention#respond Tue, 01 May 2018 10:47:39 +0000 http://urasaki-harikyu.com/?p=5150 運動する女性

腰痛は安静にすべきではない

腰痛は「腰を痛めた」と表現されるように、腰に何らかのダメージを負ったと考えてしまうのは無理もないことです。「腰痛は腰が炎症を起こしているから、痛みがおさまるまで安静にしておくべき」と言われてしまうこともあるかもしれません。

損傷を受けている場合はRISE処置といって、安静(Rest)、冷却(Ice)、圧迫(Compression)、挙上(Elevation)という処置を取ることは当たり前に行われています。

ところが腰痛においては、この当たり前が実は間違いだったということが近年知られるようになってきました。多くの腰痛はそれまで考えられてきたような損傷ではないことが分かり、安静第一とする根拠が存在しないことが明らかとなったのです。

それどころか、むしろ動いた方が良い、動いた方が早く治るという根拠が多数示されているのが現状です。

急性腰痛は「安静にしない」

急性腰痛(4週未満)は安静にしないこと、普段の活動をなるべく維持するよう心がけることが大切です。

安静は必ずしも有効な治療法とはいえない.急性腰痛に対して痛みに応じた活動性維持は,ベッド上安静よりも疼痛を軽減し,機能を回復させるのに有効である.
職業性腰痛に対しても,痛みに応じた活動性維持は,より早い痛みの改善につながり,休業期間の短縮とその後の再発予防にも効果的である.
腰痛診療ガイドライン2012 日本整形外科学会/日本腰痛学会

こちらは日本の腰痛診療ガイドラインです。診療ガイドラインとは、医療者と患者が適切な意思決定をするための手助けとなる文書です。

急性腰痛では、可能な範囲で活動を維持することで、ベッドで寝ているより早い回復につながる。つまり、安静に寝ているとかえって治るのが遅くなってしまうことが示されています。

一つご注意いただきたいのは、痛いのに無理して動けといっているわけではないことです。痛くて動けないのなら、それは仕方のないことです。ただ、動けるのにあえて寝ていてもメリットは無く、むしろデメリットが大きくなるとご理解ください。

慢性腰痛は「運動する」

慢性腰痛(3ヶ月以上)の場合は、運動することで痛みを減らして機能を改善できることが分かっています。運動療法といったりしますが、まさに治療法として運動が注目されています。

痛みが長く続いている方は「安静にしない」からもう一歩踏み出して、運動を試してみてはいかがでしょうか。日本だけでなく、海外のガイドラインにおいても、運動は慢性腰痛を改善するとして推奨されています。
Exercise therapy for treatment of non-specific low back pain.
Noninvasive Treatments for Acute, Subacute, and Chronic Low Back Pain: A Clinical Practice Guideline From the American College of Physicians

運動というのはすごいもので、単に筋力がつくとか、心肺機能が高まるというだけではありません。慢性の痛みが続く患者さんは、脳が痛みに過敏になってしまうことが分かっていますが、運動はその脳を正常にしてくれることが明らかとなっています。いってみれば、自然の痛み止めが効くようになるのです。

ウォーキングには基礎体力・筋力の向上とともに、「脳を鍛える」という効果があります。脳を鍛える運動を行うことで、慢性的な痛みにより阻害されていた痛みをブロックする機能(下行性疼痛抑制系)を本来の状態に戻し、痛みを感じにくくする作用があります。
認定NPO法人いたみ医学研究情報センター

とはいっても、いきなり激しい運動をする必要はありません。運動の種類は何でも構いませんので、無理のない運動から始めてみてはいかがでしょうか。軽いウォーキングでもいいのです。いままでやってこなかった運動を日常にプラスしてみることをお勧めします。

運動は腰痛の予防になる可能性がある

体を動かすことは腰痛の治療として価値があるばかりでなく、腰痛を予防してくれるかもしれません。腰痛の予防法として見出されているのは今のところ運動だけです。

腰痛の予防法に関する20件のランダム化比較試験を分析した結果、腰痛ベルト・靴の中敷き・人間工学的介入・重量物挙上軽減教育に効果はなく、運動療法のみが腰痛とそれによる欠勤を予防できるという強力かつ一貫性のある証拠を発見。
High-quality controlled trials on preventing episodes of back problems: systematic literature review in working-age adults.

このように見ていきますと、運動にはいいことがたくさんあります。腰痛の対策としてだけでなく、健康にとてもいいですから、ぜひ長く続けられる運動を探してみてはいかがでしょうか。

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椎間板変性が原因で腰痛になる?負荷を恐れる必要はない http://urasaki-harikyu.com/blog/intervertebral-disc-degeneration-is-innocent http://urasaki-harikyu.com/blog/intervertebral-disc-degeneration-is-innocent#respond Fri, 27 Apr 2018 04:31:58 +0000 http://urasaki-harikyu.com/?p=5130 椎間板とは

椎間板
髄核と線維輪
背骨を構成する椎骨と椎骨の間にあるクッション、それが椎間板です。
椎間板の構造はアンパンをイメージしていただくと分かりやすいですが、外側に頑丈な線維輪があって、内側にはゲル状の髄核があります。

椎間板に異常が起こると、腰痛を引き起こすと従来から考えられてきました。その一つが椎間板変性です。

椎間板変性は腰痛とは無関係

椎間板の水分が失われて、柔軟性がなくなった状態を椎間板変性といいます。椎間板変性は加齢にともなって起こる自然現象です。

椎間板変性は腰痛のはじまりであるとか、良くないものとして扱われることがあります。しかし、現在ではこれが即腰痛の原因になるわけではないことが分かっています。

椎間板変性は痛みのない人にも多い

例えば、腰痛のない健康な人にも85%という高い確率で椎間板変性は見つかるという報告があります。自然現象ですから、健康な人の多くに椎間板変性があります。このため、椎間板変性の有無だけでは腰痛があるかどうか見分けることは不可能です。
1995 Volvo Award in clinical sciences. The diagnostic accuracy of magnetic resonance imaging, work perception, and psychosocial factors in identifying symptomatic disc herniations.

椎間板変性とは無関係に腰痛は起こる

MRIで調べたところ、腰痛患者の47%は腰に異常が見つからなかったという報告もあります。この論文では、12ヶ月の調査機関中に腰痛を発症した患者は、MRI所見に何も変化がなかったことも合わせて報告しています。腰に異常があるから腰痛になるとは限りません。
The relationship between the magnetic resonance imaging appearance of the lumbar spine and low back pain, age and occupation in males.

こうした研究を見ていくと、しばしば語られるような「椎間板変性は腰痛の初期段階である」とは言えない可能性が高まります。腰痛はさまざまな要因が組み合わさって起こります。原因が一つだけという単純な話ではないことは知っておいて損はありません。

腰への負荷が悪ではない

一般に、腰に負荷をかけるのは良くないと思われがちですが、それに反して、ある種の負荷(体重・持ち上げ力・作業強度)は椎間板変性を遅くするという報告があります。また、一卵性双生児での研究では、体重が重たい方が腰椎の骨密度が高く、椎間板の状態も良かったとしています。負荷をかけた方が腰は丈夫に発達するわけです。
The effects of anthropometrics, lifting strength, and physical activities in disc degeneration.
Challenging the cumulative injury model: positive effects of greater body mass on disc degeneration.

腰へ負荷をかけることは、これまで思われていたほど悪いものではないばかりか、腰に良いことが分かってきています。何より、運動はその種類が何であれ、腰痛を予防することが分かっています。運動とは、腰への負荷そのものです。

腰痛でネット検索すると、しばしば腰に負荷をかけてはいけないという情報が出てきます。しかし、腰への負荷を減らすことばかり考えていたら、最後は寝たきりになるしかなくなります。それこそ健康から遠ざかってしまいますので、怖がらず安心して体を動かしてください。

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腰痛の85%は原因不明ってどういうこと? http://urasaki-harikyu.com/blog/nonspecific-low-back-pain http://urasaki-harikyu.com/blog/nonspecific-low-back-pain#respond Tue, 24 Apr 2018 09:05:53 +0000 http://urasaki-harikyu.com/?p=5088 腰痛は原因が見つからないことが多い

腰痛の85%が原因不明

腰痛の85%は原因が特定できない非特異的腰痛

厚生労働省・腰痛対策PDFより

画像診断(レントゲン・MRI・CT)は、がん等の重篤な疾患を見つけるためには必要だといわれる一方で、大多数をしめる普通の腰痛を見分けることができません。明確な診断がつかない腰痛のことを「非特異的腰痛」といいます。

レントゲンやMRIを使うと、椎間板ヘルニアや脊柱菅狭窄症などの背骨の異常が見つかることがあります。しかし、骨や椎間板の異常が見つかったとしても、すぐにそれを腰痛の原因だと決めることはできません。

椎間板ヘルニアだから痛いとは限らない

椎間板ヘルニアは、背骨を構成する骨と骨の間にある椎間板というクッションが後方に飛び出して、神経を圧迫すると一般に考えられています。ところが、画像診断で圧迫が確認できる神経と、痛んでいる場所が食い違っていることがあります。例えば、右にヘルニアがあるのに左が痛いこともあるわけです。このような場合、例え椎間板ヘルニアがあるとしても、それで痛みを説明することができません。

そればかりか、椎間板ヘルニアがあっても、痛みがない人は大勢いることが分かっています。1995年、腰痛のない健康な人を調べたところ、76%に椎間板ヘルニア、85%に椎間板変性が見つかりました。こうなると、ヘルニアの有無だけで腰痛を説明することができません。
1995 Volvo Award in clinical sciences. The diagnostic accuracy of magnetic resonance imaging, work perception, and psychosocial factors in identifying symptomatic disc herniations.

骨に異常があるから痛いとは限らない

骨の異常は無関係

(Fullenlove TM & Williams AJ : Radiology,1957 より改変)

背骨の異常には様々な種類がありますが、背骨に異常があっても痛みなく健康に過ごしている人は大勢いることが分かっています。同じような調査は複数行われていますが、現在では「画像診断だけで腰痛があるかどうか知ることは不可能」というのが腰痛医療の常識となりつつあります。

こうした背景をもとに欧米では「非特異的腰痛には画像診断は不要」とするガイドラインが作られるようになっています。

診断がつく腰痛は一部にとどまる

明確な診断がつく腰痛は「特異的腰痛」と呼ばれます。こちらは腰痛全体の15%程度とされていて、そのうち重い病気が見つかる確率はさらに低くなります。

  • 悪性腫瘍 0.7%
  • 椎体圧迫骨折 4%
  • 脊椎感染症 0.01%
  • 強直性脊椎炎 0.3%
  • 馬尾症候群 0.04%

(Jarvik JG & Deyo RA, Ann Intern Med, 2002/Deyo RA, at el, JAMA, 1992)

ほとんどの腰痛は心配のいらない非特異的腰痛です。

原因不明といっても治療法はある

原因の特定できない非特異的腰痛の治療については、鎮痛剤や手術の他にも様々な方法が医学的・科学的に検証されており、その中から信頼性の高い方法、安全な方法が見出されています。例えば、鍼灸もその一つです。また、認知行動療法や読書療法といった、新しい治療が注目を集めています。

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腰痛はどのくらいで治るの?1年経っても治らない人が33%というアメリカの調査 http://urasaki-harikyu.com/blog/lbp-healing-period http://urasaki-harikyu.com/blog/lbp-healing-period#respond Fri, 20 Apr 2018 02:50:41 +0000 http://urasaki-harikyu.com/?p=5042 33%が1年経っても治っていなかった

腰痛は病院を受診してから、どのくらいで治るものでしょうか?
こちらは1996年、アメリカでの調査です。

ほとんどの患者は最初の4週間でかなり改善する

1ヶ月後、軽度の痛みが残るのは66~75%、少なくとも中等度の痛みが残るのは約33%

1年以上経っても33%は少なくとも中等度の断続的・持続的な痛みがあり、7人に1人は重度の痛み
The course of back pain in primary care.

初期の4週間でかなり改善するとはいっても、すぐに完全に治り切る人って実はそんなに多くないようで、3人に1人は1年経っても治っていませんでした。

ちょっと注意したいのは、この調査は総合診療(プライマリ・ケア)を受診したタイミングから調査しているので、発症してからの期間ではないことです。腰を痛めてすぐ受診した人もいるでしょうが、何日か様子を見て治った人は含まれていないことになります。また、これはアメリカの調査ですので、日本でも同じ結果になるかどうかは分かりません。

それにしても、思った以上に腰痛って後に残るんだなという印象です。

普段、腰痛を治療している身としては、発症してすぐの腰痛であれば治療3回以内に治ることがほとんどだと思います。とはいえ、一度治っても再発してしまう方も中にはいらっしゃいます。

腰痛再発のリスクになるのは、痛みを過度に怖がること、腰をかばって体を動かさないこと、職場など社会的な環境、ストレスなどです。「腰が弱いからだ」「体が衰えたせいだ」というように、ネガティブに腰痛を解釈してしまうとよくありません。

リハビリをするように、少しずつ体を動かして自信を取り戻していくことが大切といえます。

念のため書きますが、姿勢のゆがみは関係ありません

患者さんの中には、医療関係者から間違った情報を吹き込まれて、それを信じてしまっている方がいらっしゃいます。その最たるものが「姿勢のゆがみがあるから腰痛になる(再発する)」です。これは医学的には全く根拠がありません。

姿勢については過去記事で触れていますのでここには書きませんが、人類の中には腰痛が全くない民族もいたりします。腰痛は二足歩行する人類の宿命だとか、それっぽいウソにはご注意ください。

関連記事:「体のバランスが崩れると腰痛になる」は本当?

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私がTMSジャパンの講演会に参加する理由 http://urasaki-harikyu.com/blog/tmsjapan2018special http://urasaki-harikyu.com/blog/tmsjapan2018special#respond Mon, 16 Apr 2018 03:03:50 +0000 http://urasaki-harikyu.com/?p=5018 知ったのは本がきっかけ

今日は、私がTMSジャパンの講演会に参加するようになった理由を書こうと思います。TMSジャパンというのは、「腰痛は怒りである」の著者・長谷川淳史先生が代表をされていて、エビデンスに基づく腰痛の情報発信をされています。

そもそも私がTMSジャパンや長谷川淳史先生を知ったのは7~8年前だったと思いますが「腰痛は終わる!」を読んだのがきっかけです。

ヘルニアに鍼灸が効く理由が分からなかった

当時、開業して数年経った頃ですが、私は大きな疑問を抱えていました。椎間板ヘルニアがとても不可解だったんですね。

「神経が椎間板に圧迫されて痛みが出る。」
この理屈がどうも納得いかなかったのです。なぜなら、もし本当に神経の圧迫による痛みなら、鍼灸が効くはずがないからです。鍼(はり)を刺したところで、飛び出した椎間板に何かできるわけではありません。でも、患者さんの痛みやしびれに効果が出ているように見えます。東洋医学的に理屈はつけられるけど、現代医学的に考えるとよく分からないわけです。

鍼灸師の先輩の中には、「椎間板を鍼で砕いて白血球の貪食を促すんだ」とか「飛び出したなら引っ込めればいい」とかいう方もいて、私はますます首をかしげていました。

それが、いざ本を読んでみたら、椎間板ヘルニアと腰痛は関係ないと書いてある。根拠も明白。すぐに学生時代の生理学の教科書を思い出し、そりゃそうだ、神経を圧迫したら麻痺するじゃないかと納得がいったわけです。

治療については全然納得できていなかった

ただ、そこですぐにTMSジャパンの講演会に行こう、と思ったわけではありません。腰痛が何なのか、腰痛が何でないのかは納得ができた。でも治療法についてはサッパリ理解が追いつかないわけです。それこそ「腰痛は終わる」を読んだところで、治療法については何も肝心なことを書いていないように見えました。私の中の「治療とはこういうものである」という固定観念が邪魔をするんですね。

他に「ヒーリング・バックペイン」や「なぜ心は腰痛を選ぶのか」も読みましたが、正しい知識を伝えることが治療になる意味が分からない。本には、話を聞く耳を持たない半数の人は治療の対象にならないとも書いてあって、いや、それはどうなんだと思っていました。なので、治療についてはあまり深入りしないまま、でも時々長谷川先生のtwitterを覗く、という感じでした。

DVDを見てやっと分かった

それが不思議ですが、時間が経つことで考えが変わってくるのか何なのか。よし、一度DVDを見てみようと思い立ち、TMSジャパンメソッド2015を取り寄せます。それを見て、ようやく納得がいきました。DVDは何度も見返して、知り合いの先生にも教えたりしました。

私は脳のことを分かっていなかったんですね。DLPFCや扁桃体を分かっていなかった。そうか、脳か。これでようやく理解が追いついて、鍼灸治効とも話がつながりました。もっと勉強しなくてはと、講演会に足を運ぶようにもなりました。

こんな感じで、私は痛みと脳の話を知るまでにけっこう時間がかかっています。

昨日は品川で講演会でした

さて、そんなこんなで、昨日4月15日(日)は東京の品川で開かれたTMSジャパンの講演会に参加していました。新しい話がいろいろと聞けましたし、同じ話でもまた新しい感覚で聞くことができました。

といいますか。「分かった」と思うことって怖いんですね。分かったと思ったとき、もうそれ以上のことを考えなくなっていますから、それは思考停止なんですね。あー、分かったと思っていたけど、まだ分かってなかった。そういう再確認がいろいろ出来ました。やらないといけないことが増えました。ありがとうございました。

まずは、菊地 臣一先生の「一問一答! 腰痛のエビデンス」を注文ですけれども。

今求められる痛みの治療スキル

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気とか経絡とか何なんでしょう? http://urasaki-harikyu.com/blog/ki-keiraku http://urasaki-harikyu.com/blog/ki-keiraku#respond Fri, 06 Apr 2018 07:52:38 +0000 http://urasaki-harikyu.com/?p=4911 東洋医学って、分かりにくいですよね。
何となく、自然で、根源的で、神秘的な雰囲気はあるものの、具体的にどういうことなのか知ろうと思うと一気にハードルが上がります。言葉も聞き慣れないものが多く出てきますので、教科書の序盤でつまづく鍼灸学生も珍しくありません。

例えば気です。気って言われても何なのか分からないと思いますが、それは極自然なことです。なぜなら、よく分からないものをひっくるめて気と呼んでいるにすぎないからです。

消化吸収から考える気

例として、消化吸収を考えてみましょう。食事をしますと、まず口で咀嚼されて砕かれ唾液と混ざった食物が胃に入り、胃酸やら消化酵素やらでさらに分解され、小腸なり大腸なりで吸収されます。ところが、東洋医学が生まれた昔の中国では、まず胃酸とか消化酵素が分からないわけです。

残酷な話で恐縮ですが、大昔には食事をして少し時間が経ったあとに、その人を殺害してお腹を裂き(うわー)、消化がどう進んでいるか調べるということは行われていたそうです。でも、なぜ消化という現象が起きるのかは知るすべがない。

そのため古書では、食物を消化するのは「胃の気」の作用であると表現されました。消化器系の複雑な働きを「胃の気」という一言で説明してしまっているわけです。何がどう作用しているか具体的に分からないとき、気という言葉が使われます。

気とはそういう抽象的な言葉です。ですから、気と言われてもよく分からないのは当たり前なのです。

経絡も気の作用を説明するために生まれたのでは?

東洋医学には、気の通り道として経絡(けいらく)という概念が出てきます。これもやっぱり概念でして、見ることも触れることもできません。その意味では、実在するかと言われれば、実在しません。古代の血管か神経ではないかという説もあるようですが、はっきりしたことは言えません。

これは推測になりますが、古代の鍼灸師は、鍼灸を施して効果がでる理由を「気の働きである」としか説明できなかった。そして、刺激したツボから離れた内臓などに効果がおよぶ理由を説明するために、気が媒介している=気の通り道(経絡)でつながっているという理論を生み出したのではないでしょうか。

解明にはまだまだ時間が必要

現在は、鍼灸の効果は科学的に研究されていて、刺激が神経を伝わって脳や脊髄に届き何かが起きているということが分かってきています。しかし、同じ支配神経のツボなのに、数センチ位置が違うだけで効果が変わるなど、まだまだ分からないことも多いようです。

現代医学の進歩は素晴らしく、昔の鍼灸師たちが気と呼ぶしかなかった作用も次々と明らかになっています。しかし、気と呼ばれた作用の全てが解明されるには、まだまだ時間が必要になると思われます。

また、気や経絡という東洋医学理論を一切使わずに、鍼灸で効果を上げることも現時点では難しいと考えられます。むしろ、今後は使えるものが選別されて残っていくでしょう。

もし、気や経絡という言葉が気になったら、「何かの作用」という程度に考えておくといいと思います。

太陽膀胱経

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