第9回線維筋痛症学会

10月14日(土)、15日(日)と大阪の千里ライフサイエンスセンターで開催されました、日本線維筋痛症学会 第9回学術集会に参加してきました。

慢性の長く続く痛みを考えるときに、線維筋痛症は避けては通れない病態だと思います。学会の情報をSNSで見かけて、これは行かなくてはと思い参加しましたが、行って正解でした。非常に勉強になりましたし、当院ホームページの記載も大幅に変更しないといけないなと思っているところです。

2日間で11講座を受講し、メモを片っ端から書きなぐりました。ここではざっくりと、こんな話が聞けましたよというのを備忘録的にまとめてみます。

雰囲気だけでも伝われば幸いです。

第9回FM学会会場

線維筋痛症は心因性疼痛といわれていたが、今では心理社会的疼痛との見方に変わってきている。線維筋痛症の痛みの原因としては、脳の機能異常によって、痛みを感じやすくなることが挙げられる

レントゲンで膝に問題(変形性膝関節症)のある人を集めると、実際に痛みを訴えるのは三人に一人。変形性膝関節症においても、脳は痛みを感じやすくなっている(疼痛閾値の低下)

線維筋痛症は、慢性疼痛、こわばり、アロディニア※などを呈するが、他には異常が見つからないリウマチ性疾患とされる。近年は、脳内神経炎によって起こると認識されつつある。

→やはり、痛い場所が悪いのではなく、脳側の問題が大きいという認識がされているようです。これは線維筋痛症に限った話ではなく、運動器疾患においても慢性化してくると、脳の問題の比重が大きくなることがうかがえます。

線維筋痛症の心理社会的因子
過活動:じっとできず、能力の限界まで頑張ってしまう。
過剰適応:周囲の要求・期待に自己を犠牲にしても100%応えようとする。
失感情症:感情を押し殺してしまって、自分の自然な感情やストレスが分からない。

→これまで、心理社会的因子について当サイトでは、ストレスの種類は幅広いという説明をしてきましたが、病的な方面から傾向を説明する視点はありませんでした。その点で、心理社会的因子の問題点を明確にする説明を聞くことができました。頑張ることは美徳ではありますが、行き過ぎると自分を押し殺し、ストレスを溜め込み、やがて体に症状が出るまで無理を続けてしまうことにもなります。落ち着いて現状を把握して、ペースを落とすことも必要です。

線維筋痛症では睡眠の改善が必要
不眠症認知行動療法
寝室は寝るときだけ使用
布団に入っても1時間眠れない場合、あえて布団に入る時間を1時間遅らせる
布団に入って20分経っても眠れない場合、布団から出て、眠くなってから布団に
眠りにこだわらないこと
リラックス法を試すこと

→疲労・ストレスの回復には睡眠は欠かせないものですが、線維筋痛症ではしっかり眠れないケースが多くなります。当院でも睡眠時間4時間が平均という患者さんがいました。睡眠をどう改善するかは重要なテーマです。

基礎的な動物実験
痛みを動物は感じているのか?それをどう確認するのか?動物に広範囲の痛みは起こり得るのか?

→注目していた加藤先生のお話でしたが、非常に興味深い研究結果を聞くことができました。ネズミの脳に手を加えることで、痛覚過敏を作り出してしまうという研究。いかに脳が痛みと関係しているかが示されました。

治療の目標は、現在の痛みをまず半分にすること。
治療とは長い道を走る車。
治療はイグニッションキー、方向を示すのは医療者、家族(の協力)は燃料、自分自身がアクセル。

→医療者が頑張るだけではなく、患者さんご本人の前向きな取り組みが必要になるというお話です。いたみラボの書籍※でも、半分は医療者に、もう半分はご自身で、といった内容がありました。

運動は痛みの改善に有効
痛いところを動かさなくても、痛くない部分の運動であっても全身の痛み感受性を下げることができる。動かさないと、痛みが長引くばかりか、運動能力が低下して、寝たきりのリスクにもなってしまう。

→線維筋痛症に限らず、慢性の痛みを改善するには運動が大切になります。頑張りすぎて疲れてしまうのも良くないので、楽に続けられる運動から始めて、じわじわ増やすことが大切なんだそうです。

※アロディニア・・・異痛症。本来、痛くないはずの刺激であっても痛みを感じてしまう状態。
※書籍「長びくその痛みあなたの力で治せます」 著:NPO法人いたみ医学研究情報センター
FMガイドライン2017他