治療家という言葉、とてもよく目にするのですが、実はこれといった定義がありません。文字をそのまま読めば、治療する専門家です。

治療(ちりょう)とは、病気やけがを治すこと。病気を治癒させたり、症状を軽快にさせるための行為のことである[1]。しかし、日本の法律上は「医師が患者の症状に対して行う行為」のみを指して治療といい、医師以外の施術者が患者の症状を快癒させても「治療した」とは認められない。
治療 – Wikipedia

法的に治療が行えるのは医師のみですが、医師が治療家を名乗ることは少ないでしょう。

治療家という言葉は、医業類似行為に携わる人、という意味で使われることが多いようです。はり師、きゅう師、あん摩マッサージ指圧師、柔道整復師といった国家資格の他、整体師、カイロプラクターといった公的な資格制度のない業種も含め、まとめて治療家と呼ぶ場合があります。

法的な意味での治療は行えず、看板に治療の文字を使うことも原則禁止されていますが、治療家と呼ばれたり、名乗ったりもする。とても曖昧な言葉ですね。※

私の場合、自分では鍼灸師を名乗っていますが、他の資格を持つ先生と一緒に集まると、「治療家の先生方」などと呼ばれることがあります。意味がどうこうというよりは、便利なので使われている言葉なのでしょう。

似たような言葉に、治療者があります。こちらは医療の枠組みのなかで治療を行う者を指しますので、医師のことです。

医療者という言葉もあります。医師以外にも、看護師、理学療法士などさまざまな職種が医療に関わっています。彼らをまとめて治療家と呼ぶことは普通ありません。

治療家は曖昧な言葉です。しかし、それゆえ便利な言葉でもあるので、よく使われます。名乗るかどうかも自由です。この言葉を見かけたら、どういう意味合いで使っているのか、少し注意して見てみるといいかもしれません。

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