人は歳を重ねるにつれて、肉体的にもさまざまな変化が起こります。例えば、背骨の椎骨の間のクッション・椎間板という軟骨組織は、加齢とともに水分が減少して固くなり、傷が入りやすくなる等の変化を起こします。これを椎間板変性といいます。

この椎間板変性が腰痛の原因ではないかと研究が行われた結果、予想とはまったく違った結論が出されました。

椎間板変性と腰痛に関連性なし

工場勤務や事務職など、様々な職業の男性149名をMRIで1年間追跡調査したところ、業種によって椎間板変性の検出率に差がないことが分かりました。腰への負荷が多いからといって、椎間板変性が起こるわけではありませんでした。

調査機関中に腰痛を発症した人にも、MRI上の変化はありませんでした。つまり、椎間板変性とは無関係に、腰痛になったり、腰痛が治ったりしていたわけです。

別の調査では、椎間板変性のある人の方が腰痛発症率が低いという報告が出されています。また、腰への負担が多いほど、椎間板変性が起こりにくくなるという研究もあります。

椎間板変性がない方が良いはずだとか、腰への負荷が少ない方が良いだろうといった予想は完全に外れでした。椎間板変性は年齢を重ねると多かれ少なかれ起こりますが、腰痛とは全く関係がなく、腰への負荷とも関連性はありませんでした。

医学の進歩は私たちの常識をどんどん塗り替えてしまいますね。

(Savage RA. et al,Eur Spine J,1997)
(Elferling A. et al,Spine,2002)
(Holmberg S et al,Agric Environ Med,2003)

腰痛特集