久しぶりに本を一冊ご紹介します。鍼灸師の中ではかなり有名な本ですが、一般向けに書かれた本です。

「賢い皮膚」 著:傳田光洋

皮膚について、基本的な構造から、意外な機能まで分かりやすく説明されています。個人的に興味をひかれたのは、皮膚電位の部分です。

人の皮膚は、裏側と表側で数十ミリボルトの電位差があるというのです。その電位差は、皮膚に存在するイオンの移動にともなって、微妙に変化します。

電位差といわれると、思い出すのは神経細胞の電位差です。マイナスの静止電位が脱分極からプラスに転じ(オーバーシュート)、再び元に戻っていく一連の電気的変化を活動電位といいます。神経が情報を伝達できるのは活動電位のおかげです。

皮膚は神経と同じような機能・性質を持っていたわけです。考えてみれば、皮膚も神経も外胚葉由来ですから、不思議ではないのかもしれません。表皮はダメージを受けたとき、皮膚電位の状態によって、修復速度に変化がでます。マイナスを負荷すると修復が早まり、プラスを負荷すると修復が遅れるのです。

では、その皮膚に鍼をする行為とは、いかなる意味を持つのでしょうか。この本にはそこまでは書かれていません。しかし、鍼灸が皮膚電位に変化を起こしていることは間違いありません。その電位はどこへどう伝わり、何を起こしているのでしょうか。

考え出すと、本当に面白くなってくる一冊です。